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全日本オープンパラ卓球・七野一輝が初優勝! 立位から車いすに転向してパリパラを目指す

パラサポWEB

ゲーム間に中学2年のときから練習を共にしている山岸護トレーナーと話し合い、球を徹底的にバックに集める作戦で第2ゲームを取ると、その勢いを駆って決勝に進出した。

コーチも務める山岸トレーナーとパチリ
photo by Asuka Senaga

迎えた決勝の相手・土井健太郎は昨年11月、パラリンピック同様のクラス別で戦う「国際クラス別パラ卓球選手権大会」決勝で日本一を争ったライバルだ(編集注:七野は車いす転向後の国内大会はクラス5で出場していたが、今年3月の国際クラス分けでクラス4の判定を受けたため、現在はクラス4で戦う)。

全日本では七野が勝利している。だが、鮮烈な優勝を飾った全日本で「『勝ったのはまぐれだよね』と言われないためにも、今大会で優勝することが目標だった」。この試合でも自らにプレッシャーを課して戦った七野は、3-1で勝利。両手でガッツポーズをして喜びを表した。

2位の土井(左)、3位の齊藤(右から2人目)、吉田(右)と写真に納まる
photo by Asuka Senaga

弱点のない卓球選手に

立位時代は、左手に持ったクラッチ(杖)で体を支えながらプレーしていた。立位の中でもっとも障がいの重いクラス6の選手の中で、二分脊椎症による両下肢機能障がいがある七野は、フットワークが思うようにできない葛藤があった。障がい故、フォア側やネット際を狙われた。当時は、弱みを突かれない戦い方を研究して磨くしか勝つ術がなかった。

車いすになり、これまで届かなかった右側の球も体を倒して取ることができるようになり、卓球台から少し離れて打つこともできるようになった。サーブにしても、これまではラケットを持つ手でトスを上げていたが、クラッチを持っていた左手が空いたことで左手でのトスが可能になり、サーブのパターンを増やすことも可能になった。

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競技用車いすも足の高さを調整するなどして試行錯誤している段階で「できることを少しずつ増やしていけたら」と本人も前向きだ。

元卓球選手で4月から車いす監督に就任する山本恒安氏は、七野のプレーを見て「フォアハンドとバックハンドの使い方、ボディワークも含めてすごくバランスがいい。今日の試合では、サーブが豊富にあると感じた。今後楽しみな選手のひとり」と語っており、パリ2024パラリンピック出場に向けて期待がかかる。

今大会では団体戦も制し、2冠を達成した
photo by Asuka Senaga

目標とするパリパラリンピックに向けて「弱点のない選手になりたい」と七野は言う。それは、2021年6月、東京パラリンピック最終予選の決勝で敗れて、夢だった自国開催への出場切符を逃した悔しさからくるものだ。「突出して強いところを作ることも大事だけれど、あの試合では障がいの弱みを突かれた。他を完璧にしても穴があると負けてしまうので、どこを突かれてもいい球を返せるような選手を目指し、オリジナルのスタイルを追求していきたいです」

不可能を可能にする「車いす」に乗りかえ、再びラケットを握った七野。一輝というその名の通り、パリで一番輝く選手になるに違いない。

text by Asuka Senaga
key visual by SportsPressJP

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