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Caravan、2024年のファースト・アクション「新年祭」。今年もアグレッシヴに幸福だった

DI:GA ONLINE

Caravan LIVE EXTRA 新年祭 2024 “Magic Number 3” supported by 333Beer
2024年2月4日(日)CLUB CITTA’

川崎クラブチッタに来てくれた皆様、
本当にありがとうございました。
今年も宜しくお願い致します。
なんだか霧の中にいるような年始の日々でしたが
皆んなからパワーを頂き救われました。
皆様にとって今年が良い年になりますように。

 毎年この時期(1月下旬から2月上旬の間)に川崎クラブチッタで行うのが恒例になっている、Caravanプレゼンツの「新年祭」と銘打ったワンマンライブの今年の回=2024年2月4日(日)が終わった直後、Caravanは、このような文章をインスタグラムにアップした。

 前半は、言うまでもなく、元日に起きた「令和6年能登半島地震」や、翌2日の羽田空港滑走路航空機事故などのことを指しているのだろう。
 ライブの後半のMCでも、これと同じようなことを言っていた。そんな、霧の中にいるような年末年始で、気持ちが晴れないまま今日につながっていたんだけど、こうしてライブをやると交換ができる、これがライブの良さだと思うし、俺も生きている心地を取り返せる。僕らはただステージ上でみんなに観てもらうんではなく、みんなを観てる、そのキャッチボールがライブだなと改めて思いました、今日は元気をもらいました、ありがとう──と。
 確かに、終始、ステージの上と下を、陽性の波動がポンポン飛び交うような、投げたエネルギーが倍になって返ってくるような、そんな幸福な状態が実現していた時間だった、この日のクラブチッタは。

 客席は、フロアの前方1/3くらいが座席、後ろの2/3くらいがスタンディング、という仕様。途中のMCで、Caravanと共に年齢を重ねているファン(も多い、一度付いたファンが異様に離れないアーティストなので)の声に応えて、そのようにした──と、本人が説明する。

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 「新年祭」では毎年恒例となっている入場者全員にプレゼントされる今年の「振る舞い酒」はベトナムのビール333(バーバーバー)だった。昔はCaravanオリジナルの「おちょこ」「栓抜き」「ビアジョッキ」「缶クージー」などの入場者全員プレゼントがあったが、ここ数年は「振る舞い酒」で落ち着いている。そして今年はさらに、入場者全員にスクラッチカードが配られ、抽選で何かが当たる、外れても全員333のステッカーがもらえる、というお楽しみ企画もあり。
 特賞はCaravanの私物のアコースティック・ギター。親子連れの娘さんに当たり、ステージでCaravanが音を鳴らして歌ってみせたあと(「Vagabond」を1コーラスやってくれた)、手渡された。
 もうひとつの目玉は、Caravanが4年前から作り始めたお米、10名様。本人曰く「完璧なスーパーオーガニック米」の玄米だそうです。

 フルバンドの年もあればひとりきりでパフォーマンスする年もあったステージ上の編成は、今年はボーカル&ギターのCaravan、ペダルスチール宮下広輔、ドラム椎野恭一のトリオ編成。昨年6月10日に東京湾の無人島のフェス『TOKYO ISLAND』に出演した時などと、同じ布陣である。

 つまり、これまでのフルメンバーと比較すると、ベースのCurly Giraffeこと高桑圭と、キーボードの堀江博久がいない編成、ということだ。そんな日本有数の凄腕ふたりがいなくて、フェスとかならともかく、ワンマンの尺のライブって、大丈夫なんだろうか。普段より見劣りしないんだろうか。
 と、観る前はちょっと心配だったが、始まってすぐ忘れた、そのことを。で、終わってから、「あ、そうだ、今日3人だったんだ」と思い出した。
 そのままただ普通にやったら、平気なわけがないので、「この3人ならどうアレンジしてどう演奏するか、ステージ上でどうパフォーマンスするか」という準備が、完璧になされていた、だからすばらしかったんだ、と思う。Caravan、ひとり弾き語りの時に多用するギターのループも、時々使っていたし。

 そういえば、「今日はみんな全国各地から来てくれてたんで、今年はあちこち飛び回ります、いろんなところに行くんで待っていてください」というようなことを、後半のMCで言っていた。
 今日、この3人編成でワンマンをやってみて、手応えがよかったら、その「あちこちに行きます」もこの編成で回るのかもしれないな、と思った。で、こんなワンマンをやれるなら、それ、ありだな、とも思った(違ったらすみません)。

 2023年9月に出たばかりの最新アルバム『1974』から5曲(「惑星」「Just Another Day」「Kid」「Road Movie」「Oh Brother」)を演奏しつつ、コロナ禍になってすぐ書いて発表した、本人にとってもファンにとっても重要な曲である「Magic Night」なども織り交ぜる。
 「Wagon」「その瞬間」「ハミングバード」「Folks」「Soul Music」といった、必殺曲の数々も聴かせてオーディエンスを喜ばせつつ、「Heiwa」や「アイトウレイ」などの、メッセージ色の強い曲も盛り込む。
 後半のブロックに差し掛かるところでは、インスト曲「Well-Come」を挟む。そして、「Trippin’ Life」「Folks」「Soul Music」の3連発で、オーディエンスを大喜びさせて本編を終える。
 アンコールは、本編最後のMCを引き継ぐように「暗闇を撃て 光を放て そのまま進め 獣の道を」と歌う「La Vida es Corta」でスタートし、「Oh Brother」を経て、ラストを「Free Byrd」で締める──。
 というセットリストも、とてもよかった。というか、大満足だった。
 欲を言えば、あと2曲ぐらいは『1974』の曲も聴きたかった、それから「サンティアゴの道」や「Key of Life」も必殺曲だと思うので……などと言い出すとキリがないので、自粛します。そんなこと言ってると、3時間ぐらいやっても収まらなくなるし。

 なお、「Magic Night」を歌い出す前にCaravanが「よかったら一緒に、歌える方は歌ってみてください」と声をかけたのは、前述のように、一緒に歌うことを禁じられた時期にリリースした曲だからである。
 Caravanのギターとオーディエンスの歌声がしばし続き、拍手が沸き上がってから本格的に曲が始まる、という光景は、ちょっと感動的なものがあった。そのシンガロングは、アウトロでもチッタを包んだ。

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