宿主となる大きな魚にくっついて泳いでることを「併泳」(へいえい)と言います。この併泳をする魚には多くのメリットがあります。大型の魚のエサの食べかすや、寄生虫などを食べることができることや、大型の魚にくっついていることで襲われる危険がなくなります。また、移動は宿主がおこなうため自分のエネルギーをそれほど使わなくても移動できるという点があります。
ただメリットも多いですが、間違って食べられてしまうケースもあります。
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ちなみにコバンザメが宿主にどんなタイミングでくっついて、いつ離れるかは明らかになっていないそうです。
コバンザメの頭の部分はどうなっているの?
コバンザメ特徴といえば、やはり頭部の吸盤です。
宿主にくっつくために背中にある背びれが変化したものと言われています。そのため、この吸盤には複数のスリットが入っていて、吸い着くと後ろ向きに倒れるようになっています。
その吸盤には板状のヒダがあり、普段はそのヒダは後方に倒れているのですが、くっつく時はそれを起こします。そうすることで、接着面の内側が真空に近い状態になりくっつくことができるのです。
吸盤はコバンザメが後方に動くとくっつき、前方に動くことで外れる仕組みになっているので、自分で動きたいときは前方に動くと自由に動き回ることができます。
引っ張られればより強く引っ付く仕組みなため、皮が薄くやわらかい魚などは、その部分が小判型に充血して残るくらい吸盤の力は強いです。
子供のコバンザメには吸盤が存在しておらず、コバンザメの吸盤は、第1背ビレといわれる部分が成長とともに変化して出来あがるため大きさが30センチ以上になるまでは他の魚と同様に単独で浮遊しています。
コバンザメの生態が変わってきている?
NHKの番組「ダーウィンが来た」で紹介されていた奄美大島の「コバンザメ」は宿主にくっつかず300匹の群れでひっくり返り吸盤に砂に押し付けているコバンザメや、コバンザメ同士がひっついている姿がみられました。奄美大島ではマグロの養殖が盛んに行わており、海の中に餌をまいて育てているため、生簀の目と鼻の先に暮らすコバンザメは、餌のおこぼれを狙って砂地に集まっているということです。砂地は隠れる場所が少なく他の魚は寄り付かないためにライバルも少ないためこのような現象を見ることができるそうです。
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