『キャプテンウルトラ VOL.1』DVD(東映)

【画像】え…っ? 外側から見たデザイン覚えてる? これが『キャプテンウルトラ』の「シュピーゲル号」です(3枚)

「ウルトラシリーズ」第3弾として放映

 TV界に特撮ブームを巻き起こした『ウルトラQ』(1966年1月~7月)、『ウルトラマン』(1966年7月~67年4月)に続く、「ウルトラシリーズ」第3弾は何かご存じでしょうか。『ウルトラセブン』(1967年10月~68年9月)と答える人が多いかもしれません。

 円谷プロ制作の「ウルトラシリーズ」という意味では、『ウルトラセブン』で正解です。しかし、当時のTBS系では毎週日曜夜7時からの30分枠を「タケダアワー」と呼び、TBSが「ウルトラシリーズ」第3弾として同枠で放映したのが『キャプテンウルトラ』(1967年4月~9月)でした。『キャプテンウルトラ』は東映制作だったため、今では「ウルトラシリーズ」から外されることが多いのが実情です。

 円谷プロの洗練されたデザインの怪獣や宇宙人に比べると、『キャプテンウルトラ』に登場するクリーチャーたちにはどこかB級っぽさが感じられました。『ウルトラマン』や『ウルトラセブン』ほど、『キャプテンウルトラ』の評価は高くありません。しかし、本当に残念な特撮ドラマだったのでしょうか?

特撮界初となった合体メカ「シュピーゲル号」

 最高視聴率42.8%、平均視聴率36.8%という驚異的な視聴率を誇った『ウルトラマン』ですが、特撮シーンに手間がかかるため、全39話で終了することになりました。円谷プロの新番組(『ウルトラセブン』)が始まるまでの半年間の谷間を埋めるため、TBSは東映制作の『キャプテンウルトラ』の放映を決めました。

 のちに『仮面ライダー』や『秘密戦隊ゴレンジャー』などを大ヒットさせる、東映の平山亨プロデューサーの初期作品として知られています。監修は作家の都筑道夫氏と光瀬龍氏、音楽は冨田勲氏。米国の人気SF小説『キャプテン・フューチャー』をモチーフに、キャプテンウルトラと仲間たちが怪獣や凶悪宇宙人と戦う姿を描いています。

 特撮技術は「スーパー戦隊」「宇宙刑事」シリーズでおなじみの矢島信男氏です。キャプテンウルトラ(中田博久)、キケロ星人のジョー(小林稔侍)、ロボットのハックが乗り込む高速宇宙艇「シュピーゲル号」は、特撮界初となる三機合体メカとして特筆されます。

 キャプテンたちを乗せたシュピーゲル号が火を吹きながら、青い宇宙空間を飛んでいく様子が印象に残っています。



『キャプテンウルトラ VOL.2』DVD(東映)

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テコ入れされた「新怪獣ぞくぞく登場シリーズ」

 宇宙を舞台にした『キャプテンウルトラ』は、不人気だったわけではありません。最高視聴率は32.2%、平均視聴率は25.6%と高視聴率を残しています。しかし、前番組『ウルトラマン』の人気が高すぎ、続く『ウルトラセブン』も最高視聴率33.8%、平均視聴率26.5%を記録しています。あまりにも前後の番組が強すぎたのです。

 シリーズ前半はキャプテンウルトラたちが侵略宇宙人・バンデル星人と死闘を繰り広げる「バンデル星人編」が第12話まで続きましたが、中盤でテコ入れされることになります。その結果、キケロ星人のジョーを演じた小林稔侍さんが降板することに。

 代わって、アカネ隊員(城野ゆき)がシュピーゲル号に搭乗します。また、第13話からは「新怪獣ぞくぞく登場シリーズ」と銘打たれ、毎週違った宇宙人や怪獣たちがキャプテンたちに襲いかかるのでした。

 ネーミング的にとてもストレートな「新怪獣ぞくぞく登場シリーズ」ですが、第14話「金属人間メタリノームあらわる!!」は、子供たちに恐怖を感じさせたエピソードでした。

 人間に忠実だったロボットが、未知の宇宙バクテリアによって恐ろしい金属人間へと変貌。仕えていたオガタ博士をカプセルに閉じ込め、1日に10分間だけ蘇生させて、100年間にわたって博士の頭脳を利用し続けていたのです。

 SF映画『エイリアン』(1979年)よりもかなり早い、宇宙空間を舞台にしたホラーエピソードとして脳裏に刻まれています。

「宇宙の果て」でキャプテンたちが見た光景とは?

 そして、何と言っても見逃せないのが、最終回となった第24話「行け!キャプテン 宇宙をこえて」です。ある意味、『ウルトラマン』『ウルトラセブン』の最終回に匹敵する、驚愕のフィナーレだったのです。

 最終回、キャプテンウルトラは怪獣や宇宙人とは戦いません。キャプテンたちは、宇宙遊泳中に行方不明になったケンジ少年とミユキ・サユリ姉妹を救出するため、宇宙の果てへ向かうというものでした。

 宇宙の果ては、いったいどんなふうになっているのか? 子供なら誰しも、夜空を見上げながら考えたのではないでしょうか。そんな宇宙の謎に、キャプテンウルトラと仲間たちは最後に挑んだのです。

 キャプテンウルトラたちが見た「宇宙の果て」は驚くべき光景でした。キャプテンたちの目の前には、美しいお花畑が広がっていたのです。色とりどりの花々がどこまでも咲き続けるお花畑を、キャプテンやアカネ隊員たちが「あははは!」と笑いながら駆けていくという超シュールなエンディングだったのです。

 楳図かずお氏のSFマンガ『14歳』を読み終えた際も衝撃を受けましたが、『キャプテンウルトラ』の最終回も忘れることができません。「宇宙の果て」は「あの世」とつながっているのでしょうか。さまざまな解釈ができるエンディングでした。

 円谷プロの2大レジェンド番組に挟まれた『キャプテンウルトラ』ですが、未知なる世界への夢とロマンを謳った壮大な冒険ドラマだったことは間違いありません。