「自分はあまり大きいのを打つ打者ではなかったので、あれだけ振るという考えはなかったのです。現在は通算本塁打は10本打てるようになりました」
ちなみに森田は絶対的なレギュラーではない。他にも控え選手ながら通算10本塁打を超える大型スラッガー・川口 龍吾内野手(2年)など、本塁打を打てる打者が多く揃うのも健大高崎の魅力だ。
なぜ変化球を見逃す練習をするのか?佐藤志龍内野手(健大高崎)
健大高崎の練習メソッドは過去にも多く紹介してきたが、今回、新たに目についた練習内容を紹介したい。
打撃練習で、打撃投手の速球、変化球を見逃す選手がいた。これにはしっかりとした意味がある。主将の森田が説明する。
「自分のカウントを作るということを意識しています。例えばツーボールワンストライクの時にスライダーを見切れるか。ボール球を振ってツーストライクにするか、(見逃して)スリーボールにするかは大きな差なので、一球一球にこだわってやっています。
広告の後にも続きます
野球は確率のスポーツなので、自分達に有利な方で勝負をしようというのは話しています」
高校野球の好投手となれば、一定レベルの球速に加え、狙い球を外す、あるいは空振りを奪う変化球を必ず投げる。ボールになろうとする変化球を空振りすれば、たちまち投手が有利になる。しかし見逃すことによって、打てる確率が高まり、甘い球が来る確率が高まる。その結果、北海道遠征のある練習試合では7本塁打を記録したという。
主砲の佐藤もこうした見逃し練習で、本塁打が増えた実感があるという。こうした取り組みが横浜の好投手・杉山を攻略できた1つの要因となったかもしれない。
秋は関東大会ベスト4まで勝ち上がったものの、まだ爆発しきれていない印象が強い。ただ、チームワークは抜群によく、主将・森田のキャプテンシーは歴代でもトップクラスだという。
森田は9月の取材でこう誓っていた。
「日本一を目指してやっているので、そこには強い思いを持ってやっていきたいです」
苦しい試合を勝ちきってセンバツへ前進した健大高崎。まだまだ大きく進化していきそうなチームだ。
(記事=河嶋 宗一)