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『ロッキー』『クリード』シリーズに貫かれるメッセージ 各作品の名台詞とともに紐解く

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 『ロッキー4/炎の友情』でも描かれている。ソ連の戦闘マシーンとして生み出されたイワン・ドラゴ(ドルフ・ラングレン)。モスクワでロッキーを迎え撃った試合では、ハングリー精神を取り戻したロッキー相手に想像以上の苦戦を強いられて、試合途中にもかかわらず政府高官に非難される。そのときにドラゴはこう絶叫するのだ。「俺は勝つために戦う! 自分のためだ! 自分のために戦う!」。

 『ロッキー・ザ・ファイナル』では、50歳を過ぎて世界チャンピオンに挑もうとするロッキーが息子のロバート(マイロ・ヴィンティミリア)になじられる場面がある。ロバートは偉大なチャンピオンの息子という立場に押し潰されていたのだ。しかし、ロッキーは激しく自分の思いを息子にぶつける。

「人生はどんなパンチよりも重くお前を打ちのめす。だが、どんなにきついパンチだろうと、どれだけこっぴどくブチのめされようと、休まず前に進み続けろ!」

 そしてこう結ぶ。「自分を信じて生きろ。でなきゃ、人生じゃなくなる」。

 『クリード チャンプを継ぐ男』では、ロッキーがアドニス・ジョンソン、後のアドニス・クリードを鏡の前に立たせてこう伝える。「体を斜めにして構えろ。お前をにらんでる。手強い相手だ。リングに上がるたびにお前と対戦する。これはボクシングでも人生でも同じだ」。そしてもう一度、繰り返す。「大事なのはリングに何を残し、何を得るかだ。分かるか? プライド、ベストを尽くし戦ったかどうか。俺や父親のためじゃない。自分のために」。

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 一方、『クリード 炎の宿敵』では、ドラゴの息子、ヴィクター・ドラゴ(フロリアン・ムンテアヌ)への憎悪を剥き出しにするクリードに対してロッキーは「戦う価値はない。無意味だ」と諭す。その後、ロッキーとともに砂漠での猛トレーニングを乗り切り、ヴィクターとの死闘を制したクリードは、亡き父アポロの墓前でこう話しかける。「倒したよ。敵討ちじゃない。恨みでもない。俺の戦いだからだ」。

 勝敗は関係ない。因縁も憎悪も関係ない。貧しいかどうかさえ関係ない。ただ、自分ができるか、できないか。やりきれるか、やりきれないか。闘争心を燃やせるか、燃やせないか。『ロッキー』の魂はそこにしかないんじゃないだろうか。うまくいくかどうかはわからない。だけど、やりきることができれば、俺は負け犬なんかじゃないんだ、と。これは『ロッキー』の脚本を書いていたスタローン本人の気持ちでもあった。

 『クリード 過去の逆襲』でも、クリードは自分自身と戦うことになる。敵として立ちはだかるデイムも“もう一人の自分”だと言えるだろう。クリードは自分自身に勝つことができるのか。そしてもう一つ新しい要素として、クリードは自分を“許す”ことができるのかが作品の中で語られている。どのような物語で、どのような結末を迎えるかは、スクリーンで確かめてほしい。

(文=大山くまお)

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