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アーチェリー・JPAF杯に出場、ネクストブレイクアーチャーは他競技からの転向組

パラサポWEB

中途半端が苦手という矢口。トップアスリートの集中力で、パリへつながるA強化指定候補枠を勝ち取れるか。要注目だ。

【渡邊大輔】大混戦のコンパウンド男子をさらに激戦区へと変える

海上自衛隊に勤務。射的スポーツに親しみがあったという渡邊大輔

コンパウンド男子は、健常者の大会でも優勝や入賞をする選手が複数いる、非常にレベルが高い種目。今大会の優勝者は、東京大会後にめきめきと頭角を現した大江佑弥だったが、「調子がよくない。この会場は風が難しくて嫌い」といいながらも、決勝ラウンドを2位でフィニッシュしたベテランの安島裕、病み上がりで本調子にはほど遠かったというものの、同じく3位につけた東京組の宮本リオンと、だれが勝ってもおかしくなかった。

その3人に続いて4位で大会を終えたのが、二度目の出場となる渡邊大輔だ。

海上自衛隊に勤務する渡邊は、左腕に障がいを負った後、リハビリの一環として水泳に取り組み、毎日5000~6000mを泳ぎ込んで、みるみる上達。2000年のシドニーパラリンピック出場をねらえる位置までいったというが、クラス分けの変更により断念した。

それでも世界で戦いたい思いは捨てられず、障害者野球に転向。さらに体を鍛え直そうと、陸上競技の投てきに取り組み、円盤投げでは日本記録保持者(F46)となった。

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「当時、パラリンピックの種目に円盤投げがあれば続けていたと思います。でも世界を目指したかったので」

陸上競技や障害者野球などさまざまな競技に挑戦してきた

仕事で親しみのあったライフルも検討したというが、的を狙うという点で似ているアーチェリーに出会い、2019年、競技を始めた。

アーチェリーを始めると、最初は自分なりの打ち方である射型を固めるのに模索するものだが、いろいろなスポーツを経験してきた渡邊に、さほど時間は必要なかったようだ。

「陸上競技で一つひとつの筋肉の使い方をマスターしたことがすごく役に立っています。競技に適した体の使い方や力の入れ具合がわかりますし、陸上に比べたら体力的にも楽なもんです」

「(A強化基準点を上回る)685点、690点を出せるようになっていたので、今日の試合で(A強化指定入りを)決めるつもりだった」という渡邊。試合のスタート時は明るい印象だったが、試合が進むにつれ、表情が曇り、肩が落ちていくのがわかった。結局、A強化指定の選考対象となる予選の点数は648点と、基準点に届かず。決勝ラウンドで宮本に敗退し、4位が決まってから声をかけたときも、痛恨という表情だった。

今大会はコンパウンド男子で4位だった

「悪くても660点はいけると思っていたんですけど、なんでしょうね……。球(金的)のまわりばかりに矢が飛ぶので、ちょっとおかしいなと思ってエイミングをずらしたら、7点を連発して。なんでそっちに飛んだのかよくわからん、みたいな感じでした」

毎日100本から500本射ち、毎週、試合に出場して経験を積んでいるという渡邊。それでも結果が出なかったのは、今日(A強化指定を)決めてやる、という気持ちの強さゆえに、自分を見失ったからではないか、と自己分析する。

「野球でイップスになったこともあるぐらい、もともとメンタルは弱い方なんです。それでも、野球だったらバットを出せばポテンヒットになるし、陸上だってそこそこ記録が出たりしました。でも、アーチェリーにはポテンヒットがない。そこがほかの競技とは全然違う難しさですよ」

自分がわからなくなったと反省しきりの渡邊だったが、パラリンピックは「目指していなければ、ここにいません」ときっぱり。今年最後のA強化指定候補枠獲得のチャンスとなるフェニックス杯で結果を出せるか。期待したい。

埼玉県障害者交流センターで開催された第8回JPAF杯パラアーチェリートーナメント大会

※世界ランキングは2022年9月現在

text by TEAM A
photo by Haruo Wanibe

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