ワンボックスタイプのベッドスペースの作り方

前述の通り、ワンボックスタイプなら、後席を収納または格納してしまえば、前席を使うことなく就寝スペースを確保することができる。

極端なことを言えば、マットさえ敷けば普通に寝られる車もある。

だが、例えば私のバモスを例に挙げると、後席は床下に格納する仕組みになっているのだが、格納しても後席から後ろの荷室の部分との間に5cm近い段差ができてしまう(この車は後席を半分ずつたたむことができるので、半分は座席のままにした状態)。

長さ的には十分でも、この段差を解消しないことには快適に寝ることができない。

そこで私の場合は、2×4材で高さ調整用の枠組みを作り、その上に合板を置いて寝台にし、その上にキャンプ用のマットを敷いてベッドにしている。

合板の下の枠組みは、高さは低いながらも収納スペースとなり、工具やタイヤチェーン、折りたたみチェア・テーブルなどの収納スペースとして活用している。

もっと高さがあれば荷物を入れやすいだろうにと思われるかもしれないが、ワンボックスとは言え軽自動車だから室内高は高くない。

あまり高くしてしまうと中で座れなくなってしまうため、この程度がちょうど使いやすいのだ。

そしてこの枠組みもボードも二分割式で、特に固定もしない(ズレない仕組みにはしてある)ため、至って簡単に退けられるように作ってある。

なぜなら、先程書いた通り、この車はエンジンがリアミッドシップレイアウトであるため、メンテナンスをするときや何かあった時に退ける必要があるからだ。

それだけでなく、全席使う状態にするのも簡単で、シンプルだけどちょっと自慢の設備になっている。

段差ではなく、床が斜めになってしまうような車の場合も、似たような工夫をした方が快適になる。

また、商用車で縦に溝の入った鉄板が剥き出しのような場合も、そのままマットを敷くだけより、マットの下にコンパネを一枚敷くだけでも寝心地は良くなり断熱性も高まって、より快適になる。

ちょっとしたことでより快適で便利になるので、そうした工夫や努力は惜しまない方が良い。

もちろん、同じような仕組みで前席から後ろ全体が平らになるようにして、2人が寝られるようにすることもできるし、自分の使い方に合わせて工夫をするのは良いと思う。

しかし、私の場合はこの中で2人で寝ることを想定していないため、あえて1人用のベッドにし、運転席の後ろ側の後席は座席のままにしてある。

これは3人乗車ができるようにと言うより、自分がここに座ることができると何かと便利だからだ。

それから、この車の後席は便利な両側スライドドアだけど、左のドアを開けると、ドアを開けたらいきなりベッドとなってしまう。

それだと外で履物を脱いでから車内に入らなければならず、脱いだ履物の置く場所をどうするかといった問題も生じる。特に土砂降りの雨だったりしたら、案外厄介だ。

しかし、このレイアウトなら、右後席側を玄関のようにして使うことができる。

ここに一旦座って、そこで履物を脱いでそのまま置いておけるので、「ドアを開けたらいきなりベッド」で生じる問題は全て解消される。

余談だが、靴と書かずに敢えて履物と書いている理由は、自分の生活スタイルが1年の大半と都会に出る時以外は靴ではなくサンダルで、靴と書いてしまうと半分ウソになるからだ。

そんなことはどうでも良いのだが、このイス付き玄関は何かと便利だ。着替えや弁当とかを食べる時にも使えるが、もちろん鞄の置き場とかにも良い。

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ワンボックスタイプ以外で車中泊をする場合

ワンボックスタイプではない車(キャンピングカーと軽トラは除く)の場合は、ホンダ「N-VAN」を除き、どれも助手席か運転席を使用しないと就寝スペースを作ることはできない。

その前に一応お断りしておくが、運転席や助手席をリクライニングさせてそこに寝るだけというのは除外し、平らなベッドを作って寝るという話だ。

運転席や助手席をめいっぱいリクライニングさせた時に、後席の座面、またはたたんだ後席とリクライニングさせた前席の背もたれと面とが合うようなら、比較的平らなベッドを作ることが容易である。

だが、上の画像のように面が合わない車の場合は残念ながら快適な寝床を作るのは難しい。

ワンボックス以外の車で車中泊用として選ぶなら、この「リクライニングさせた前席の背もたれと後席と面が合う」が要だと思う。

そこまではクリアしたとして、次に問題となるのが前席の倒した背もたれと座面との間にできてしまう段差(後席にもできてしまう場合がある)だ。

この段差を残したままキャンプ用のマットなどを敷いても、もう一つ快適にはならない。

上の画像は前席ではないが、こんな風にしてクッションや衣類などを置いて極力段差が解消されるようにし、それからマットを敷くと格段に快適性は向上する。

ジムニーは後席をたたんで前席の背もたれを倒すと面が合うようになっており、たたんだ後席は平らだ。

オプションにもアフターマーケット品にも、前席の段差解消用のマットとその上に敷くジムニー専用のベッドキットなどが存在する。

どんな車よりも山奥深くまで入っていけるジムニーだからこそ、車内で就寝したいと思う人も多いはずで、少なくとも現行型は車中泊をすることも想定した仕様になっているようだ。

先程ジムニーは唯一無二の存在と書いたが、構造や性能だけでなく、こういった専用品が豊富なこともジムニーならではだ。

話がジムニー寄りになってしまったが、例えばダイハツのタフトもできないことはないようである。しかし、スズキハスラーの方がこうした使い方をより想定した作りになっているとか、各々特徴があるようだ。

全部つぶさに調べ上げたわけではないので、具体的にどの車がより車中泊に向いているとか、あるいは全く向いていないとか列挙はしないが、車中泊を考えているなら、車を選ぶ際にこうした点についてよく調べた方が良さそうである。

もう一台かなり特殊な車がある。ホンダの「N-VAN」だ。

この車はアクティの後継に当たる商用車だが、構造や生い立ちは全く異なり、大人気のN-BOX(乗用車)がベースになっているFFの車だ。

FFだから、先述のように前席より後ろに180cm(大人が寝られる長さの目安)ものスペースを設けることはできない。

しかし、後席も助手席も床下に収納して運転席以外は全て平らな空間にしてしまうことができ、助手席を床下に収納すると長さが2,635mmもある空間が生まれるのだ。

そしてFFだから床が低く、ハイルーフと相まって、1,365mmもの室内高が確保されている。前席より後ろの長さはワンボックスには及ばないが、この2点においてはワンボックスも敵わない。

しかし、ハッキリ言ってしまうと後席は本当に補助席程度のもので、助手席の座り心地もあまり良いものではないらしい。

とは言え、1人で使うことを基本としているならワンボックスよりパーフェクトかもしれない。

もし次に軽自動車を入手するとしたら、ジムニーとN-VANのどっちが良いか悩ましい。買えるわけでもないし、そんな計画など全くないのに勝手に妄想だけは膨らんでしまう。