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京都の強豪2校を破り、ベスト8。京都の21世紀枠推薦校、宮津天橋・丹後緑風連合はいかにして躍進できたのか

高校野球ドットコム

「球速は130キロ出るか出ないか」という中川だが、カーブ、カットボール、スライダー、フォーク、シンカーと多彩な変化球を操り、巧みな投球術で打たせて取る投球が持ち味。彼を中心に失点を少なくすれば、それなりに戦える見込みがあったのだ。

 だが、初戦の同志社国際戦は8対7でサヨナラ勝ちを収めたものの「もう少し楽に勝ってもおかしくない試合だったと思いますが、自滅のミスがかなりあった」(守本監督)と苦戦。次戦に向けて課題を残す試合となった。

 結果的にこれが良い薬となる。このままではいけないと良い意味での危機感が生まれ、「距離が縮まった気がします」(今井)と3回戦までの2週間でチーム力を上げることに成功した。

 3回戦の対戦相手は甲子園に何度も出場している京都外大西。「相手が強いチームになればなるほど楽しめる」という中川が好投を見せ、3対1で勝利を収めた。

 この勝利で選手たちは自信を深め、「練習に気持ちも入っていたし、勝てる気でやっていた感じでしたね」(守本監督)と勝てる雰囲気がチームに漂っていた。すると、4回戦でも福知山成美に3対2で勝利。連合チームが強豪校を続けて破り、大きな話題となった。

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 丹後緑風で主将を務める井藤 己純は、「応援に来てくれる保護者の方や地域の方は勝った時に一緒になって喜んでくれている感じがして、自分自身も鳥肌が立つような感じがしました」と今までにない感覚を味わった。

堂々の府8強入りで希望の光が差す

 このまま快進撃が続くと思われたが、準々決勝では龍谷大平安に0対10で6回コールド負け。大敗には様々な要因があったと守本監督は振り返る。

「福知山成美の試合がゴールというのもあったので、ホッとした部分もあったし、やれるんじゃないかという緩みもあったかもしれない。キチンと準備してきた(龍谷大)平安、わかさスタジアム京都(京都市西京極総合運動公園野球場)での試合、色んな条件が力を出せなかったことだと思います」

 4回戦までは戦い慣れた北部の球場で行われたが、準々決勝は京都のメイン球場であるわかさスタジアム京都(京都市西京極総合運動公園野球場)での試合となった。これまでと違った環境で戦うことになったことも力を発揮できない要因となったようだ。

 とはいえ、「ベスト8に足を踏み入れたということは十分に満足いく結果だったかなと思います」と守本監督が言うように8強入りは十分に誇れる結果だ。京都府の21世紀枠推薦校にも選ばれ、センバツへの道も開かれた。

 選手たちは驚いた一方、「京都の推薦校になったので、責任感を一人一人が自覚したと思いますし、模範となるようなチームにしていけたらなと思っています」(今井)と気が引き締まった。

「甲子園に行ったとしても恥ずかしい負け方をしてしまっては不甲斐ないですし、他の京都の選手の皆さんにも申し訳ない思いをさせてしまうので、この冬でしっかり、筋力も体力も精神力も全てパワーアップして春に向けて全員が頑張っていきたいと思います」(井藤)とセンバツに出る前提で練習に取り組んでいる。

 11月13日に今シーズン最後の練習試合を終えてからも週末の合同練習は続けている。センバツ出場の有無に関わらず、3月の練習試合も連合チームで戦う予定だ。4月に新入生が入れば、ともに単独チームで公式戦に出場することができるが、そう多くは望めない。宮津天橋は「10人弱くらい」と今井は見込んでいる一方、丹後緑風の斎藤監督は「片手が埋まれば良い方」と見ている。

 少子化が進んでいる北部地域で部員を増やすことは容易ではない。もし、センバツに選出されることがあれば、現状を変えるきっかけになることだろう。

「町総出で応援に来て頂いて凄かったので、あんな風にみんなが喜んでくれる機会があったらと思っています」と峰山時代の再来を待ち望んでいる守本監督。連合チームとして初の甲子園出場となるだろうか。まずは12月9日に発表される近畿地区推薦校に選ばれるかどうかが一つの分かれ目となる。

(記事=馬場 遼)

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