レストア(restore)とは英語で「元の状態に戻す」という意味の言葉。転じて自動車の世界でレストアとは旧車を復活させることを指します。ここでは旧車のレストアを行う上での費用・修理代やレストア作業の流れから、ベースに適している車種まで徹底解説します。

※この記事は2018年に公開されたものを再編集した記事です。

旧車のレストアとは?その意味

レストア 旧車
Pedro Ribeiro Simões
出典 : https://www.flickr.com/

旧車を修理し、クルマとしての本来の機能を取り戻すことを「レストア」と言います。レストアは英語のrestore=元の状態に戻すという言葉からきたものです。

完全に故障している箇所はもちろん、傷みが進行している箇所や、ケアなしではすぐに傷んでしまう箇所を含め、車のメカ部分からインテリア、ボディに至るまで手を加えることを指します。

レストアには膨大な時間と予算、そして必要なパーツを探し出す根気と、地道な作業をコツコツと行う労力が必要です。そのためクルマ趣味の世界では、レストアは「王道」あるいは「究極の趣味」とも言われています。

レストアとオーバーホールの違い

レストアが自動車全体の修理やケアを指すのに対し、オーバーホールはエンジンやミッションなどのメカニカルな部分の点検・修理・交換を指します。

修理と異なるのは、1つの部品や故障箇所のみを直したり交換したりするのではなく、ある程度をまとめて点検・修理するという点です。一定期間が経過した機械部分を分解して検査し、不具合がない場合でも消耗品を交換します。

車の走行距離がかさめば、オーバーホールの機会は訪れます。したがって、1台の車を長く所有している人ほど、車の調子を保つためにオーバーホールは避けて通れないといえます。

しかし、1台の車を長く所有していてもレストアを行う人はほとんどいません。理由は前述の通り、レストアは修理・整備というよりも趣味の側面が強いためです。

愛車に思い入れが強い、整備が不十分な旧車やクラシックカーを購入したなど、こだわりのある人が行うものといえるでしょう。

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旧車の定義

旧車の定義とは人によって異なりますが、だいたい製造から四半世紀以上が経過したクルマというのが一応の目安となるようです。

どんなに優秀なクルマでも機械である以上、時間が経てば経年劣化で故障や不具合が生じるものですし、防錆対策が未熟な時代の旧車はボディが錆びに蝕まれることもしばしばあります。

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旧車のレストア費用・値段はどれくらい?

ポルシェ 356B
StingrayPhil
出典 : https://www.flickr.com/

レストアの費用ですが、これはピンからキリまで…としか言いようがありません。というのも、間口が広く奥行きが深いのがレストアの世界だからです。

「機能を回復する」という意味では、古くなったクルマの点検や掃除も広い意味ではレストアとも言えますし、クルマの塗装を剥がし、ホワイトボディ(ボディシェルの状態)にクルマをバラしてから完璧に組み立てなおすのもレストアと言えます。

さらに言えば、整備や修復技術を身に付けて自分で旧車を修復するのもレストアですが、お金を払ってプロに板金塗装やメカの修理をお願いするのもレストアです。つまり、レストアとは課程や方法論ではなく、「クルマの機能を回復する」行為そのものを指すわけです。

プロのレストアラーに頼むと数百万円以上かかる場合も!

レストア後の結果は同じだとしても、どんな方法を取るかで費用はまったく違ってきます。

例えば、経験豊富なレストアラー(レストアをする人)が、設備の整った工房で作業を行えば、時間も費用も大幅に節約することができるでしょう。

反対に、技術も知識もなく道具も揃っていないシロウトが、いきなり本格的なレストア作業に取りかかれば、時間も費用も膨大にかかることは想像に難くありません。

世の中には顧客から代金をもらってレストア作業を行うプロのレストアラーもいます。ベース車選びからすべてを任せてしまえば手間は掛かりませんが、その代わりに最低でも数百万円、ときには数千万円の工賃を要求されることもあります。

レストアの世界では「フェラーリだろうが、ポルシェだろうが、ベース車にどんなクルマを選んでも掛かる経費は一緒。結局はベース車の購入費用なんて工賃のオマケくらいにしかならない」などと囁かれているのです(かなりの極論ですが…)。