『ゴジラ-1.0』場面写真 (C)2023 TOHO CO.,LTD.

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深読み不要だったまさかの理由

 大ヒット上映中の『ゴジラ-1.0』(監督:山崎貴)は『シン・ゴジラ』(脚本・総監督:庵野秀明、監督:樋口真嗣)が生み出した高いハードルを見事に跳び越え、新たな「ゴジラ映画」像を次世代に向けて見せてくれました。

 誰もが楽しめる極上のエンタメ映画であるばかりでなく、特撮ファンからの評価も軒並み高く、例えば「オタキング」こと岡田斗司夫氏も自身の動画チャンネルで「97点」と高得点をつけています。

 さて特撮ファンの間では毎回、ゴジラ映画が制作されるたびにゴジラの「身長」が話題に上がります。まず、1作目『ゴジラ』で倒された初代ゴジラの身長は50mです。この設定は2作目『ゴジラの逆襲』から15作『メカゴジラの逆襲』まで登場した2代目ゴジラにも引き継がれましたが、仕切り直しとなる1984年公開の『ゴジラ』で身長が80mに変更されます。ビルの高層化に合わせ、設定の見直しがなされたのです。

 以降、ゴジラの身長は「伸びたり縮んだり」を繰り返し、前述の『シン・ゴジラ』では118.5mまで達しました。ゴジラの大きさは画面の迫力に直結するもので、身長の設定は制作陣からしても大切な要素なのです。

 さて今回の『ゴジラ-1.0』に登場するゴジラの身長はというと、公式設定は50.1mでした。そうです。「0.1m」という、なんとも意味深な数字が、初代の身長にプラスされています。

 特撮ファンからすれば、ときめかずにはいられません。山崎監督が仕込んだ何か重要な意味が込められているに違いないのですから。タイトルの「-1.0」に合わせるなら、初代ゴジラより1m低い49mでも良いのに、あえて0.1m大きくした理由は何なのか。さまざまな憶測がネットで飛び交いましたが、謎は深まるばかりです。

 また、メディアでもこの身長設定に関して、山崎監督が語ることがありました。例えばスポーツ報知のインタビュー記事で、山崎監督は身長に関して「50メートルくらいだと見上げた時に目が合う感覚もあるし、ゴジラと人間を一緒に撮ることもできる」と言っていますが、あくまでもサイズ感への言及に止まり、「0.1m」に込めた意味は分からずじまいでした。

 ところが『キネマ旬報』(2023年11月号)に掲載された山崎監督のインタビュー記事で、その疑問は解消されます。そして同時に多くのファンがずっこけ、爆笑しました。いったい、どういうことか。さっそく、該当箇所を見てみましょう。

「ゴジラの身長も初代に合わせて50mでオーダーしています。ただ、完成したCGモデルを正確に測ったら10cm高くて公式設定は、50.1m。ちょっと大きくなってしまいましたが、他意はないです(苦笑)。」

 まさかの「他意はないです」でした。

 実際はそもそも50mの予定だったのです。なんたる素敵な肩透かしでしょうか。とはいえ、モデリングにおける正確な数値をそのまま「公式設定」に採用するあたり、山崎監督の「VFX」への忠義心すら感じさせます。いずれにせよ、この誤差が『ゴジラ-1.0』という名作を印象付けるフックになったことは間違いありません。

 山崎監督から手渡された次のバトンを受け取った監督は、果たしてどんな身長設定にするのでしょうか。当然、そこには「ゴジラシリーズが続きますように」というファンの想いも込められています。