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激戦区・兵庫で25年ぶり8強 21世紀枠推薦校の小野「甲子園にふさわしいチーム、甲子園が似合う選手になる」

高校野球ドットコム

 「(意識の高さは)成果、効果への影響が大きいはずです」と北垣監督も話し、重要視しているポイントではあるが、その意識はメニュー作りからもみられる。

 プロ野球のキャンプさながらに、グループごとにメニューを毎日指導者が編成。それを学校が支給しているタブレット端末を活用して、昼休みには選手たちへ展開。選手たちは事前に頭の中で練習のイメージを膨らませて練習に参加する。

 「練習がスムーズにできる」と短い時間を無駄にせずできているが、練習の中身は選手様々。ウエートトレーニングだけで1日終わってしまう選手もいれば、技術練習がほとんどの選手もいる。「個々のスキルを高めるために分けている」と北垣監督は話すが、その基準は体重だ。

 チームで定める基準を突破した選手は、瞬発系がメイン。逆に基準を下回れば、ウエートトレーニングをメインにすることで、選手全員が自在に動かせる大きな体を作るのだ。

 しかも、ただ毎日やるのではなく、感覚を空けることで、効果がしっかり得られるようにするという。選手それぞれがレベルアップできるように、1時間半の短い時間を効率よく、正しい努力で目標を達成する。「101回大会を終えてから、強豪私学の壁を越えたくて変えた」と北垣監督がいうできるメニューに最大限集中する、量より質を重視するスタイルで、チームは強くなった。

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 ただ、「最近では7時前から練習をしている」と短い放課後では、練習が限られているからこそ、朝練でもやってやりたい練習をする選手が多いという。強豪私学との差を練習の質だけではなく、練習量でも補おうとしている。朝練は決して強制ではないそうだが、何事にも本気で取り組める小野のスクールカラーも、やはり見逃せない。

甲子園に行きたいを実現できるか

藤井 卓投手

 強豪私学を相手に守れても打てずに負ける。北垣監督が小野に赴任して感じた強豪私学の壁。ここを越えるために、まずはパワーで負けないことを目指したことで、体づくりは重要視してきた。

 しかし、秋は準々決勝で社に敗戦。自分たちと同じ公立でも力のあるチームに敗れた。藤井いわく、ベスト8は第1目標で、「強豪私学や社のようなチームに勝つことが目標だった」と県内上位校からいかにして白星を挙げるか考えていただけに、悔しさを思い出していた。

 市橋主将も「社に勝ってベスト4、そして近畿大会を目指していたので、ベスト8の結果には全く満足していない」と秋の結果には納得している様子がなかった。

 ただ限られた環境のなかで、秋は市立西宮、神港学園などに勝利して25年ぶりの秋季県大会8強入りして兵庫の21世紀枠推薦校に選ばれた。この選出は「甲子園を近くに感じていると思います」と北垣監督は、さらなる練習効果のアップを期待していた。

 スクールカラーである素直で純粋な選手たちが、最大限効率、効果を求めて練習をするのが小野だったが、強豪私学も多い激戦区・兵庫にいながら「甲子園にふさわしいチーム、甲子園が似合う選手になる」という指針がブレない。その強さも、見逃せないところだと感じている。

 「100回大会で、明石商と準決勝で対戦するのを見て、『入学したら強豪校に勝って甲子園に行きたい』と思って進学したので、それが大きいと思います」(市橋)

 先輩たちが築き上げた歴史に魅了され、心の支えにしてきた選手たちが中心となって、秋は結果を残してきた。この結果は確実に下の年代の野球人にも届くはずだ。

 センバツ出場を決めて新たな歴史を刻むことができるか。甲子園のお膝元・兵庫の21世紀枠のこれからに注目したい。

(記事=編集部)

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