不敵に笑う才槌老人が描かれた『るろうに剣心―明治剣客浪漫譚―』完全版第12巻(集英社)

【画像】もっと活躍してほしかった?ジャンプ人気作の不遇敵キャラ(7枚)

仲間外れにされていたサンタナ

「週刊少年ジャンプ」の人気作には、本当は実力的に強いはずなのに、かませ犬やザコ扱いのように負けてしまった敵キャラ、敵チームがいます。そこで今回は目立った活躍も与えられなかった、不遇な敵キャラたちを振り返ります。

「柱の男」最弱……『ジョジョ』2部のサンタナは不遇だった?

『ジョジョの奇妙な冒険』第2部に登場した、地上で最も進化した生物「柱の男」のひとり・サンタナ。彼は目覚めたばかりのとき、人間や吸血鬼を体内に取り込んで自身のエネルギーにしたり、小さな空気孔に骨格をバラバラにして体をねじって入り込んだりと、まさに驚異的な生物としての強さを見せつけました。

 そしてサンタナはジョセフ・ジョースターとのバトルでも、その能力を発揮します。指一本でジョセフを吹っ飛ばす剛力を発揮、ろっ骨を露出させたブレード「露骨な肋骨」や、自身の肉片を取りつかせエネルギーを吸い取る「憎き肉片」とさまざまな攻撃法でジョセフをピンチに追い込みました。

 そんな圧倒的パワーを持ちながら、結局負けてしまったサンタナ。その後、サンタナは、カーズら他の柱の男と帯同していなかったこと、ひとりだけ「波紋」を知らなかったこと、他の3人と違い「モード」も持っていないこと、などが明らかになってどんどん不遇感が強くなっていきました。目覚めてすぐにジョセフと戦う羽目になったのも、彼の運が悪いところです。

翁とのバトルが幻となり活躍の場を失った、『るろうに剣心』の才槌老人

『るろうに剣心』の「京都編」で明治政府の転覆を画策した志々雄真実が束ねていた精鋭部隊「十本刀」に、「破軍」というふたり組がいます。そのひとり、身長8メートルの巨躯の不二は作中最強の男・比古清十郎に敗れましたが、なかなかエモいバトルを繰り広げて、読者の印象に強く残るキャラとなりました。

 一方、もうひとりの破軍で不二の手のひらに乗る小男・才槌(さいづち)老人は、十本刀のなかでもかなり不遇な人物です。才槌は弁論に優れ、薫や弥彦らの不利を論理的に説いて士気を削ごうとしたり、仲間である不二をかつての恩を引き合いに言うことを聞かそうとしたりと弁舌をふるいました(両者とも失敗しましたが)。志々雄からも「戦略は方治、戦術は才槌」と言われるほどの策士です。

 そんな才槌ですが、当初和月伸宏先生の構想では御庭番京都探索方の頭領・柏崎念至、通称「翁」とのバトルがあったそうです。しかし、「ジジイ同士の闘いなんて誰が喜ぶのか?」と思い直しカットになったそうです。結局、誰とのバトルも描かれることがなかった才槌、最後は不二が倒れた際に下敷きになり、これといった活躍もなく敗れ去りました。その後は外務省の裏役人として暗躍しており、より性に合った役割を得たようです。



口癖は「ケケケ~」と「マキ マキ~」のミスターカーメンが表紙に描かれた『キン肉マン』第10巻(集英社)

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『SLAM DUNK』県決勝リーグ全敗の武里は本当に弱いのか?

3戦大差の全敗……果たして本当に弱いのか? 『SLAM DUNK』の武里高校

『SLAM DUNK』でインターハイの神奈川県予選決勝リーグに勝ち上がったのは、海南、陵南、湘北、そして「武里」でした。全チームに大差をつけられ惨敗し、早々にインターハイ出場争いから脱落するという不遇な扱いを受けた武里は、かませのように見えますが、意外に強いチームなのかもしれません。

 というのも武里は、前年もベスト4まで勝ち上がった県内強豪校です。さらに描かれた当年のスコアを見てみると……。

★武里(81-120)湘北☆

 39点差をつけられた惨敗ですが、比較として陵南対湘北のスコアを見てみると……

★陵南(66-70)湘北☆

 陵南が湘北から66点をあげたのに対し、赤木温存、桜木の遅刻といった主力を欠く状態とはいえ、武里は湘北から81点を上げています。さらに対海南戦も見てみると……

★武里(51-98)海南☆

 こちらも、いかんともしがたい大差での敗北。しかしその後に行われるインターハイで、海南の初戦での岩手県代表の馬宮西のスコアは……。

★馬宮西(49-104)海南☆

 海南は武里戦、馬宮西戦とも主力メンバーをベンチに引っ込めましたが、同じような条件で県ベスト4の武里が51点、岩手県代表の馬宮西は49点。地方の県代表より、武里は得点をあげたことになります。そもそもインターハイ2位の海南、陵南、(湘北に負けたものの)前年はインターハイに出場している翔陽など強豪ひしめく神奈川県でベスト4は相当強いチームだと思われます。翔陽の藤真も、武里について「そんなに悪いチームじゃない」と評していました。

正義とは? 乱入で敗れた『キン肉マン』のミスターカーメン

『キン肉マン』でミートくんを人質にとった7人の悪魔超人のなかで、アイドル超人のブロッケンJr.と戦ったのが、古代エジプトの王族を想起させるコスチュームをまとったミスターカーメンでした。

 カーメンは腰布でブロッケンをきちきちに包み込み、動けなくさせる「ミイラパッケージ」という技を繰り出します。相手の体に巨大ストローを突き刺し水分を吸いつくしミイラにするという技ですが、ブロッケンは間一髪、レフェリーを身代わりにし回避しました。その後、再びカーメンはパッケージに成功しますが、突如、謎の超人(後にモンゴルマンと判明)が乱入しブロッケンを救出。モンゴルマンがレッグラリアートを叩きつけ、カーメンは敗北してしまいました。

 勝利目前だったカーメンでしたが、ブロッケンサイドのレフェリー身代わりとモンゴルマン乱入という、後に正義超人と呼ばれる相手に「卑怯」がチラつく行為で負けてしまったのは気の毒でもあります。