パッケージに山岸由花子が描かれた『ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない Vol.3』DVD(ワーナー・ブラザース・ホームエンターテイメント)

【画像】原作よりかわいい? ヤンデレ感が薄い? 『ジョジョ』実写版の由花子サン

その愛は、海よりも深し!!

 少年誌「週刊少年ジャンプ」の作品でも、しばしば「狂気的な愛」に生きる女性キャラクターが登場します。なかには、読者をドン引きさせる行動をとった女子もいました。今回は、そんな彼女たちの「ヤンデレっぷり」をご紹介しましょう。

『ジョジョの奇妙な冒険』山岸由花子

 人気マンガ『ジョジョの奇妙な冒険』第4部に登場する、自身の髪の毛を操るスタンド「ラブ・デラックス」を持つ女子高生・山岸由花子は、成績優秀なうえに容姿端麗という、一見非の打ち所がないキャラクターです。しかしその裏には、同級生の広瀬康一に一方的な好意を抱き、彼を「拉致監禁」してしまうような異常性が隠されていました。

 彼女いわく「立派な男に教育する」ために監禁を行ったとのことですが、その教育方法も極めて過激です。厳格な家庭教師のように康一を問題集漬けにして教育して、食事の時間でも間違えたら消しゴムや石鹸を食べさせる想定のクイズを出題、さらにお手製の電気椅子まで用意するなど、愛情が裏返りすぎた行動を平気でやってのけます。

 挙げ句の果てには、なかなか自分を受け入れようとしないどころか、逃げようとした康一にブチ切れてスタンドバトルを仕掛ける始末でした。連載当時、多くの読者が由花子の「強火すぎる愛」に衝撃を受けたのではないでしょうか。そしてさらに衝撃なのは、その後に康一と由花子が「両想い」になったことでした。このエピソードでは由花子と康一のそれぞれの精神力の強さ、愛の深さに、感動した読者も多かったようです。

 ちなみに『ジョジョ』4部は1990年代前半に連載された作品で、まだ「ヤンデレ」という言葉がなかった時代でした。そのため作中では、「プッツン由花子」(岸辺露伴先生の命名)と表現されています。

『HUNTER×HUNTER』パーム=シベリア

『HUNTER×HUNTER』の「キメラ=アント編」の討伐隊のひとりのパーム=シベリアは、一見ホラー映画から飛び出てきたかのような不気味な雰囲気を持つ女性です。しかしその素顔は「超」がつくほどの美形で、彼女の身なりを整えた姿を見たキルアが、その変貌ぶりに「誰だよ!?」と大声でツッコむほどでした。

 もともとは念能力の師匠であるノヴにゾッコンでしたが、次第に主人公・ゴンのひたむきさにも惹かれ始めるようになります。そしてNGLへ連れて行くという約束を破った罰として、ゴンとパームは晴れて付き合うことになるのですが……。

 交際が始まってからも、彼女のヤンデレっぷりは健在でした。ゴンから「修行に専念したい」と別れを切り出されたときには、気持ちを踏みにじった罰としてひたすら反省文を書かせ、キルアがゴンを彼女から引き離した際には「あははははははははははは」「どこまでだって追いつめてって消してやるわ!!なめんじゃねえよ」と、ありとあらゆる刃物を身につけて彼らを追いかけようとしています。

 パームはその後、任務中にキメラアントにされてしまい、一時敵となりました。しかし、キルアの涙に感銘を受けて正気を取り戻しているあたり、彼女の心の奥に潜む優しい性格は本物のようです。

『呪術廻戦 0』祈本里香

 人気マンガ『呪術廻戦』の前日譚『呪術廻戦 0 東京都立呪術高等専門学校』は、『呪術廻戦 0』としてアニメ映画化され、大ヒットしています。同作に登場した乙骨憂太の幼なじみ・祈本里香は、彼と結婚の約束を交わすほどの仲でした。しかしその後、里香は交通事故で亡くなり、「特級過呪怨霊」として乙骨に取り憑いてしまいます。

 そして乙骨を想う気持ちが強すぎるあまり、彼に危害を加える者には容赦ない制裁を加えるように……。いじめっ子たちをロッカーに詰めただけでなく、生前仲が良かった乙骨の妹にまで攻撃的になったそうです。里香の愛が彼の運命を大きく変え、乙骨は家族の元から離れて、やがて力の使い方を学ぶために呪術高専へと入学します。

 ときに乙骨の同級生の禪院真希に対し、「ずるい ずるい゛」「お゛前ばっかり!!! オ゛前ばっかり!!!!」と嫉妬心を剥き出しにしたこともありましたが、それを乙骨がひとたび咎めると、涙をこぼしながら謝罪する素直な一面も見られました。どこまでいっても彼女は、乙骨のことが大好きなのです。

 その後、乙骨と里香の関係性に隠された、とある「どんでん返し」により、読者や映画の観客は涙を搾り取られる事態となりました。里香(リカ)はその後の『呪術廻戦』本編でも、形は違いますが、重要な役割を担っています。