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放浪の民・ロマに学ぶ! 「生物としての人間の自由とたくましさ」とは?

週プレNEWS


「ロマは、国籍や肩書、社会的地位などは後づけされたものだと知っています。社会的な存在としての人間というよりも、自然の中に生きる生物としての人間が前提にあるのだと思います」と語る角悠介氏

ひと昔前まで馬車で移動しながらテント生活をしていた放浪の民、ロマ(日本ではジプシーという呼び名で認知されている)。現在では多くのロマが東ヨーロッパを中心に定住生活を送っている。しかし、彼らの使うロマニ語には、放浪の民の思想や生き方の痕跡が残っているという。

個性豊かなロマとの出会いと、ロマニ語研究の日々をつづった本著『ロマニ・コード 謎の民族「ロマ」をめぐる冒険』を読むと、せわしない日々の息苦しさから、つかの間解放された心持ちになる。著者の角悠介氏に話を聞いた。

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――なぜロマニ語研究の道に?

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角 もともとはラテン語を学びたくてルーマニアに留学し、現地の大学を卒業しました。その後、隣国ハンガリーの大学に進学したのですが、同級生たちが優秀すぎてラテン語研究の道に限界を感じたんです。

そんなとき、ハンガリーの本屋さんでロマニ語の教科書に出合いました。ヨーロッパにおけるロマは「トラブルメーカー」のイメージが強く、私も常々「ロマとは関わるな」と言われていました。

しかし、ロマニ語の教科書には未知の言語のはずなのに理解できる部分があって、どこか懐かしさを感じたのです。それもそのはずで、ハンガリーのロマニ語はルーマニア語の語彙を取り込んだ「借用語」が多かったのです。進路に迷っていた私は、ロマニ語にどんどんのめり込みました。

――本著では、大金持ちからホームレス、音楽家、魔女、軍人や棒踊りの継承者など、個性豊かなロマたちとの出会いが描かれていますね。

角 蔑称であるため今は「ロマ」と言い換えられますが、彼らの呼称「ジプシー」には小説や映画を通じて「褐色で貧しく、占いや踊りが得意」といったイメージがついています。

実際西欧のロマは現地の文化に同化した生活をしていますが、東欧のロマは今でも伝統文化を大切にしていて、定住しながらも、意外とステレオタイプなイメージどおりの生活をしています。馬車に乗っている人やテント暮らしをしている人もいなくなったわけではありません。

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