血筋ではなく努力で強くなった主人公・緋村剣心が描かれた『るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚-』ビジュアル (C)和月伸宏/集英社・「るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚-」製作委員会

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サラブレッドに負けない主人公たち

「友情・努力・勝利」の三原則を貫く「週刊少年ジャンプ」作品。魅力的な主人公が強敵を打ち破る姿にはいつも胸が熱くなります。しかし「ルフィ」や「ゴン」「ナルト」など、彼らの強さの秘密には特別な「血筋」が関わっていることもしばしば。もはや「ジャンプ」の原則は「友情・血筋・勝利」と化してしまったのでしょうか? そこで、「努力」だけで強くなった「ジャンプ」の主人公たちを探ってみました。

 まずは『僕のヒーローアカデミア』の主人公である、ヒーロー名・デクこと緑谷出久(みどりや・いずく)です。特殊な能力「個性」を持つ人々が急増した「超人社会」のなかで、「無個性」として生まれたデク。彼の母・緑谷引子は、一般市民として登場しています。母が「物を引きよせる」個性であるのに対して、父親は「火を吹ける」という個性の持ち主であることが判明済み。しかしデクは両親のどちらの個性も引継ぐことができませんでした。

 無個性であっても「ヒーローになる」という夢を諦めなかったデクに転機が訪れたのは、ナンバーワンヒーロー・オールマイトと出会ってから。オールマイトは「人を助けたい」と誰よりも強く願うデクの望みを受け入れて、自らの個性「ワン・フォー・オール」を譲るのです。

「ワン・フォー・オール」継承のための肉体トレーニングや、継承後の力のコントロール法の確立は、全てデク自身が自力で勝ち取ったもの。まさしく努力の末の力と言えるでしょう。

 続いて紹介するのは『るろうに剣心』の主人公である緋村剣心(ひむら・けんしん)。かつて「人斬り抜刀斎」と恐れられた彼は、もともと心太(しんた)という名前の少年でした。両親を虎狼狸(コレラ)で失った心太は、9歳にして天涯孤独の状態に。作中で両親が高名な武士であったという描写もないことから、一般的な夫婦であったことが考えられます。

 そんな心太は人買いに捕まり山賊に襲われるという過酷な境遇にいるところを、比古清十郎に拾われました。その後、師である比古清十郎から「飛天御剣流(ひてんみつるぎりゅう)」を継承し、「剣心」という名前をもらった心太。14歳になると世の動乱を終わらせるために「飛天御剣流」を振るうことを決意し、比古清十郎のもとを去るのです。

 そして15歳からは長州藩の暗殺者「緋村抜刀斎(ひむらばっとうさい)」として暗躍。幕府の要人を切り捨てるうちに「人斬り抜刀斎」の異名を轟かせるのでした。男性としては小柄な剣心が非常なまでの強さを手に入れられたのは、師である比古清十郎の鍛錬の賜物だったといえるでしょう。

 最後に取り上げるのは『チェンソーマン』の主人公・デンジ。デビルハンターとして活動するデンジは、ポチタがデンジの心臓となることで「チェンソーの悪魔」の力を手に入れました。普段は少年の姿をしているデンジは、胸から生えている「スターターロープ」を引くことで悪魔への変身が可能。頭部と両腕がチェーンソーと化し、悪魔と戦うのです。

 デンジの両親についてはすでに死亡していることが判明しています。父親は多額の借金を作っており、デンジはその借金を返済するため貧しい生活を余儀なくされていました。また、母親も心臓の病気ですでに他界。母の心臓病を引き継いでしまったのか、マンガの第1話ではデンジも心臓が弱く吐血するシーンが描かれています。

 負の遺産のみを両親から受け継ぎながらも、ポチタやマキマの助けによって自分の居場所を手に入れたデンジ。コツコツと父親の借金を返済し、親友のポチタに自らの血を分け与えられるデンジだからこそデビルハンターとしての居場所を手に入れられたのかもしれません。