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地域活性化に最適なスポーツ「ロゲイニング」の効果とは

パラサポWEB

「ロゲイニングの準備段階では、その地域について取材したり調べてリサーチ記事を書くことを授業での課題にしました。知らない人たちに話を聞くというのは、決して簡単なことではなかったと思いますが、地域の方々と交流することで自分自身や地域における大学の位置づけを知ることができて、ずいぶん学ぶことが多かったように思います。一方、地域の方々は、それまであまり見掛けなかった若者たちがそのあたりをうろうろしていること自体を喜んでいただいたようです。選ばれたスポットを見て、“こんなところが面白いの?”という反応もあったりして、もしかしたら外部の目が入ってきたことによって、地元に対する見方が広がったかも知れません」

「【公式】つくばR8ロゲイニング」というサイトには、学生一人ひとりが足を使ってその地域を巡って見つけた、とっておきのスポット紹介記事が掲載されている。あえて申し上げれば、それを書いているのは、筆者のように書くことを生業としているライターではない。しかし、純粋にその地域に向き合おうとしている、素直な手触りを感じる記事だった。読む人を“行ってみたい”という気にさせる。

「学生にとっては、演習の一環として取り組んでいるので、単位を得るためだけの活動に過ぎないのかもしれません。それはそれで良いし、私は無理にそれ以上を求めることはしたくないと思っています。地域に入った学生は、それまで行ったこともなかった場所を今では知っていて、“ちょっと語れるくらいには詳しい人”になっています。学生がもたらした成果は地域活性化に貢献し、そこで起こっている活動が気になったりする。そういう場所がつくば市内にあるから、卒業して離れてしまったとしても、その風景を思い出すことができる。それで十分ではないでしょうか」

地域に貢献しながら誰もが自分なりの楽しみ方ができる

難易度によって点数が異なるチェックポイント。どのように回るか、チームで作戦を立てる必要がある

学生一人ひとりが力を尽くして企画したつくばR8ロゲイニング。初年度の2019年には大曽根、上郷、吉沼の3ヵ所で開催された。もう一度ルールを振り返ってみよう。

・個人ではなくチーム制
・勝敗は得点で決まる
・チェックポイントをどう回るか、順番は各チームで自由
(つまり、いかに効率よく回るかによって得点が変わってくる)
・基本は歩いて(走ってもOK)回るが、公共の交通機関を利用することが許可されている大会も(つくばR8ロゲイニングでは徒歩のみ)

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「ロゲイニングの良いところは、参加者が限定されないことだと思います。つくばR8ロゲイニングには、地元に限らず遠方からも。そして小さな幼稚園児からおじいちゃん、おばあちゃんまで参加されますが、体力があって走って回るチームもあれば、お散歩気分で簡単なところ、近場をゆっくり回りましょうというチームもあるんです。自分の状態状況に応じて楽しめるのがロゲイニングの良さなので、この利点を生かせば地域の特色に応じた実施も可能になるのではないでしょうか」

つくばR8ロゲイニングは、制限時間をだいたい2~3時間で設定している。間には必ず昼食の時間を入れるようにしているそうだ。

「地域の中でお昼ご飯を食べてもらったり、お店で何か買ったりするとポイントがアップする決まりを設けています。そうすれば、ただ単にチェックポイントをさーっと回って終わりではなく、お店で地域の人と会話をしたり、地域にお金を落としてもらうことができる。参加者と地域の方との交流が生まれることも私たちが求めるロゲイニングの面白さ、効果であると思います」

地域活性化の秘訣は、互いに与え合い、継続すること

優秀な成績を収めたチームは表彰される

このつくばR8ロゲイニングのプランを“つくばR8地域活性化プランコンペティション”に応募するに当たっては、1回開催してやりっぱなしにならないこと。その後も継続して関わり続けるということを強調したのだそうだ。それも、採択する際の評価につながったのではないか。

「プランを考えるとか、提案を行うというと、つい自分の主張が中心になりがちです。そうなってはいけないと思ったので、今考えていることは、本当に地域が求めていることかどうか、私たちは常に自問自答を繰り返していました。地域が求めていることを徹底的に聞き、それを把握したうえで、寄り添った提案をすること。さらに、つくばR8ロゲイニングは、単に地域の活性化のために、こちらから何かしてさしあげて終わりではなく、地域の方からも何かいただく。お互いに与え合う、分かち合うことが大事だという考えに行き着いたんです。ロゲイニングを開催するに当たっては、大学側、学生の側も学ばせてもらう、教育に役立てさせていただくという気持ちが強いですね」

今まで足を踏み入れたことのなかった、名前さえ聞いたことのなかった街を訪れた学生たちにとって、つくばR8ロゲイニングはどのような学びになったのだろうか。

「実施に当たっては、大学院生と大学生でチームを作って活動をしました。院生はリーダーとなって地域の方と連絡を取り合いながらチームをまとめていく。学部生はチームの中での自分の役割を自覚して、何度も地域に通っては紹介記事を書いて発信していく。それぞれ大きな成長の糧になったと思います。学生たちにとっては、単位取得という人参が目の前にぶら下がった状態だったとしても、結果的にその地域を好きになって愛着を持ったり、サポーターのような気持ちが醸成できたりすれば言うことはありません」

藤田氏の研究室のテーマは“ランドスケープデザイン”だ。卒業後にこの経験はどのように活かされるのだろうか。

「運営の主要メンバーとして携わった中のひとりは、ランドスケープ関係の設計事務所に就職して、地域計画などの仕事をしています。彼らは、参加者と同時に地域の人にも喜んでもらう、さらに自分自身にも学びがあるということを経験しました。それをクライアント、相手の話をひたすら聞いて、相手の立場に立って相手が幸せになることを考える。それを仕事でも実践していけるのではないでしょうか」

2020年以降はコロナ禍の影響もあって、つくばR8ロゲイニングの開催は延期を余儀なくされた。しかし、そもそもロゲイニングは、屋外で人が密集した状態で行うものではないから、対策さえきちんととれば安全な開催は可能だろう。状況が改善しつつある現在、次の計画は着々と進んでいるという。それは、継続が大事だと語る藤田氏の言葉通りに。

つくばR8ロゲイニングは、もちろんナビゲーションスポーツという競技であるので参加者には順位がつけられる。1位、2位、3位の参加者には副賞として地域の特産品や商店の売っているものが贈られるのだそう。先日お話を伺った、二酸化炭素排出抑制量を計算し、スコア化する機能を搭載したアプリ“SPOBY”を活用した地域イベントでも、特典は地域のものが受け取れることを思い出した。「地域のもの」。まさにこれが鍵を持つのかもしれない。

text by Sadaie Reiko(Parasapo Lab)
写真提供:つくばR8ロゲイニング

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