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道路交通法の違反に対する罰則(罰金・反則金)まとめ

交通事故弁護士ナビ

 

交通違反を犯した者は、通常だと、刑事罰として手続きが進められて裁判で罰せられることになります。このときに請求されるのが罰金です。しかし、違反点数が6点以下の軽微な違反であれば、手続きが簡略化されて罰が軽減されます。この制度を交通反則通告制度といいます。そして交通反則通告制度が適用される際に請求されるのが、反則金です。

 

 

反則金と罰金の両方が定められている場合、反則金を納付すれば、罰金を支払う必要はなくなります。反則金の支払いに応じない場合には、刑事手続きが進められ、最終的に有罪となれば罰金刑が科せられますなお、反則金よりも罰金の方が高額ですし、懲役刑が選択される可能性も否定できません。

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反則金は刑事罰(罰金の支払い)を避けるために納める違反金であるといえます。基本的には、罪を軽減できる反則金の支払いに素直に応じた方が、運転者の負担は軽くなるでしょう。

 

まずは、警視庁が公表するデータで取締り件数が多い交通違反Top5の罰則をご紹介します。

【参考】 内閣府|第2章 道路交通安全施策の現況

 

最高速度違反

最高速度違反の罰則は、法定速度を何キロ超えたかによって変わってきます。普通車が最高速度違反をした場合の違反金・反則金は以下のとおりです。

 

 

一時停止違反

一時停止違反の罰則は、一時停止の場所が一時停止線・標識前と踏切前のどちらかによって反則金が変わってきます。普通車が一時停止違反をした場合の反則金は以下のとおりです。

 

 

また、一時停止違反の刑事罰は5万円以下の罰金または3ヶ月以下の懲役です。一時停止違反の大半は青切符で処理されますが、反則金の支払いを断って裁判で有罪判決が出た場合は、この罰則が科されます。

 

 

携帯電話使用等違反

携帯電話使用等違反は、取締りを受けた際、周囲に交通の危険(歩行者や他の車両の妨害)を与えていたかどうかによって罰則が変わってきます。普通車が携帯電話使用等違反を犯した場合の罰則は以下のとおりです。

 

 

【参考】道路交通法第七十一条

 

なお、携帯電話使用等違反として罰せられるのは、運転中に通話機能を利用する、または運転中に携帯を注視(2秒以上画面を見る)した状況です。そのため、信号待ちなど車の停止中に携帯を見ていても処罰の対象にはなりません。

 

通行禁止違反

 

普通車が通行禁止違犯を犯した場合の反則金は7,000円、刑事罰は5万円以下の罰金または3ヶ月以下の懲役です。通行止めの標識にはいくつか種類がありますが、基本的にはこの罰則が適用されます。

 

なお、標識ではなく警察官の交通整備による通行禁止を違反した場合には、警察官通行禁止制限違反に該当して5万円以下の罰金または3ヶ月以下の懲役の刑事罰が科されます。警察官通行禁止制限違反には反則金がないので、検挙されれば刑事罰を免れることはできません。

 

【参考】道路交通法第八条

 

信号無視

信号無視違反の罰則は、信号が赤色か点滅(黄色信号も含む)だったかによって変わってきます。普通車が信号無視をした場合の罰則は以下のとおりです。

 

よく勘違いされやすいですが、道路交通法上では黄色信号も停止しなければいけません。黄色信号で進行しても許されるのは、安全に停止できない状況に限られるので注意してください。

 

【参考】道路交通法第七条

交通違反行動と心理的要因の関係性

交通違反行動は上記で説明した通り、刑事罰や反則金の支払い、違反点数の加算といった罰則が設けられています。交通違反をすると事故を発生させてしまい、他人に迷惑をかる可能性がありますが、自分にもマイナスの影響があるのです。

運転者はその点を理解しているはずですが、どうして交通違反行動をしてしまうのでしょうか。どういった心理的要因があるかについて、帝塚山大学の森泉慎吾先生に伺いました。

ナビオ

交通違反行動と普段の心理傾向との間に関係性はあるのでしょうか?

