文化系サークルの日常を描いた『げんしけん』

 中学校や高校とは違って、大学はいろいろな趣味や考え方をもった人と知り合う機会になるもの。その出会いのワクワク感をリアリティたっぷりに描いたマンガといえば、木尾士目の『げんしけん』だろう。

  主人公・笹原完士は大学入学をきっかけに、オタク系サークルの「現代視覚文化研究会」、略して「現視研」(げんしけん)に入会。同人誌やフィギュアで溢れかえる部室で、個性豊かなオタク仲間たちと出会うことになる。

  部室で目的もなくダラダラと雑談したり、一緒に秋葉原のショップに通ったり、同人誌即売会に参加したりと、作中では文化系サークルの等身大な日常が繰り広げられていく。また、巻を追うごとにメンバーの代替わりが起こり、第10巻以降では“二代目”として後輩の荻上千佳が「現視研」新会長となった後の話が描かれている。

  キラキラとした青春ではないものの、読み終えればサークルに入って気の合う友人を作りたくなること間違いなしの物語だ。

  三作品ともリアルなキャンパスライフを描いた傑作マンガ。共感できる描写も多いはずなので、大学生活の心の支えになってくれるのではないだろうか。