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自転車の道路交通法ガイド|交通ルールと禁止事項について

交通事故弁護士ナビ

2017年3月12日に施行された改正道路交通法により、自転車の交通違反に対する取締りが強化されました。

以下の違反で3年間の内に2回以上摘発された運転者は、公安委員会による安全運転講習(費用:6,000円、講習:3時間)を受けなければなりません。

道路交通法改正以前も、上記の違反には刑事罰(罰金・懲役刑)が定められていました。

しかし、自転車には反則金制度(反則金を納めれば刑事罰を回避できる制度)がなく、罰則を科すと自動車よりも罪が重くなってしまう場合があるため、よほど悪質な違反でなければ口頭注意で済まされていたのが実情でした。

安全運転講習という制度が設けられたことにより、より自転車による危険な運転の抑止が図られたといえるでしょう。

自転車の基本的な交通ルール

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自転車を運転する上で、最低限知っておくべき交通ルールを4つご紹介します。

・歩道の通行は条件を満たす必要がある

・車道の通行中は車道の信号機に従う

・車道は左側、歩道は右側の通行

・道路標識・標示に従う

なお、私たちが普段「自転車」と呼ぶ車両は、道路交通法第63条の3の条文中にある「車体の大きさ及び構造が内閣府令で定める基準に適合する自転車で、ほかの車両をけん引していないもの」を指し、ハンドルが60cmを超えるマウンテンバイクや、複数のサドルやペダルが付いたタンデム自転車などは普通自転車とは定義されません。

(普通自転車の大きさ等)
第九条の二の二 法第六十三条の三の内閣府令で定める基準は、次の各号に掲げるとおりとする。

一 車体の大きさは、次に掲げる長さ及び幅を超えないこと。
 イ 長さ 百九十センチメートル
 ロ 幅 六十センチメートル

二 車体の構造は、次に掲げるものであること。
 イ 四輪以下の自転車であること。
 ロ 側車を付していないこと。
 ハ 一の運転者席以外の乗車装置(幼児用座席を除く。)を備えていないこと。
 ニ 制動装置が走行中容易に操作できる位置にあること。
 ホ 歩行者に危害を及ぼすおそれがある鋭利な突出部がないこと。

引用元:

歩道の通行は条件を満たす必要がある

道路交通法では自転車は軽車両の扱いなので、基本的には車道を通行しなければいけません。

自転車の歩道通行が認められるのは、以下5つのいずれかの状況に該当する場合だけです。

1. 道路標識等で指定された場合

2. 運転者が幼児(6歳未満)・児童(6歳以上13歳未満)の場合

3. 運転者が70歳以上の高齢者の場合

4. 運転者が一定程度の身体の障害を有する場合

5. 車道又は交通の状況から見て、やむを得ない場合

なお、5に関しては『車道が狭く自動車との間隔が近過ぎて接触の可能性がある』『路上駐車が多くて回避が困難』など、客観的に見て、自転車の通行安全上、やむを得ないと認められる必要があります。

『自動車が隣を走っているのが怖いから』といった主観による理由では、歩道の通行は認められません。

車道の通行中は車道の信号機に従う

自転車で車道を通行している場合は車道の信号に、歩道を通行している場合には歩道の信号に従う必要があります。

自転車は車道を通行するのが通常なので、基本的には車道の信号に従うことになるでしょう。

ただし、車道を通行している場合でも、歩行者用の信号に従うケースがひとつあります。

それは、歩行者信号に『歩行者・自転車専用』の標識がついているときです。

この場合は、車道の信号に従ってしまうと交通違反になります。

なお、自転車を押しながら歩いている際は、自転車は軽車両ではなく歩行者扱いになります。

そのため、自転車から降りて歩道に移動した場合には、歩道の信号に従います。

車道は左側、歩道は車道側の通行

自転車で車道を通行する場合は、自動車と同様に左側通行ですが、歩道を通行する場合には車道側に寄る必要があります。

特に勘違いが多い交通ルールなので、間違えないように注意してください。

また、歩道での通行は自転車よりも歩行者が優先です。

車道側を通行していれば、歩行者を気にしなくてよいわけではありません。

もし歩道に歩行者が多くて通行が難しい場合には、少し立ち止まるか一旦降りるかして、歩行者に道を譲ってから運転を再開しましょう。

道路標識・標示に従う

自転車も通行中は車と同様に、道路標識・標示に従う義務があります。

特に、以下の標識は自転車にかかわるものなので、標識の意味を確認しておくとよいでしょう。

自転車の道路交通法違反

自転車の運転でよく見られる交通違反と、その罰則(刑事罰)を紹介します。

自動車と同様、「車両」扱いですから、交通違反をしないよう必ずルールを守りましょう。

イヤホン・ヘッドホンをつけての通行

道路交通法ではイヤホン・ヘッドホンをつけての通行を明確に禁止する条文はありませんが、都道府県の条例によって禁じている地域が多いです。

条例違反による罰則の内容は都道府県によって異なるため、居住地域の警察署に問合わせたり、Google等の検索エンジンで『都道府県名 自転車イヤホン』などと検索したりして確認しておきましょう。