森泉先生

ルール違反をする背景には様々考えられますが、「ルールを破ってやろう」という悪意ではなく、違反をした際の「損得」が強く関係します。例えば、信号無視の得は「信号待ちの時間を短縮できること」、損は「事故に遭ったり、警察に検挙されたりすること」であると考えられます。

 

この場合、信号無視によって得はほぼ確実に体感できるのに対し、損については必ずしも被るわけではありません。損得をどの程度重視するかには個人差がありますが、その時々の状況によっても変わります。急いでいるときの数秒の短縮は、普段の数秒とは感じ方が異なるかと思います。

 

そのため、日頃からその時々の状況によって、行動に伴う得を大きく見積る、あるいは損を小さく見積ることが多ければ、交通違反をおかす可能性も高まるといえます。

 

ナビオ

交通違反行動をおこさないために、どのような心理状況で運転することが望ましいのでしょうか?

森泉先生

運転免許の取得には、運転操作のみでなく交通ルールを学ぶ必要がありますので、道路交通法の違反の多くが、ルールを知った上での意図した行為であると考えられます。つまり、うっかりミスやし忘れのように、「するつもりがなかった」行為とは異なり、交通違反は意図的に「しない」ことを選択できますので、「違反をしない」という心掛けが最も重要になります。

 

また、交通違反の「得」そのものについて考えてみるのも良いでしょう。1回の信号無視で省略できる待ち時間は、多く見積もっても数分です。もし交通違反によって取り返しのつかない「損」を被った場合、その「数分の短縮」は違反の見返りとして割に合わないのではないでしょうか。なお、その「数分の短縮」を大きな得に感じないように、日頃から余裕をもって運転することも重要でしょう。

 

一般道路で起きやすい交通違反の罰則

次に、一般道路で起きやすい、以下の軽微な交通違反の罰則をご紹介します。

 

・免許不携帯

・駐車違反

・定員オーバー

・シートベルト非着用

・整備不良

・クラクションの違反

 

免許不携帯

免許不携帯とは、運転免許の携帯を忘れて運転してしまう交通違反です。罰則は3,000円の反則金のみで、検挙をされても違反点数は加算されません。そのため、ゴールド免許の取り消しもありません。

 

【参考】道路交通法第九十五条

 

駐車違反

駐車違反には駐停車違反と放置駐車違反の2種類があり、どちらに該当するかによって罰則が変わってきます。

 

・運転者が車をすぐ動かせる状況なら駐車違反

・運転者が車から離れている場合は放置駐車違反

 

普通車が駐車違反をした場合の反則金や違反点数は以下のとおりです。

 

 

 

なお、駐車違反の刑事罰は20万円以下の罰金または3ヶ月以下の懲役です。

 

【参考】道路交通法第十七条

 

定員オーバー

車検証に記載されている乗車定員をオーバーして運転した場合、定員外乗車として6,000円の反則金が科されます。刑事罰は10万円以下の罰金または6ヶ月以下の懲役です。

 

【参考】道路交通法第五十七条

 

シートベルト非着用

シートベルトの着用違反には反則金・罰金の罰則はありません。一般道路では運転席と助手席、高速道路では後部座席も取締りの対象となり、検挙された場合には違反点数1点だけが加算されます。

 

 

整備不良

整備不良の罰則は、車両に不備が生じた箇所によって罰則が変わってきます。整備不良で検挙された場合の反則金は以下のとおりです。

 

 

【参考】道路交通法第六十二条

 

クラクションの違反

クラクションの違反には、クラクションを鳴らしてはいけない場所で鳴らす警音器使用制限違反、必要がある場所で鳴らさない警音器吹鳴義務違反の2種類があります。それぞれの違反の罰則は以下の通りです。

 

(※)科料とは、1,000以上1万円以下の罰金

 

【参考】道路交通法第五十四条

 

高速道路で起きやすい交通違反の罰則

高速道路で起きやすい交通違反の罰則をご紹介します。

 

