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スカイピース、全曲全力、こだわり抜いたエンタメ魂をファンと一緒に楽しんだツアーセミファイナル! 

DI:GA ONLINE

SkyPeace Tour 2024 -Fever Time-
2024年2月29日(木) パシフィコ横浜 国立大ホール

パシフィコ横浜 国立大ホールのエントランス付近は、多くのスカイピースファンの熱気に満ちていた。テンションが上がっているのはよく理解できる。なんつってもスカイピースのライブなのだから。

自分は彼らのことを純粋にいちアーティストとして見てしまっているところがあるのでこれまで気付かなかったが、テオくんと☆イニ☆(じん)の2人から伝わってくる、スカイピースのライブでは一秒たりとも退屈させたくない、どの瞬間もみんなを楽しませたいというエンタメ魂は、YouTuberとしての気質からくるものなのかもしれない。

この日は2時間弱のステージだったのだが、まず開演前はステージ背後のスクリーンに映し出されたカジノのルーレットがランダムに回り続けていて、時々同じ絵柄が3つ揃ったりする。これはもちろん、「Fever Time」というツアータイトルにちなんだもの。こういう遊び心のある演出は最近珍しいのでなんだかうれしかった。定刻が近くなると、自分の後ろの席にいた観客が「次、フィーバーがきたら(ライブが)始まるよ」と楽しそうに話していた。

話は飛ぶが、アンコール前の待ち時間においてもスクリーンに数字が表示され、1から100までカウントアップしていくという映像演出があった。メンバーはこのカウントに合わせて確実にステージに戻らないといけないので大変だが、観客はいつ始まるかもわからないアンコールをジリジリと待つのではなく、みんなが一体となって大声でカウントをしていて、これもまた楽しそうだった。

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おそらく、こういったわかりやすい演出以外にも随所にこだわりながら1本のライブを作り上げていたはず。ああいう陽気な2人なのでストイックさはなかなか伝わりづらいけど、そんなものはできれば伝えたくないのだろう。ただ純粋に楽しんでもらうのが一番なのだから。

そういった思いがあったおかげで、2時間が本当にあっという間だった。本編最後、「悲しみなんて笑い飛ばせ」の披露前にこれが最後の曲だと告げられたときも、こっちとしては「またまたご冗談を」という気持ちだったので、それが本当だとわかったときは普通に驚いた。

それぐらいあっという間だと感じたのは、中盤で披露された「俺的神曲メドレー」の存在も大きかったかもしれない。タイトルにあるとおり、ここでは自身の曲ではなく、洋邦問わず「神曲」を次々と歌い上げていった。ちあきなおみ「喝采」、きゃりーぱみゅぱみゅ「ファッションモンスター」、放課後ティータイム「Cagayake!GIRLS」、クイーン「Don’t Stop Me Now」といったぐっちゃぐちゃな選曲の時点でイカれてるが(褒めてます)、合計18曲に及ぶメドレーというのは前代未聞だ。メンバーとスタッフ一同、泥酔しながら決めたんじゃないかと思うぐらいぶっ飛んだ挑戦だったと思う。しかも、演出も含めて全曲全力。曲によってはしっかりダンサーも登場するというこだわりよう。スカイピースが普通のアーティストではないという特性を生かしたこのメドレーはかなりインパクトがあった。

こんなことができるのは自分たちの曲に自信があるからだ。実際、「俺的神曲メドレー」の直後、☆イニ☆のソロコーナーで披露した「僕がアイドル」も強烈なインパクトがあった。この曲の歌詞にはアイドルのライブでよく聞く“ミックス”や“ガチ恋口上”が登場するのだが、☆イニ☆はそれを「絶対におさえるべきポイント」として短時間でファンに叩き込み、すぐさま歌唱へと移り、大合唱を巻き起こした。これもすごい光景だったし、だいぶ笑った。けど、コロナ禍における規制が緩和された今だからこそ成立する一体感がうれしくもあった。

そう、自分が前回彼らのライブを観たのは2022年9月のLINE CUBE SHIBUYA公演で、まだ観客は声を出せない状況だった。だからこそ、「僕がアイドル」をはじめ、様々な場面でファンが大声を上げて楽しんでいるのがたまらなくうれしかった。

当然、MC中に話すのはメンバーだけでなく、ファンもステージに向かって遠慮なく言葉を投げかける。自分が一番笑ったのは「僕がアイドル」に続いて、テオくんによるヘヴィなラップメタルチューン「SHUT DOWN」のソロパフォーマンスが終わったあとのMC。テオくんはRADWIMPSのライブを友人と観に行ったときの話をはじめる。ああいう場で、ひとりで来ているにもかかわらずステージに向かって大きな声を上げられるのはすごい、と感心するテオくん。さらに彼が「(アーティストから)声を出してって言われて声を出すのはやりやすいけど、こうやって喋ってるときに……」と話している最中、客席から「テオくん、大好きー!」という声が飛ぶ。それに対してテオくんはすぐさま困惑気味に叫んだ、「あいつ、やべぇよ!」仕込みなんじゃないかと思うぐらい軽妙なこのやり取りは本当に愉快だった。客イジりとしては間違いなくトップクラスだ。

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