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高橋ヨシキが映画『マンティコア 怪物』と『システム・クラッシャー』をレビュー!

週プレNEWS

日本有数の映画ガイド・高橋ヨシキが新作映画をレビューする『高橋ヨシキのニュー・シネマ・インフェルノ』! スペインの鬼才が描く、あるクリエーターの心の闇!&制御不能な子供の彷徨を描くドイツ映画!* * *『マンティコア 怪物』評点:★3.5点(5点満点)


© Aquí y Allí Films, Bteam Prods, Magnética Cine, 34T Cinema y Punto Nemo AIE 

心の深奥の怪物が頭をもたげるとき

この映画は古典的な「狼男もの」の映画に着想を得て作られたという。

「狼男もの」は一般に、性的なアグレッションのメタファーとされており、たとえば変身に際して毛がどんどん生えてくるのは第二次性徴のホラー的な解釈だとみなすことができる。

ひとたび狼男となった人間は欲望のままに血を求めてさまようが、元の人格は意識不明でそれをどうすることもできない。

本作の主人公はゲームデザイナーで、VR空間に自らの秘めた欲望の対象を作り上げて性的な充足を得る。

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彼は自分の欲望が絶対に容認され得ないことを分かっている。やがて彼はボーイッシュな若い女性と出会い、彼女を通じて自分の欲望が「昇華される」ことを期待する。

それはそれで恐ろしく失礼だし不愉快な行為でもあるが、本人にとっては切実な問題である。「昇華」できなかったら内なる怪物が(題名の『マンティコア』は人頭虎身の伝説上の怪物のこと)解き放たれてしまうに違いないからだ――というか、最もぞっとさせられるのは、そうなるであろう、という「確信」を彼が抱いていることだ。

そういう「狼男」がまったく想像上の存在ではない、という現実がずっしりとのしかかってくる。

STORY:空想のモンスターを生み出すゲームデザイナーの青年フリアンは、隣人の少年を火事から救ったことをきっかけに謎のパニック発作に悩まされる。やがて、フリアンが抱えるある秘密が、思わぬ怪物を生み出してしまう

監督・脚本:カルロス・ベルムト
出演:ナチョ・サンチェス、ゾーイ・ステイン、アルバロ・サンス・ロドリゲスほか
上映時間:116分

シネマート新宿ほかにて全国順次公開中

『システム・クラッシャー』評点:★4点(5点満点)
© 2019 kineo Filmproduktion Peter Hartwig, Weydemann Bros. GmbH, Oma Inge Film UG (haftungsbeschränkt), ZDF「順応すること」をどこまでも要求する社会
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