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モーリーの警鐘。中国EC「Temu」「SHEIN」急拡大の裏にある不都合な現実とは?

週プレNEWS

『週刊プレイボーイ』で「挑発的ニッポン革命計画」を連載中の国際ジャーナリスト、モーリー・ロバートソンが、日本でも激安価格と大量広告で浸透しつつある中国EC「Temu」「SHEIN」について世界的に問題視されている点を指摘する。

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事業展開も″やらかし″もハイスピードな「Temu」

すでに日本でも相当多くの人がウェブ広告などで目にしたことのある名前ではないかと思いますが、中国のEC企業「拼多多(ピンドゥオドゥオ)」が手がける「Temu(ティームー)」の勢いが止まりません。

Temuは2022年2月に事業を開始すると、同年9月には早くもアメリカ市場に進出。リリースから2年弱で50の国と地域で展開するなど、破竹のスピードで事業を拡大しています。

今年2月には全米で最も広告掲出料が高いといわれるアメリカンフットボールの祭典、スーパーボウル中継でコマーシャルを放映し、1000万ドル(約15億円)相当の無料ギフトを提供。また日本でも、4月6日に放送されたTBS『オールスター感謝祭』で、番組とTemuのコラボCMが放映されたことで話題になりました。

広告の後にも続きます

昨年1年間のTemuのマーケティング費用は30億ドル(約4500億円)と推定されており、そのうち約20億ドル(約3000億円)もの広告費を、フェイスブックやインスタグラムを運営するMeta社に支払ったとの報道もあります。

スローガンは「億万長者のように買い物をしよう」。大量生産・大量消費型ビジネスが世界的に問題視されている近年の風潮などどこ吹く風で、電化製品から日用雑貨まで多種多様な〝激安ウルトラファスト商品〟をそろえていることから、〝ステロイドを打ったAmazon〟とも称されています。

Temuのすごさは、この時代にあっても〝ステロイドを打っている〟ことを隠そうともしていないように見える点です。環境や倫理、人権を重視するよりも、とにかく安さこそ正義だ――とばかり両腕をぶん回して駆け抜けるようなスタイルで、世界中で多くの人々、特に経済的強者ではない若者たちをショッピング依存にさせているというのが実情でしょう。

今年3月末には英イングランドとフランスで、ユーザーに最大100ユーロ(約1万6400円)相当のクーポンを配布するキャンペーンが展開されました。ところが、その応募条件はなんと「ユーザーの写真、名前、声、履歴情報、出身地など多岐にわたる個人情報を、『無期限かつ通告なしに使用できる権限』をTemuに提供すること」という、よく読んでみればドン引きするような内容でした(これが問題化すると、キャンペーンは「内容に誤解があった」との理由で中止に)。

また、アプリをインストールした人の通話履歴や写真、文字記録などに不正にアクセスしていた疑惑や、まるでマルウエアのようにアプリを削除してもデータを取得し続けていた疑惑も浮上しています。

さらに、韓国の税関で数百円のアクセサリーから安全基準値を大きく超える発がん物質が検出されるなど安全面の問題や、有名ブランドの商標を無断盗用していた疑惑もあり、とにかく事業展開も”やらかし”もあまりにアグレッシブでスピードが速い。日本では報道が追いついていないのが現状です。

「SHEIN」の工場見学ツアーが大炎上に発展
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