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感染症予防には「唾液の質」が重要!今すぐできる唾液力を高めるコツ

パラサポWEB

食物繊維を豊富に含む食材
その他にも、芋類やレンコン、ゴボウなどの根菜類、また海藻などの食物繊維を豊富に含む食材を毎日の食事に取り入れることや、水分を十分にとること。その際、一度にたくさんの水を飲むのではなく、1回につきコップ1杯200cc程度の水を5~6回にわけてゆっくり飲む。これを朝昼晩、できれば寝る前も飲む。温度は冷たい水よりも白湯がおすすめ。冷たい飲み物はかえって逆効果だという。水や白湯以外の飲み物を飲む場合はアルコールやカフェインを含まないもの。ただし緑茶はカフェインを含むが、水出し、またはぬるめのお湯で抽出した緑茶は唾液中のIgAを増やす効果があるそうだ。

たったこれだけ? 軽い運動でもIgA抗体はアップ!

食事の他に唾液内のIgAを増やしてくれるのが運動。しかも、激しい運動ではなく軽い運動でなくてはいけないのだそう。

「アスリートは体を鍛えているので丈夫だと思っていたのですが、実は風邪をひきやすいそうです。これは、激しい運動をすると免疫力が下がることが原因のひとつです。ですから近年では、アスリートの唾液中のIgAの量を計測して、減ってきたら軽い運動をして、上がってきたらまたハードな練習をして、選手にとって一番いい状態で試合に臨めるようにする、IgAを指標としたトレーニングの研究が行われています」

軽い運動とは具体的にどの程度なのか。槻木教授が推奨するのが、公益財団法人明治安田厚生事業団体力医学研究所が推奨する軽運動プログラム。高齢者でも簡単にできる運動なので、仕事の合間や、テレビを見ながら、就寝前など、隙間時間をみつけて実践してみてほしい。

『ずっと健康でいたいなら唾液力をきたえなさい!』槻木恵一著/(扶桑社ムック)P55より

この他、ストレッチやヨガ、ラジオ体操などでも効果はあるという。反対にフルマラソンのようなスピードで走るランニングやハードな筋トレなどはIgAの量を減らしてしまうことになるそう。いったいなぜ、軽い運動に効果があるのだろうか。

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「ストレスは免疫力を下げる原因となるので、軽い運動によってストレスを発散させるということが目的です。ですから、体調が悪くても無理をして運動するのではなく、自分の中でストレスマネージメントをしながら、負荷にならない程度に体を動かすことが重要ですね。先程お話ししたヨーグルトを食べるというのもそうですが、苦手な方は納豆などの発酵食でも構いません。日本食は発酵食品が多いですから、苦にならない、ストレスにならないように継続することが大切です」

腸活は口のケアとセットで行うのが効果的

ここまでご紹介してきた唾液力アップの方法だが、腸にいいこと、いわゆる腸活と似ていることにお気づきだろうか。唾液の量は口が渇くなどの自覚症状で気付くことができるが、唾液の質は個人では量ることができない。そこで目安となるのが、お腹の調子。腸管を刺激すると唾液腺のIgAの量が増えるので、お腹の調子がいいとIgAも増え、反対にお腹の調子が悪いと唾液内のIgAの量が下がってしまうのだそう。このことから槻木教授たちは、IgAは腸の状態とリンクしているのではないかと考えている。

「最近、腸活がブームになっていますが、実は腸活には口の中のケアも大切だと思っています。口の中が汚れていると、体によくない菌が口腔内で増え、そのまま飲み込んで腸まで届いてしまいます。昔は口から入った菌は胃液で死滅すると言われていましたが、今は腸まで届くことがわかってきました。ですから口の中を綺麗にした健康な状態で腸活をしないと、いくらやっても効果が薄れてしまいます。唾液には自浄作用もありますから、腸活は口のケアとセットで行うのが効果的だと思います」

唾液力が下がると感染症になりやすいだけでなく、歯周病や、日本人の死因の上位であるがんや誤嚥性肺炎、脳や心臓の病気を引き起こす動脈硬化など、私たちの生命を脅かす病を引き起こすリスクが高まるそうだ。つまり唾液力を高めることは、健康を維持することにつながる。生命寿命だけでなく、健康寿命を延ばし、いつまでも元気で健やかに暮らせるよう、今日から唾液力を鍛えてみてはいかがだろう?

PROFILE 槻木恵一
神奈川歯科大学大学院口腔科学講座環境病理学教授。1993年神奈川歯科大学歯学部卒業。1997年同大学大学院歯学研究科修了。神奈川歯科大学歯学部口腔病理学教室、助手、特任講師、助教授を経て2007年より教授。2013年より同大学歯学研究科長。2014年より同大学副学長。歯学博士。プレバイオテックスの一種であるフラクトオリゴ糖の継続摂取による唾液中lgAの分泌量増加とともに、そのメカニズムとして腸管内で短鎖脂肪酸が重要な役割を果たすことをあきらかにし、「腸―唾液腺相関」を発見。


<参考図書>
『ずっと健康でいたいなら唾液力をきたえなさい!』

槻木恵一著/扶桑社ムック


text by Kaori Hamanaka(Parasapo Lab)
photo by Shutterstock

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