パラスイマーがマラソンを走る。それだけでは、どんな意味があるのか、伝わりにくい部分もあるだろう。タレントや別競技の選手がマラソンを走って話題を呼ぶことがあるが、木村も「見ている立場では、大変だろうなと思う程度でした」と率直な思いを明かす。また、自身が協賛社伝手に参加の打診を受けたときのことも「ハーフマラソンを走りませんか? とだけ聞いたときは意味が分からず、誰がやるものかと思いました」と笑って振り返った。しかし、木村はこうも言った。
「考えてみれば、その日だけ走るわけではなくて、準備をしていかないといけないですよね。マラソンへの挑戦は、レースに向けてステップを踏んで努力を重ねていくことを意味しているわけだから、それぞれに、見ているだけでは分からない努力がきっとあったんだなと思うようになりました」
ランニングを始めてからは、毎日違うことが起きて楽しいと話す「挑戦者・木村」の姿こそ、このチャレンジが持つ価値となる。どんな過程を経て、レースに挑むのか楽しみだ。
レース当日伴走を務める福成忠さん(左)、コーチ兼練習パートナーの森川優さん(右)edited by TEAM A
text by Takaya Hirano
photo by Haruo Wanibe