イヤホン・ヘッドホンが禁止されているのは、音楽などを聞いていると自転車の運転から注意がそれやすくなるほか、周囲の音が聞こえにくくなり、危険だと判断されているからです。

イヤホン・ヘッドホンをつけて運転するのはとても危険なので止めましょう。

夜間の無灯火運転

夜間・夕方や暗いトンネル内など、前が見えない状態で無灯火運転(ライトや明かりをつけない運転)をした場合には、道路交通法第五十二条の違反に該当し、5万円以下の罰金刑となります。

車両等は、夜間(日没時から日出時までの時間をいう。以下この条及び第六十三条の九第二項において同じ。)、道路にあるときは、政令で定めるところにより、前照灯、車幅灯、尾灯その他の灯火をつけなければならない。政令で定める場合においては、夜間以外の時間にあつても、同様とする。

引用元:

2人乗り運転(※例外あり)

基本的に、自転車の乗車定員は1人です。

ですので、2人乗りは定員オーバーとなり、道路交通法第五十七条第二項の違反に該当します。

刑事罰は『2万円以下の罰金』です。

公安委員会は、道路における危険を防止し、その他交通の安全を図るため必要があると認めるときは、軽車両の乗車人員又は積載重量等の制限について定めることができる。

引用元:

しかし、16歳以上の運転者が幼児用座席に6歳未満の子どもを乗せて運転する状況では、2人乗りでの通行が認められています。

基本的に2人乗りが認められるのは、大人と幼児の組み合せだけと覚えておくとわかりやすいでしょう。

引用元:

傘差し運転

道路交通法では、傘の使用に関する規定はありません。

しかし、各都道府県の公安委員会が定める規定では、「視界が悪くなるもの」を持っての運転は禁じられています。

そのため、傘差し運転は道路交通法第七十一条の違反に該当する可能性があります。

刑事罰は『3ヵ月以下の懲役または5万円以下の罰金』です。

車両等の運転者は、次に掲げる事項を守らなければならない。

六 前各号に掲げるもののほか、道路又は交通の状況により、公安委員会が道路における危険を防止し、その他交通の安全を図るため必要と認めて定めた事

引用元:

子ども(13歳未満)のヘルメット未着用

13歳未満の子どもには、自転車を運転する際にヘルメットの装着が義務づけられています。

ですので、ヘルメット未着用での運転は道路交通法第六十三条の十一の違反に該当します。

罰則はありませんが、取締りの対象にはなるので注意してください。

児童又は幼児を保護する責任のある者は、児童又は幼児を自転車に乗車させるときは、当該児童又は幼児に乗車用ヘルメットをかぶらせるよう努めなければならない。

引用元:

飲酒運転

自転車でも酒酔い運転(まっすぐ歩けない、呂律が回らない等の泥酔状態での運転)は処罰の対象です。

警察の取締りで呼気検査をおこない、基準値以上のアルコールが検出された場合には道路交通法百十七条の二の違反に該当します。

刑事罰は『5年以下の懲役または100万円以下の罰金』です。

次の各号のいずれかに該当する者は、五年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。

一 第六十五条(酒気帯び運転等の禁止)第一項の規定に違反して車両等を運転した者で、その運転をした場合において酒に酔つた状態(アルコールの影響により正常な運転ができないおそれがある状態をいう。以下同じ。)にあつたもの

引用元:

自転車で事故を起こした場合の責任

自分の不注意で自転車事故を起こして、相手を死傷させてしまった場合、事故の状況に応じて以下のいずれかの罰則が科されます。

また、自動車事故と同様に加害者は被害者に損害賠償(治療費や慰謝料など)を支払わなければいけません。

損害賠償の金額は事故の被害状況によって決まるので、被害が少なければ数万円、被害が大きければ数千万になるケースもあるでしょう。

自転車の損害賠償については、以下の記事で解説しています。詳細を確認したい場合はそちらも併せてご覧ください。

【詳細記事】

まとめ

2017年に行われた道路交通法改正により、以前は注意で見逃されていた違反が取り締まられる可能性が高くなりました。

3年以内に2回以上の違反を犯した運転者は、公安委員会による安全運転講習(費用:6,000円、講習:3時間)を受ける必要があります。

自転車は誰でも気軽に運転できる便利な乗り物ですが、れっきとした交通車両です。

事故を起こせばご自身だけでなく他人も傷つけてしまうので、交通ルールを遵守して安全運転を心がけましょう。

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