報道陣から試合の感想を聞かれ、小田はテンション高めに答えた。
大会前半こそ「勝ち上がるたびに調子が上がっている」と話していた小田だが、決勝はなかなか調子が上がらず苦しんだ。それでも雄叫びやガッツポーズで自身を鼓舞しながらコンディションを上げていき、サーブでエースを取った。ミスの目立ったバックハンドも「しっかり振り抜くことを常に自分に言い聞かせながら」試合を進め、セカンドクラスで優勝した前回大会から4年間の成長を見せた。
2-1で眞田を破り初優勝を決めた。「優勝の瞬間は僕が一番求めているもので、何度も味わいたい気持ちです」photo by Tomohiko Sato
第3セットで続けてポイントを取るなど見せ場をつくった眞田とともに、試合後、小田は観客から大きな拍手で称えられた。
三木と組んだダブルスでも優勝し、単複2冠を達成。「自分の大会にできたかな」と顔をほころばせた。
一方の眞田は決勝を振り返り、「小田選手は日々成長を感じるプレーヤー。身体能力もすごく高いですし、(3ヵ月前の)前回、オーストラリアで戦ったときよりも、サーブの精度、オープニング、リターンからの2球目の精度が非常に上がったと思います。今日はかなりウィナーを取られたと感じました」と話して勝者を称えた。
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プレゼンターとして小田に天皇杯を手渡した国枝氏も「日本のレベルの高さを外から見て感じた。眞田も凱人も本当に地力がついてきた」と拍手を送った。
国枝慎吾氏とガッチリと握手を交わす小田photo by Tomohiko Sato
若い世代に伝えたい車いすテニスの魅力
さらに、表彰式の後、小田がボランティアの学生たちに囲まれてサインや写真撮影をリクエストされ、笑顔で応える姿も印象的だった。
「サインや写真を求められたりするのはやっぱり嬉しいです。僕を見て『かっこいいな』と思ってもらい、いろんなことにチャレンジしてもらえたらすごく嬉しい。同世代や10代に共感を持ってもらえると僕自身も頑張れますし、もっと頑張らないといけないなって思います」
今年中の達成目標としている世界ランキング1位を視界に捉えた小田photo by Tomohiko Sato
そして、力を込めて言う。
「『車いすテニスはこれだけかっこいいんだ』というのをプレーでも伝えられたらと思いますし、これからも、かっこいい魅力をどんどん伝えていけたら」
絶対王者だった国枝氏が引退後、初のジャパンオープンは、小田の常勝時代の到来を予感させる大会だった。
今決勝でフルセットの熱戦を演じた小田と眞田photo by Tomohiko Sato
text by Asuka Senaga
key visual by Tomohiko Sato