川松:普通に働きながら描いたのですが、賞の締切まで1カ月しかなくて死ぬかと思いました(笑)。週刊の漫画よりも多いページ数ですから、終盤は背景を描き切れない部分もあったのが心残りではあります。3日くらい寝ないで描いていた時はさすがに体調を崩しましたね。ワーカホリック気質なので、ダンスと漫画、あと病院の事務で働いたりもしてます。
――踊りと漫画って共通点を感じたりはしますか?
川松:ダンスはお客さん、漫画は読者のことを考えなかったら、誰の目にも留まらないですね。ただ踊っても「初めましての人がただクルクル回っている」くらいにしか思われないですし、観てくれる人や読んでくれる人が何を求めているのかを考えるのは似てます。
結局、個人のこだわりはコアなファンではない、一般の人にとってはどうでもいい。『ワンピース』や『ドラゴンボール』って本当にわかりやすいじゃないですか。踊りも漫画もそういうポピュラーなものを作りたいですね。
――では『いとしのベティ』は、読者についてどのように考えて書いたのでしょう。
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川松:上の年代の方には「こんな映画あったよな」と懐かしんでほしいし、若い人には「こんな時代があったんだ」と新鮮に思ってほしかったんですよ。実際そういうリアクションをしてくれる方もいて嬉しかったです。
フラメンコは、昔のジプシーがやっていた踊りをやり続けています。その一方でヒップホップを取り入れた新たな世代のフラメンコもありますが、私はレトロなものをリバイバルとして形にすることが好きなんですよ。
――では最後に漫画家としての今後の展望について教えてください。
川松:フラメンコを踊れて、漫画も描ける人は世の中にいないはずなので、この道を突き進みたいです。それから新しい読み切り漫画が「サイコミ」で配信されるので、こちらもぜひ読んでください。