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夢に向かう子を後押しした車いすバスケ選手のメッセージとは

パラサポWEB

夢や目標を思い描いたとき、できるのだろうかと不安になったり、考えただけでやはり無理だろうかとあきらめたりしてしまうことは、誰しもあるでしょう。夢をもつことを理想として語るのではなく、同時に存在する不安を一緒に見つめ、実現へのステップを見つける糸口にするという考え方は、困難を乗り越えてきたパラアスリートの言葉だからこそ実感がこもり、人の心に届きます。

本気で応援してくれる仲間をもとう

橘選手は大変なリハビリを乗り越え、少しずつ体が動かせるようになっていきました。リハビリ後に進学した専門学校では気の合う友人にも出会い、サーフィンやスノーボードなど大好きな趣味を一緒に楽しめるように。さらに、友人は橘選手のがんばりを心から応援してくれたそう。当時すでに車いすバスケットボールを始めていた橘選手は、日本一のチームになりたい、そして主力選手としてチームを引っ張る存在になりたい、という夢をもっていました。その夢を話したとき、友人が「絶対できるよ!」と応援してくれたのがとても嬉しかったと振り返ります。

仲間がいれば頑張る力もより湧いてくると話す橘選手

同様に橘選手も友人の夢を応援しており、互いに本気で励まし合える仲間をもつことの素晴らしさを教えてくれました。児童たちにはこれからどんな仲間との出会いが待っているのでしょうか。応援し合える大切な友人と出会えることを願わずにはいられません。

夢の階段を上るのは、難しいけれど、楽しいこと

3つ目のメッセージとして橘選手が伝えたのは、夢に近づくことの難しさと楽しさについてです。今の自分となりたい自分の間にあるギャップを見つめ、それを埋めるために何ができるかを考えるという橘選手。そのイメージを、「階段」に例えて説明しました。

「建物の1階から2階へ上がるのに、一歩で行くことはできません。階段が必要です。夢へのステップも同じ。小さな段差を自分で作ればいい。どんな階段が必要か、うまくいかなければ違うやり方でやってみたり、少しずつ上ってみたりすればいい。そうやって試したことはすべて自分の財産となり、自信につながるんです」

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努力の末に夢への階段を上れたときの嬉しさを、橘選手は実感を込めて語ります。

階段を自分で作り上っていくことの大切さを、一人ひとりが受け止めます

夢の階段へ、踏み出そうとする児童たち

橘選手の講演を聴いた児童たちは、夢や目標を探したり、夢に向かって行動したりしていく気持ちをもてたように見えました。

橘選手への質問タイム。いろいろな質問が出ました

講演の後、児童から自分の夢が見つかっておらず、そもそも夢はどうやって見つけたらいいかという質問がありました。橘選手はこう答えます。

「今やっている趣味や好きなこと、楽しいと思うことを、思い切りやってみるといいよ」

事故をきっかけに、予想していたのとは違う人生を歩むことになっても、車いすバスケットボールに出会い「日本一」という新たな夢を見つけた橘選手の答えに、納得した様子でした。

また、授業後のインタビューで、児童はこう語ってくれました。

「夢へ向かっていくことを階段に例えてくれて、わかりやすかったです。これからもパラスポーツ、車いすバスケットボールを見てみたいです」
「ふだん勉強していて、本当にそれが自分の力になっているのかよくわからなかったけれど、橘選手のお話を聞いて、毎日ちゃんと階段を上れていたんだなと気づいて、自信がもてました」

声を弾ませて感想を聞かせてくれた2人。その笑顔から、得た気づきの深さが伝わります

日々の生活の中で、さまざまな頑張りを重ねている子どもたち。その頑張りに新たな価値づけができ、自分の努力を自分で認める機会になったことも伝わってきます。

「デザイナーになってみんながわかりやすいデザインを考え、いろいろな立場の人を思いやりたい」
「自分も周りの人も幸せにできるようになりたい」

パラアスリートとの出会いをきっかけに、みんなそれぞれに思い描くものへ、階段を上がっていく力を得られたようでした。

日本一になってまた会いに来たいと話す橘選手と、応援する児童たち

実際に観て、アスリートに話を聞いて。子どもたちに響くパラスポーツ

パラアスリートにとっても、子どもたちにこうしてメッセージを届ける機会は、やはり特別であるようです。講演を終えた橘選手はこう語ります。

「子どもたちがうなずいてくれたり、楽しんでくれているんだな、というのが表情からわかると、僕もとても嬉しくなります。アスリートとして活動する自分の姿が、子どもたちのチャレンジを後押しできたら素晴らしいことです。

障がいのある人もない人も共存して一緒に成長していく中で、誰もが輝ける場所は必要です。パラスポーツを知ってもらい、そうした場をつくっていくことの大切さも伝えていければと思います」

アスリートとして、メッセンジャーとして、橘選手はこれからも伝え続けます

現地でのパラスポーツ観戦と学校でのパラアスリートによる講演という両輪の構成だったことで、今回の経験はより強く児童の心に印象づいたかもしれません。

パラスポーツを生で観戦すると、やはりその迫力や熱気、技術の高さや気持ちの強さに圧倒されます。そうした気持ちの土壌ができていた中、パラアスリートが自分たちの学校に来て話をしてくれることで、児童は興味関心や聴く姿勢をしっかりともって臨むことができました。パラアスリートのもつポジティブな力もより深く受け止めることができたと言えるでしょう。先生も、「迫力ある試合を観て、選手ってすごいという気持ちをもっていたので、お話もしっかり心に入ってきていたと思います」と話します。

夢をもつことで毎日の生活が前向きに変わること、実現は大変でも一つひとつ挑戦したことがすべて自分の自信につながっていくこと、それを応援してくれる仲間の大切さなど。パラスポーツ、パラアスリートだからこそ説得力をもって伝えられる数々のメッセージが、聴いた人の心に残り、次の夢の芽となっていくことでしょう。

あすチャレ!メッセンジャーについてはこちら→https://www.parasapo.tokyo/asuchalle/messenger/

【シリーズ:パラスポーツと教育】記事はこちら↓
第1回 特別支援学校での車いすバスケットボール体験
https://www.parasapo.tokyo/topics/103811
第2回 パラアスリートと出会った子どもたちの「卒業制作」
https://www.parasapo.tokyo/topics/104598
第3回 学年を越えた絆を育むパラスポーツ運動会
https://www.parasapo.tokyo/topics/105051
第4回 車いすユーザーと一緒に楽しめるおにごっこのルールは?
https://www.parasapo.tokyo/topics/105334
第5回 夢へ向かう子どもたちの背中を押すパラアスリートのメッセージ
https://www.parasapo.tokyo/topics/105554

text by Ayako Takeuchi
photo by Sayaka Masumoto

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