・車間距離不保持

・最低速度違反

・追越し違反

・通行帯違反

・逆走

・故障車両表示義務違反

 

車間距離不保持

車間距離不保持とは、前方を走行する車と適切な車間距離を保たず接近しすぎる違反行為(通称:あおり運転)です。普通自動車が車間距離不保持を犯した場合の罰則は以下のとおりです。

 

 

【参考】道路交通法第二十六条

 

なお、車間距離をどれくらいとるべきという規定は決まっていません。ですが、一般的に後方車両が高速道路でとるべき車間距離は、走行速度と同じ数値の距離(70㎞走行なら70m)が安全とされています。

 

最低速度違反

高速道路には50㎞の最低速度が定められていて、それ以下の速度で走行した場合は最低速度違反で罰せられます。最低速度違反の罰則は以下のとおりです。

 

 

【参考】道路交通法第七十五条の四

 

追越し違反

左車線から前に出たり2台同時に抜かしたりなど、追越し違反を犯した場合の罰則は以下のとおりです。

 

 

【参考】道路交通法第百二十条一項

 

通行帯違反

通行帯違反とは、追越しをしないにもかかわらず追越し車線を走り続ける違反行為です。運転者は追い抜きをしたら速やかに通常車線に戻らなければいけません。通行帯違反の罰則は以下のとおりです。

 

 

【参考】道路交通法第二十条

 

逆走

高速道路での逆走は通行区分違犯という違反に該当します。通行区分違犯の罰則は以下のとおりです。

 

故障車両表示義務違反

故障車両表示義務違反とは、高速道路上で車が故障して動かなくなったとき、後続車へ故障を知らせる義務(三角表示板の設置等)を怠った場合に該当する違反行為です。故障車両表示義務違反の罰則は以下のとおりです。

 

 

【参考】道路交通法第七十五条の十一

 

重大過失の交通違反の罰則

最後に、交通違反の中でも有名な重過失の違反をご紹介します。以下の違反には反則金が存在しないので、違反者は刑事罰を免れることはできません。

 

・飲酒運転

・無免許運転

・人身事故

 

飲酒運転

飲酒運転は、運転者が運転時にアルコールをどれほど摂取していたかによって罰則が変わります。飲酒運転の罰則は以下のとおりです。

 

 

そして飲酒運転の処罰対象は運転者だけではありません。飲酒運転をした運転者の周囲の人にも以下の罰則が科されます。

 

 

 

無免許運転

無免許運転の罰則は50万円以下の罰金または3年以下の懲役です。また、飲酒運転と同様に違反を犯した運転者の周囲の人も処罰の対象になります。

 

 ※基本的にはないが、重大なそそのかし行為があれば運転者と同等の処分を受ける可能性もある

人身事故

人身事故(死傷者が出た交通事故)では、事故の状況に応じて、以下のいずれかの刑事罰が適用されます。

 

・過失運転致死傷罪:運転中の不注意によって事故を起こし他者を死傷させる罪(基本的に人身事故ではこの罪が適用されるケースが多い)

・危険運転致死傷罪:飲酒、薬物、無免許等で正常な運転ができないまたは自動車を制御できない状態で運転して事故を起こし他者を死傷させる罪

・業務上過失致死傷害罪:業務中に必要な安全確認を怠り他者を死傷させる罪

 

それぞれの違反の罰則は以下のとおりです。

 

 

また人身事故を起こした場合の違反点数は以下の通りです。

 

 

まとめ

交通違反の罰則は違反内容によってさまざまです。軽微な違反であれば反則金の支払いで刑事罰を回避できますが、重過失の場合には刑事罰を受けなければいけません。反則金よりも刑事罰の方が罪は重くなるので、軽微な違反を犯した場合には、素直に反則金の支払いに応じた方がよいでしょう。

 

なお、交通違反を犯した運転者には、この記事で紹介した罰則(反則金・罰金)の他に、違反点数の罰則も受けることになります。違反点数の詳細も確認したい場合には、以下の記事も併せてご覧ください。

 

【詳細記事】

 

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