フライのマテリアル

フライの素材は、前述したように鳥の羽などを使って作ります。実際にどんな素材が使われているか見ていきましょう。

ハックル(鳥の羽)

「ハックル(鳥の羽)」はフライの基本となる素材です。キジやクジャク、ニワトリなどさまざまな鳥の羽が売られています。基本的にはケープという鳥皮に羽が付いた状態で販売されています。タイイング(フライ作製)に必要な分量を取り出して使用します。

動物の毛

フライには動物の毛も使用され、おもに硬い毛と柔らかい毛2種類に分類することができます。硬い毛はシカやウサギの毛などで、タイイングではカディスの浮力やテールに使用されます。柔らかい毛はスレッド(糸)に巻き付けてボディの作製に利用されます。

化学繊維

化繊はアカムシのボディや昆虫の足を表現するときに使用されます。最近ではワカサギなど小魚を模したチューブなども開発されており、今後、さらに種類は増えるでしょう。

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フライフィッシングには専用の釣り道具が必要

ロッド

フライフィッシングには専用のロッド(竿)が必要です。フライラインをキャストするために特化したガイドの形状をしており、ほかの釣りで代用することはできません。使用するラインの太さに合わせてロッドを選ぶ必要があります。ラインが太くなるほどロッドも大きくなります。管理釣り場では#5が基本的なサイズです。


#5(5番手)のロッド、WET5で表記されています

フライライン専用のガイドリール

リールもフライフィッシング専用のものです。ラインの太さに合わせた収容量になっているので、適したサイズのものを用意しましょう。しかし、小型から中型サイズの魚を釣る場合には、普段の釣りとは異なり、リールを巻き取りながらの魚とのやり取りはあまりないのもフライフィッシングの特徴です。手でラインを引き、足元にラインを落としながら魚を寄せてきます。


ディスクドラグ

クリック&ポウル

ただし、大物を釣り上げる場合はリールファイトする必要があり、ドラグ性能が重要です。シンプルな構造の「クリック&ポウル」と複雑な構造の「ディスクドラグ」が主なリールドラグの仕様となります。
最新のリールでは「ディスクドラグ」が主流となっており、ドラグ性能も無段階制御できるので初心者の方におすすめです。一方、様式美でドラグ音が特徴的な「クリック&ポウル」はやや扱いが難しいので、ある程度操作を覚えてから使用することをおすすめします。

ライン

ラインはいわゆる道糸側から、「バッキングライン > フライライン > リーダー > ティペット」の順に組んで準備します。

「バッキングライン」とは下巻きのラインです。魚とのファイトでリールからラインが出される場合がありますが、フライラインは15~30m程しかないので、それ以上ラインを出されたときに必要になります。性能はとくに気にする必要はないので、リールに収納したときの見た目で選んで構いません。

「フライライン」はフライフィッシング最大の特徴とも言えるでしょう。ライン構造は芯であるコアを樹脂でコーティングすることで浮力と耐久性を上げており、さらに、表面加工をすることで摩擦抵抗を調整しています。ラインの太さはライン番手(#)で表され、この数字が大きいほどラインが太く飛距離も伸びるのです。カラーはラインの動きを見ながらキャストするので、蛍光色などの視認性に優れたものを使用します。
ラインの種類には、水面に浮く「フローティングライン」と沈む「シンキングライン」の2種類がありますが、基本的に管理釣り場ではフローティングラインを使用します。

「リーダー」は太いフライラインを細くするために付けるラインです。太さは「X」で表記されます。フライラインの番手(#)と同じ太さを選択し、たとえば、フライラインが#5の場合、リーダーは5Xを選ぶといった具合です。長さは9ftが一般的ですが、初めて挑戦する場合には扱いやすい7.5ft程度がおすすめです。

「ティペット」はフライを結ぶ先端のラインになります。リーダーの太さ(X)と同じ太さ(X)を使用します。素材はナイロンとフロロがあり、ナイロンは軽い素材なのでドライフライ、フロロは重い素材なのでウェットフライ、ニンフフライに向いています。