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スポーツツーリズムで約30億円の経済効果に。その成功の秘訣とは

パラサポWEB

上級者が楽しめる本格的なパークである一方、初心者でも楽しめるエリアもあり、スクールも開催。敷地内にはムラサキスポーツのショップや休憩場、シャワー、屋上デッキ、近隣には人気のベーカリーもあるので、スケートボードのプレイヤーだけでなく、家族連れやデートをするカップルなども楽しめる。笠間市の人口は約7万人だが、来場者はオープンから約半年で1万人を超えた。

施設の運営はムラサキスポーツが行っているが、笠間市のホームページには「ムラサキパークかさま」の最新情報などを発信するページがある。このように公民が協力して持続可能なまちづくりをしているのが成功の大きな理由となっているのではないだろうか。

成功の秘訣は「誰がやるのか」ということ

オンライン取材を受けてくれた一般社団法人日本スポーツツーリズム推進機構会長の原田宗彦氏

「ムラサキパークかさま」の他にも、岩手県紫波町の日本初のバレーボール専用体育館「オガールベース」や、福岡県飯塚市の「飯塚国際車いすテニス大会」など、日本全国でスポーツによる地域振興が行われ成功している。これらの成功の理由はどこにあるのだろうか?

「やっぱり、誰がやるのかということですよね。現在、私が会長を務める日本スポーツツーリズム推進機構では、日本全国に地域スポーツコミッションを作っています。現時点(2023年3月)で170以上のコミッションがありますが、それぞれの地域がその土地土地に合ったオリジナルコンテンツでスポーツツーリズムを考え、その仕組みを作ることが重要です」

地域スポーツコミッションとは地方公共団体、スポーツ団体、民間企業等が一体となり、スポーツによるまちづくり・地域活性化を推進していく組織のこと。時限つきの組織ではなく常設のため、長期にわたってその土地のためになることを考え、スポーツと地域資源を掛け合せたまちづくり・地域活性化のための持続可能な活動をしている。実際、「ムラサキパークかさま」のある笠間市でもパークのオープンと同時期に、スポーツコミッションを設立し、パークの有効活用に成功している。

スポーツツーリズムを地域で推進していく原動力、地域スポーツコミッションの役割(一般社団法人日本スポーツツーリズム推進機構公式サイトより)

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「先程言った『誰がやるか』というのは、その主体が誰になるかということですが、(重要なのは)やはり地域のスポーツコミッションでしょう。たとえば、さいたまスポーツコミッションはスタッフが20人ほどですが、スポーツイベントや合宿などで年間65億円以上の経済効果を生み出しています。彼らは最初からイベントに関する特別なスキルやノウハウを持っていたわけではありませんが、とにかくスポーツイベントの誘致などに熱心なんです。コミッションは一般社団法人ですが、理事長は元さいたま市の副市長なので地元への思いも強い。とてもうまくいっているケースです」

多くの自治体からスポーツコミッションの立ち上げや運営について相談を受けてきた原田氏によると、イベント開催などを外部のコンサルに丸投げするのではなく、まずは地元にスポーツコミッションを作り、目的を明確にした組織作りをしてから取り組むことが重要だと言う。

「組織の構成は若手がいると活発になりますが、年齢は関係ありません。それよりも大切なのはやる気と知識と決断力です。少子高齢化が進み、どんな自治体だってこれから先は決して安泰ではありません。人口が減る中、どうやってブレイクスルーするのかを、危機感を持って真剣に考えられるのは、やっぱり地元の人たちですから」

残念ながら人口を突然増やすことはできない。しかし交流人口や関係人口を増やすことはできる。スポーツツーリズムはそれを実現できる、注目のキーワードとなりそうだ。

最後に原田氏にスポーツがなぜ人を集めるコンテンツになるのか、その魅力について聞いてみた。

「スポーツを楽しむのに言語も宗教もイデオロギーも関係ないですし、専門的な知識がなくても、ルールがよく分からなくても、勝った負けた、綺麗だといったことで誰もが楽しめる、とても民主的なコンテンツですよね。その魅力をうまく活用すれば、日本だけでなく世界中から人を呼ぶことができると思います」

百聞は一見にしかず。ネットで「スポーツ/全国/イベント」などのキーワードで検索をすると、日本全国のさまざまなスポーツイベントやスポーツ体験の情報が表示される。これからは、食や観光名所めぐりだけでなく「スポーツ」を目的に旅行を楽しむ時代がくるかもしれない。

PROFILE 原田宗彦
一般社団法人日本スポーツツーリズム推進機構会長/大阪体育大学学長
ペンシルバニア州立大学健康・体育・レクリエーション学部博士課程修了(Ph.D.)。鹿屋体育大学助手、フルブライト上級研究員(テキサスA&M大学)、早稲田大学スポーツ科学学術院教授などを経て、現職に就任。その他、スポーツ庁「スポーツによる地域活性化・まちづくりコンテンツ創出等総合推進事業」座長など要職を兼任している。

一般社団法人日本スポーツツーリズム推進機構HP
https://sporttourism.or.jp/

text by Kaori Hamanaka(Parasapo Lab)
photo by:一般社団法人さいたまスポーツコミッション/茨城県笠間市, Shutterstock

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