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【パラスポーツと教育】大切なのは柔軟な考えと工夫 特別支援学校での車いすバスケ体験

パラサポWEB

シリーズ「パラスポーツと教育」では、パラスポーツ・パラアスリートからの学びが子どもたちに何をもたらすのか、さまざまな風景から迫ります。
第1回は、特別支援学校の児童・生徒たちがパラアスリートと過ごした車いすバスケットボールの出前授業の模様を取材。その実践には、教育やインクルージョンを考える上での大きなヒントがありました。

肢体不自由部門をパラリンピアンが訪問

今回取材に伺った東京都立志村学園。開放的でゆとりある空間づくりがなされた校舎が印象的です

2022年5月、パラアスリートが学校を訪問し、児童・生徒たちに共生社会への気づきや学びの機会を提供するパラスポーツ体験型出前授業「あすチャレ!スクール」が、東京都の特別支援学校・東京都立志村学園で行われました。今回講師を務めたのは、シドニー2000パラリンピック車いすバスケットボール男子日本代表キャプテンを務めた根木慎志さんです。

東京都立志村学園は、2013年に開校。軽度の知的障がいのある生徒が企業就労を目指す高等部就業技術科と、板橋区・練馬区・北区を通学区域とする肢体不自由教育部門(小学部・中学部・高等部)が設置されています。
5月に行われた今回のあすチャレ!スクールでは、肢体不自由教育部門の小学部6年生と中学部3年生、高等部2年生、全部で17名の児童・生徒が参加しました。

根木講師のデモンストレーションは大盛り上がり。生徒たちは今回の授業をとても楽しみにしており、自分でつくった写真入りのうちわを持参した生徒もいました

高揚した雰囲気の中、あすチャレ!スクールがスタート。車いすバスケットボールの競技や用具の説明などを聞いた後、根木講師のプレーを目の当たりにします。さっそうと走る車いす、力強い腕で放たれるシュートに皆注目し、シュートが決まると大きな拍手を送りました。

それぞれの状況に合わせて、車いすバスケットボール体験にチャレンジ

生徒たちの障がいの程度は一人ひとり異なり、自力で車いすを動かせる生徒、電動車いすを使っている生徒、身体を動かしたり発話したりするのが難しい生徒など多様です

いよいよ、生徒たちの車いすバスケットボール体験に移ります。普段のあすチャレ!スクールの授業では、車いすバスケットボールの競技用車いすを使ったリレーや、代表の子どもたちによる試合などを体験しますが、肢体不自由の子どもたちが参加する今回は、事前に学校の先生方と根木講師・スタッフで話し合い、別の形式をとりました。生徒全員で同じように試合や体験をするのではなく、子どもたち一人ひとりが自分にあった方法を選べるようにしたのです。

地面におけるタイプのバスケットゴール。キャスターがついており、自由に動かすことができます

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今回参加した児童・生徒は、それぞれに障がいの種類や程度、動かせる体の範囲などが異なります。そこで、体育館に備え付けのバスケットボールのゴール以外に、地面に置ける背の低いゴールを用意。ボールは、普通のバスケットボール、一回り小さいバレーボール、柔らかいゴム製のボールから選べるようにしました。「全員に参加して楽しんでもらいたかった」(根木講師)と、一つの方法にこだわらず、それぞれに合った方法を見つけられるよう選択肢を用意することを大切にしました。

小柄な子も、補助を得ながら車いすバスケットボール用の車いすに乗り、シュートを放ちます

体験が開始されると、生徒たちは車いすバスケットボールを体験しようと自ら積極的に前に出てきました。車いすを自分で動かせる男子生徒は、通常の高さのゴールをねらって何度もシュートを重ねます。先生方のサポートを受け、麻痺の重い生徒も競技用車いすに乗って一生懸命漕ぎ、それぞれに合わせて用意したゴールに向かってシュート。根木講師もそれぞれで体験する生徒たちに言葉をかけ、時に補助もしながら体育館を回ります。自分で身体を動かすのが難しい生徒も、介助の方に手を添えてもらいながらボールを投げ、しっかりと授業に参加することができました。

上肢にも障がいがある生徒は、ゴム製の柔らかいボールを活用しました

体験の最後には、通常の高さのバスケットゴールをねらう仲間のシュートをみんなで応援。シュートが入ったときには大きな歓声が上がりました。体験の方法はそれぞれちがっていても、それぞれが心から楽しんでおり、授業には全員で場を共有している一体感があったのが印象的でした。
体験を終えた子どもたちからは、「やってみて楽しかった」「今日は本当にありがとうございました」と充実した時間を過ごせたことへの感謝の言葉が聞かれました。

輝いていた一人ひとりの表情。体験から得たものは

今回の授業を企画した肢体不自由教育部門の岡本恵美先生

普段から生徒たちをよく見ている先生の目にも、その様子は新鮮だったようです。岡本先生は、授業をこう振り返ります。

「学校には競技用の車いすがなく、今日が初めてのチャレンジとなりましたが、難しくても何度も挑戦する姿や、自分でやってみたいことを見つけてトライする姿などが多く見られました。参加した教員も、「上手だね」と声をかけたら生徒たちがとてもうれしそうにしていたと話してくれました。(障がいが重く)直接言葉で表現することができない子も、競技用車いすに乗ることができた瞬間に表情がぱっと輝き、とても楽しんでいるのだなと伝わってきました。

根木さんと出会えたことも、子どもたちにとって貴重な体験になりました。パラリンピックに出場した選手と実際に会い、一緒にスポーツを体験できたことで、自分たちにもできる、(他のことも)やってみようという気持ちを持つことができたと思います。この経験は、これからの活動にもつながっていくでしょう」(岡本先生)

発話が難しい生徒も、とても良い表情をしていたと先生方が口を揃えます
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