ファミコン時代、さまざまなRPGが生まれ、消えていった。画像は「ニンテンドークラシックミニ ファミリーコンピュータ」(任天堂)
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ドラクエやFFにも負けない個性派RPG
ファミコン世代に衝撃を与えた『ドラゴンクエスト』(1986年)の発売。同作で初めて「RPG」というゲームジャンルに触れたという方も多いのではないでしょうか。
その『ドラクエ』の大ヒットを機に空前のRPGブームが到来すると、ファミコンではたくさんのRPG作品がリリースされました。その中から日本を代表する国民的RPGに成長したのが、前述した『ドラクエ』シリーズや『ファイナルファンタジー』シリーズでした。
しかし、そんなファミコンのRPGブームの中で生まれた作品には、『ドラクエ』や『FF』にもひけをとらない魅力的な作品がありました。そこで今回は個人的にドハマリした「もっと評価されるべき」と感じたファミコンRPGをご紹介します。
斬新な戦闘システムのとりこに!
最初に紹介するのは、1987年10月にタイトーがリリースした『ミネルバトンサーガ ラゴンの復活』。1987年と言えば、『ドラゴンクエストII 悪霊の神々』(1月26日発売)が発売された年。そして『ファイナルファンタジー1』も同年12月発売なので、ちょうど『ミネルバトンサーガ』は、『ドラクエII』と『FF1』の間に発売されたソフトです。
バカ売れした『ドラクエII』や、1作目から注目を集めた『FF』に比べると、どうしても地味な印象が拭えない『ミネルバトンサーガ』。しかし、実際にプレイした自分や友達の間ではめちゃくちゃ評価が高く、盛り上がった作品でした。
この頃のファミコンのRPGでは、パーティを組んで仲間と冒険するシステムが流行。『ミネルバトンサーガ』もストーリーが進む中で仲間が加入します。ただ、それとは別に傭兵を呼び出すシステムが導入されていて、これがとにかく斬新でした。
戦闘時に呼び出した傭兵は、主人公パーティに代わって戦ってくれるのですが、敵を倒せば傭兵たちもしっかりと成長。ただし、傭兵は一度死んでしまうと復活できないので、まるで『ファイアーエムブレム』のようなシビアな世界観です。
また戦闘は『ドラクエ』のようなコマンド選択式ではなく、『ドルアーガの塔』のような、ちょっとしたアクションバトル。主人公を操作して敵に体当たりしたり、遠距離からチクチク攻撃したりと、多少の戦略性がある点もプレイしていて楽しかった部分でした(仲間は自動的に動きます)。
それに『ミネルバトンサーガ』は、一瞬でゲームデータが保存できるバッテリーバックアップを採用。『ドラクエII』の時に超長いパスワードを毎回メモしていた苦労を思い出すと、この圧倒的な便利さはたまりません。
そんな、いろいろと頑張っていた良作『ミネルバトンサーガ』が、なぜ『ドラクエ』や『FF』シリーズのようになれなかったのか、その理由は正直わかりません。自分の周りでは、「タイトーが同作の前に出した『未来神話ジャーヴァス』がイマイチすぎて印象が悪かった」「続編の『シルヴァ・サーガ』がまるで別物のゲームになってしまった」といった声を聞きましたね。
ファミコン後期、コナミが生んだ知る人ぞ知る良作RPG『魍魎戦記MADARA』(コナミ)
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キャラゲーと侮れない完成度に衝撃!
国民的キャラがモチーフの骨太RPG
続いては人気アニメをモチーフにした良作RPGから。『SDガンダム外伝 ナイトガンダム物語2 光の騎士』と迷ったのですが、エポック社の『ドラえもん ギガゾンビの逆襲』のほうを推します。
同作は、いわゆる『ドラクエ』タイプのオーソドックスなRPG。ファミコン時代のキャラゲーはクオリティの差が激しかったですが、この作品は『ドラえもん』の世界観を損なわず、RPGとしてもかなり丁寧に作られていました。
例えば「どら焼き」がお金やMPの役割を果たします。冒険に役立つひみつ道具を使った場合、どら焼きを消費。そのどら焼きは、戦闘をこなした回数によって、ドラミちゃんからゲット可能。おなじみのひみつ道具もたくさん登場しました。
ストーリー面では、複数のドラえもんの映画作品がモチーフになっているのもファンにとっては嬉しいところ。映画のサブキャラなどもしっかり登場するので、原作を知っていると、より楽しめる内容です。そして『ドラえもん』のRPGだけに子供向けと舐めてかかると、案外難易度は高いので油断は禁物。けっこう歯ごたえがありました。
ちなみに、ハドソンが発売したアクション&シューティングゲーム版の『ドラえもん』もかなりの良作。『ギガゾンビの逆襲』と併せて今改めてプレイしたら、映画作品の懐かしさも相まって一層楽しめそうです。
ファミコンとは思えない映像とサウンドで魅了
最後に紹介するのは、コナミが発売したRPG『魍魎戦記MADARA』。ゲーム雑誌『マル勝ファミコン』で連載されていた同名マンガが原作になっていて、原作:大塚英志、作画:田島昭宇と言えば『多重人格探偵サイコ』なども手がけたコンビです。
原作同様、東洋神話をモチーフにしたファンタジー世界が舞台のRPGで、良くも悪くも王道のRPGといった印象。ですが、同作にはファミコン末期のコナミによる神がかった技術が採用されていて、とくにビジュアルとゲームサウンドの素晴らしさは群を抜いていました。
ただ、ゲームバランスには少々問題があって、ザコ敵が極端に強かったり、やけにエンカウント率が高かったりと、普通にプレイすると難易度は高め。しかし「ゴウリキふ」「ヨウリキふ」という、ダメージを一定量防ぐ霊術の効果が絶大すぎて、これを使用すれば大半の攻撃はシャットアウト可能です。逆にセイシンジャやナユタといった霊術使いがパーティーに必須という、ちょっぴり偏った面がありました。
個人的には「ゴウリキふ」「ヨウリキふ」さえあれば、どんな強敵にも対抗できるという点が逆に面白くて、粗とは思わなかったのが正直なところ。さらにサウンドの秀逸さは全ファミコンソフトのなかでも最高クラスで、いまだにサントラCDを引っ張り出して聴きたくなる名作です。
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ほかにも『ヘラクレスの栄光』『貝獣物語』『メタルマックス』『天地を喰らうII』など、心に残るファミコン時代のRPGはたくさんあります。おそらく自分がプレイしたことのない作品の中にも、もっと評価されるべき隠れた名作は存在することでしょう。現在「Nintendo Switch Online」にはファミコンソフトをプレイできるサービスがあるので、そういう名作はどんどん追加してほしいですね。