「ドラゴンボール SCultures BIG 造形天下一武道会5 -共- 其之四 ラディッツ 約15cm フィギュア」(バンプレスト)

【迫力!】悟空とラディッツが「魔貫光殺砲」で貫かれる名シーンを見る

悟空を一番追い詰めたのはラディッツ?

 人気マンガ『ドラゴンボール』の「サイヤ人編」では、最初に孫悟空の実の兄・ラディッツが強敵として登場します。ラディッツは戦闘民族サイヤ人であり、地球の10倍の重力がある惑星ベジータの出身者でした。

 ラディッツは悟空(サイヤ人名はカカロット)を惑星襲撃メンバーに誘いますが、悟空は拒否したため、ラディッツは悟空の息子である孫悟飯を拉致しました。悟空は最大のライバルだったピッコロと手を組み、ふたりがかりでラディッツと戦いますが、それでもまるで敵いません。

 万策尽きた悟空は、自分がラディッツを羽交い絞めにし、ピッコロの「魔貫光殺砲」で貫くように言います。魔貫光殺砲は、悟空ごとラディッツを貫通し、ラディッツは倒されました。

 ラディッツはこのような形で登場するキャラクターですが、実は悟空にとってはある意味、作中で最大級の強敵だったと思われます。多くの場合、勝てない強敵に敗北した後で、修行を行い、強敵に打ち勝つというプロセスをたどる『ドラゴンボール』ですが、ラディッツ戦では修行パートが存在しませんでした。

 悟空がふたりがかりで強敵に立ち向かうことは、続編の『ドラゴンボール超』などでもありますが、基本的には1対1で、入れ替わって戦うという形であり、「ひとりでは勝てないからふたりがかりで」という戦法になる場合はあまり見られません。

 ふたりがかりでも、実力では勝てなかったという点を考えても、ラディッツは絶望的な強敵だったと言えます。ところが、ラディッツは倒された後で「閻魔大王のところで暴れた」と言われるくらいで、その後の物語で顧みられることがありません。

 悟空の父親であるバーダックや、母・ギネの物語が描かれた際にも、ラディッツへの言及はあまり見られませんでした。悟空はベジータ戦が終わった後で「修行して1人で勝ちたい」と言い、魔人ブウ戦でも「1対1で勝負してぇ」と言っているのですが、真っ向勝負では勝てなかった実の兄には、そういった気持ちがないようです。

 もし、悟空が唯一の肉親でもある兄・ラディッツへの借りを返すために、界王様にお願いしてラディッツの体を復活させ、あの世での再戦を望んだらどうなっていたでしょうか。界王拳の取得後であれば、悟空が圧倒的な実力差で勝利するでしょう。

 ラディッツも「強さ」に価値を感じるサイヤ人ですから、悟空が見違えるほど強くなったのなら、相手を見下す部分が改められ、兄弟の関係改善も起きたかもしれません。自分に勝利した悟空から「どんなサイヤ人にも勝ってみせるから、見守ってくれ」と言われたら、どうなるでしょうか。

 ラディッツは悪人として描かれており、ナッパに「弱虫」だとも言われている存在ではありますが、男らしいバーダックと、優しいギネの子供でもあります。冷酷非情だったベジータですら、数々の戦いを経て地球に馴染み、改心したのですから、唯一の肉親でもあるラディッツは、悟空と「和解」できる可能性もあったのではないでしょうか。

 なお、地球のドラゴンボールで死者を蘇生させる条件で、引っかかるのは「生き返るのは基本的には1年以内の死亡まで」というルールです。実際フリーザは死後10年経ってからの復活でしたが、体がバラバラになっているなど、不完全な蘇生となっています。

 そう考えると、ラディッツが仮に改心して蘇らせるとしたら、悟空が界王拳を取得したベジータ戦で蘇生したのと同じタイミングしかありません。

 もちろん、ラディッツはナッパやベジータの制裁に怯えるでしょう。しかし、悟空がナッパを倒し、ベジータとすら互角以上に戦う姿を見れば、ラディッツも「必死に努力すれば、ベジータにだって勝てないことはないんだ。俺はカカロットと同じ血を引いているのだから」と、感じるかもしれません。

 ちなみに、PlayStaion2のゲーム『ドラゴンボールZ Sparking! NEO』では、記憶を失った後で、悟飯たちと平和な日々を送り、良心を持ったラディッツの姿が見られますが、シリーズ屈指の感動的な「ifストーリー」だったと思います。

『ドラゴンボール超』では、父・バーダックのエピソードが掘り下げられましたが、「弱虫ラディッツ」とベジータたちに見下されつつも、生き返ったラディッツが悟空の兄としてプライドを持って修行に励めば、また別の面白い展開が生まれたかもしれません。