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「目が見えない」という前提でサービスを考えたらどうなるか?

パラサポWEB

「ユーザーの目が見えない」という前提で、モノづくり、サービスを考えたら一体どんなイノベーションが起きるのだろうか? 先月10月14日に「見える」に関するイノベーションを追求し、視覚障がいに関わる壁を溶かす新規事業創出支援を目的とした「VISI-ONEアクセラレータープログラム」初となるデモデイ(成果発表)が行われた。
これは参天製薬株式会社、特定非営利活動法人日本ブラインドサッカー協会、一般財団法人インターナショナル・ブラインドフットボール・ファウンデーションの3者によりスタートした活動「VISI-ONE(ビジワン)プロジェクト」の一つだ。
今回このデモデイを通してインクルーシブサービス事業の潮流とともに、「見えない」の壁を溶かすイノベーティブなプロダクトやサービスとして採択された6社の事業アイデア、受賞企業の結果を紹介する。見える、見えないに限らず多様な広がりの可能性を秘めた発想はどれも一見の価値あり!
(トップ写真は、足元の振動で道案内するナビゲーションシステム「あしらせ」)

インクルーシブなサービスの市場を最大化させるために必要なこと

「特定顧客の課題解決において、ターゲットユーザーはどのような広がりを持つのか?~インクルーシブな事業設計による市場の最大化について~」をテーマに、パネルディスカッションが行われた

東京2020オリンピック・パラリンピックの開催やSDGsの浸透で、以前よりは世の中に認知されているインクルーシブなサービス。しかし企業によっては、未だに福祉事業としての面が強いのが現状だ。市場の中でどのように展開していけば、事業としてより発展し、成り立つことができるのだろうか?
デモデイの審査中に行われたパネルディスカッションでは、ReGACY Innovation Group株式会社の高倉渉氏を司会進行に、参天製薬株式会社の朝田雄介氏、一般財団法人インターナショナル・ブラインドフットボール・ファウンデーションの理事兼事務局長の大坪英太氏、VISI-ONEアクセラレータプログラム アドバイザリーボードの葭原滋男氏が参加し、様々な意見が交わされた。

朝田雄介氏(以下、朝田):私たち(参天製薬)には「Ophthalmology」(眼科医療への貢献)、「Wellness」(健康な目の追求)、「Inclusion」(共生社会の実現)という三つの戦略がありますが、CSRの観点から進めると、なかなか浸透しづらい。福祉の領域かつ障がい、その中でも視覚障がいに絞って事業を進めるのはどうなのか?とも言われますが、(ターゲットを絞り過ぎているようで実は)そうではない、ということを示していかなくてはいけない。今回の「VISI-ONEプロジェクト」のような活動を推進することで、事業の広がりの可能性を示していく、かなりポテンシャルがあると私は思っています。

高倉渉氏(以下、高倉):事業として広がっていけばいいという、理想ですね。今まで体験してきたサービスで、最初のユーザーの理解が足りていないから、最終的にいい結果に結びつかなかった、これはよく考えられているから結果広がっていたというケースなど、今まで体験した中でありましたら教えていただけますか?

葭原滋男氏:バッドケースでいうと、音響式信号機がありました。日中はいいのですが、夜になるとボタンを押しても音が出ないんです。これはどのように改善すべきか、ヒアリングしたり話し合ったりしています。グッドケースは宅配便ですね。視覚に障がいのある人は宅配便の不在票を見ることができず、気付いたら期限を過ぎていて受け取りができなかったということが多かったそうです。そこで当事者の方から「不在票の角に耳みたいなものを付けてみては?」というアイデアを出してもらって、いい方向へ話が進んだものもあります。

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高倉:最初の段階での作り込みにいかにユーザーの意見を反映させるか、それが大きな成果に繋がっていくということですね。

大坪英太氏:お互いを理解するためには会話をしていくこと、当事者の方がどう考えているのかを理解するのが重要かなと。相手のことを知るために、自分の経験などを一度リセットして、新たな気持ちでいろいろ聞いてみるのがいいと思います。

朝田:また、今回のようなエクスクルーシブデザイン(個人のためにあるような限られたターゲットに向けたデザイン)は、他の事業へも展開できる可能性を十分持っている。例えば私たちは製薬会社ですが、他の企業と組んだり、今回参加された企業の持つ技術を使えばもっと幅広く展開できるんじゃないのかなと思います。

高倉:異業界への展開によって、いかにその価値があるのか考えるきっかけになればいいですね。

アワード受賞は、株式会社Ashiraseと株式会社GATARI

企業6社が視覚障がいに関わる壁を乗り越える事業アイデアの実証成果を発表。各社熱のこもったプレゼンで競われた結果、「ビジネスイノベーションアワード」は株式会社Ashirase、「ソーシャルイノベーションアワード」は株式会社GATARIが受賞した。そのイノベーティブかつ驚きの事業アイデアを紹介しよう。

「あしらせ」/株式会社Ashirase
もっと気軽に出かけたい!足元の振動で道案内するナビゲーションシステム 資料提供:株式会社Ashirase

自動車大手ホンダの新事業創出プログラムから創業したAshirase(アシラセ)が開発した、靴に取り付けることができるデバイスが振動し、視覚に障がいのある人の単独歩行をサポートするナビゲーションシステム「あしらせ」。スマホ専用アプリと器具が結びついていて、目的地を音声入力するとGPSなどで経路を検索し、足の振動で前後左右の道案内をしてくれる。器具はコンパクトなサイズ感で靴にも取り付けやすく、従来の”音声”ではなく足元から“振動”で方向を伝えてくれるのが画期的だ。視覚に障がいがあっても、気軽に旅へ出掛けられる、そんな可能性が広がるアイデアと言えるだろう。

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