転生後も追いかけてくる妹に恐怖! 画像は『転生ごときで逃げられるとでも兄さん』第1巻 (C)紙城境介、木鈴カケル/KADOKAWA

【画像】鬱展開はもう嫌だ! 闇落ちなしの魔法少女作品を見る(5枚)

表紙のかわいさにだまされるな!

 ひとつのジャンルとして人気を確立している「鬱マンガ」は、「絶望感」「憂鬱感」など心をざわつかせるストーリーが魅力的です。表紙から「あっ、鬱マンガっぽいな」と判断できる作品も多いですが、なかには「表紙からは想像できなかったけれど、内容が鬱展開だった」という作品もあります。この記事では巻数が少なめで読みやすいけれど、表紙を信じて読んではいけない、鬱展開のマンガを4作品ご紹介します。

 はじめに紹介したいのは『転生ごときで逃げられるとでも兄さん』(原作:紙城境介、マンガ:木鈴カケル)です。原作は「小説家になろう」で人気となり、コミックス化されました。原作は凄惨すぎるあまりR15指定となり、マンガ版もR18指定になりかけた作品です。

 前世では実の妹からの異常な執着によって監禁されたり、少しでも仲良くなった人が目の前で殺されてしまったりと、散々な人生を歩んでいた兄。どうにか監禁場所から逃げ出しますが、交通事故で命を落とします。その後、異世界へ転生できる切符を手にしますが、転生先でも妹の魔の手から逃れられず……と言うお話です。

 表紙は少年マンガのヒロインとして登場しそうなメイド服姿の女の子が微笑んでいます。しかし、見た目のかわいらしさにだまされてはいけません。女の子の正体は、実の兄を監禁し、兄の友人たちを惨殺した妹です。兄を愛しすぎている妹のヤンデレ具合はホラー映画に勝ると思えるほどの迫力です。

 続いて紹介したい作品は『adabana 徒花』(原作:手塚だい、マンガ:NON)です。ある田舎町で起きた殺人事件で「自分が殺した」と自供する少女・藍川美月のお話です。NON先生の画力によって、残虐なはずの血が飛び散るシーンなどでも、美しさを感じてしまう作品です。

「現実で起こっていたのでは?」と感じるほど生々しいストーリーや、少女たちに起こった絶望的な出来事を知ったあとの、やるせない憂鬱感がたまらない作品です。少女が殺人事件を起こした原因や、自首した理由を知ると少女たちの友情や美しさがより際立ちます。こちらも全3巻で完結していますが、「ちょっと時間があるから」というだけで読もうとするのはあまりオススメできません。確実に心が元気で、読んだあとに精神的ダメージを受けていても生活に問題ないときに読むことをオススメします。



主人公が「死んでから」始まるストーリーに「ゾワッ」 画像は『おくることば』第1巻 (C)町田とし子/講談社)

 グロ要素は少なめですが、「鬱」という点では引けを取らない作品は、『おくることば』(著:町田とし子)です。交通事故で亡くなった主人公・佐原真舵が霊体となり、自分自身の死の真相を探っていくお話です。

 表紙は水彩画のような繊細なタッチの女の子が描かれています。この表紙だけ見たら少女マンガと勘違いしてもおかしくないかもしれません。しかし、内容は第1話から佐原が交通事故で亡くなったシーンからスタートします。

 ストーリーが進むにつれて、佐原が生前仲良くしていた同級生たちの、知らなかった一面が明かされていきます。特に佐原を殺したかもしれない、幼なじみの哀川千秋がとる不可解な行動はすべて不気味で先が読めません。また、同級生たちがそれぞれ抱える闇や秘密が明かされるたびに、読者の心にしこりのようなものが残ります。全3巻で完結しており、最後まで読み終えると作品の印象がガラリと変化する予測不能なストーリーも読み応えがあります。

 最後は『エルフェンリート』(著:岡本倫)を紹介します。鎌倉を舞台に主人公・コウタが、特殊能力を持つルーシー(にゅう)と出会ったことで新人類をめぐる争いに巻き込まれていくお話です。

 表紙はかわいらしい女の子にも関わらず、内容は残虐なシーンが満載で、「表紙詐欺マンガ」の候補に挙げる読者が多い作品です。作中では、女子学生の四肢がもがれたり、首が「プチッ」と引きちぎられてしまったりと、目をそらしたくなるようなシーンがいたるところに描かれています。

 その『エルフェンリート』以上に救いのないストーリーだといわれている作品が、岡本倫先生がその後に制作した『極黒のブリュンヒルデ』です。『エルフェンリート』以上の鬱展開を期待する読者は『極黒のブリュンヒルデ』も手に取ってみるのはいかがでしょうか?