じつは国産旧車よりも外国旧車のほうがレストアしやすい?
また、国産車ばかりでなく外国車にまで目を向ければ、修理がしやすく、維持も容易な旧車というものが数多く存在していることに気づくことでしょう。
世界的に人気のある外国製旧車は各国にファンがいるので、部品の流通量がケタ違いに良く、現在でも新品部品が作られているほか、場合によっては市場に流通しているパーツだけで新車が1台組めてしまうほどです。
しかも、需要が多いだけあってパーツも手頃な価格のものが多く、インターネットを使えば、それらのパーツが容易に入手できることも大きなメリットです。
例えば、7〜8年前に米国から77年型マスタングII用のサスペンションキット(サスとブレーキ一式がフロントメンバーに組みつけられたもの)をネットを通じて米国から個人輸入した場合。支払い金額は邦貨換算で送料を入れても20万円弱ほどだったことも(1ドル=80円台の時代)。注文してから1週間ほどで届くなど、国内の専門店を通じて購入するよりも、早く、安く買うことができるのです。
こうした事情からレストア初心者には、国産車よりも外国車のメジャー車種を薦めるベテラン・レストアラーも多くいるほどです。
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レストアされることが多い人気の旧車
世界的に見るとレストアベースのタマ数が豊富で、構造が複雑でなく、部品の流通が良いMG-Bやアルファロメオ・ジュリアシリーズ、VWビートルなどがレストアされることが多い人気の旧車です。
MG-B
アルファロメオ1750GTV
VWタイプ1(ビートル)
日産 ブルーバード
国産旧車なら北米に大量に輸出されたフェアレディZ(S30型)や日産ブルーバード(510型)などがレストアに適しています(フェアレディZはベース車も高めですが)。
旧車をレストアするならボディのコンディション重視で!
相場と周辺情報の知識を得たところで、いよいよ本格的なベース車選びとなります。
コンディションに関しては、とにかく初心者はベース車の購入前に車体を入念にチェックして錆の少ない個体を選んで下さい。
レストア作業というとボディワークを思い浮かべる人も多いと思いますが、錆だらけのコンディションの悪い旧車を完璧にレストアしようすれば、作業時間と労力、そして予算はどれだけ掛かるかはわかったものではありません。
例えば、ボディ下回りと外装に錆が浮かんだアルファロメオをレストア込みで購入しようと考えた場合、プロのレストアラーに見積もりをお願いしたら、ボディワークだけで300万円を超える見積書が返ってきた……ということもあるようです。
エンジンやトランスミッションなどの機械系は、その気になれば修理や交換が可能ですが、ボディの取り替えだけはできません。ベース車の購入に当たっては何よりもボディのコンディションを重視して下さい。
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本格的じゃないプチレストアもオススメ!
先ほど「間口が広く奥行きが深い」と述べた通り、実際にはボディワークは再塗装だけで、錆取りや溶接などの板金修理がほとんど必要ないケースもあります。
もしみなさんの中でレストアに興味をお持ちの方がいらっしゃるのなら、本格的なレストアを始める前に、プチレストアからチャレンジされたほうが良いかも知れません。
プチレストアとは?
10万円で購入した92年型ルノー・サンクを「プチレストア」する場合、例えば以下のような内容になります。
錆や大きなヘコミなどはなく塗装面が痛んでいただけなら、痛んだ塗装面の再塗装と、エンジンからの水漏れを直してもらう程度で、大きな修復作業はありません。あとは自分で点検と消耗品の交換、徹底的な掃除、内装のメーターバイザーの補修を行うのみです。
何より、予算も50万円くらいで済みます!修復作業は楽しく、他では得難い貴重な経験ができますよ。
レストアして旧車に乗る醍醐味とは?
旧車はノスタルジーだけでなく、強烈な個性、ダイレクトな運転感覚、コストダウンとは無縁の丁寧な作り込みなど、現在のクルマにはない独特な魅力に溢れています。ましてや、自分がレストア(たとえそれがプチレストアだったとしても)したクルマなら思い入れもが深くなることでしょう。
レストアする課程で、そのクルマのメカニズムや設計理念をより深く知ることができますし、レストアの情報を収集する課程でクルマに対する知識も増えて行きます。それに、ステアリングを握る度に「このクルマは自分がレストアしたクルマだ!」と実感することができ、それが何にも増して得難い喜びになります。
旧車は維持が難しいクルマではありません。ほんのちょっとの情熱とクルマに対する愛情があれば誰でも乗ることができ、維持をすることが可能です。レストアに興味を持った方、奥が深いレストアの世界に足を踏み入れてみてはいかがでしょうか。