これからの季節、気象予報士を悩ませるのは、首都圏の雪の予報です。
何しろ1センチ積もるだけで、転倒してけが人は出ますし、交通網に影響が出ることがあります。
2022年1月に東京で積雪があった時のこと
今年(2022年)の1月には、東京で2年ぶりの積雪があり、最大で10センチ以上も積もりました。この影響で、路面凍結による事故や歩行者の転倒が相次ぎ、東京、千葉、神奈川、茨城、埼玉の5都県で約1200人ものけが人が出ました。首都高速道路は26路線中14路線が全線または一部区間で通行止めとなり、東京都江東区の「東京ゲートブリッジ」では最大で約100台が立ち往生。鉄道も一部運休や遅れが生じ、羽田空港でも欠航する飛行機がありました。
社会的な影響が大きいだけに、正確な予報を心がけたいのですが、首都圏の雪の予報というのは極めて難しいのです。
関東で雨から雪に変わる大まかな目安
全国で少し違うのですが、関東では上空500メートル付近で零度以下になるところが雨から雪に変わる大まかな目安となっています。このような時は、地上から上空500メートルくらいまでとどまる「滞留寒気」が形成されます。
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ただ、同じような環境でも、地上で吹く風が北西なのか北東なのかで変わってきます。関東平野では北西の風が吹くと、内陸から冷たい風が入って雪になるのですが、北東の風は海風で、ちょっと湿気が多くて気温が高いので、雨になったり、みぞれになったりします。
この北西の風と北東の風がまた、東京湾を境にして都心に入ったり、千葉に入ったりと、10キロメートル、20キロメートルという単位で変わってきます。地上の湿度も関係します。気温は同じく2度でも湿度が90%あると雨になり、70%だと雪になるんです。同じ気温でも湿度がちょっと高いか低いかで雲泥の差です。
雪の予報はよくはずれてしまう
雪が降ったとして、それが積もるか積もらないかも、微妙な条件の違いで変わってきます。
地上の気温が1度だと雪は降っても溶けてしまい、ほとんど積もりません。それが0.5度を下回ると積もり出すんです。