アニメ『魁!!男塾』ビジュアル (C)宮下あきら/集英社・東映アニメーション

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「なんだかんだ学生だったんだな」と思わせた最終回

 1985年から1991年まで「週刊少年ジャンプ」で連載された『魁!!男塾』(作:宮下あきら)は、ジャンプ黄金期を支えたマンガのひとつで、累計発行部数2700万部を超えるヒット作品です。またその後の物語を描いた続編や、Jや伊達臣人らサブキャラを主人公にしたスピンオフ作品も発売されており、連載が終了した後も長年ファンに愛されています。

 そんな『魁!!男塾』の最終回がどのような展開だったのか、人気作の割に意外と思い出せないという人も少なくないようです。この記事では『魁!!男塾』のストーリーと、最終回について振り返ります。

『魁!!男塾』の舞台となる私塾・男塾は、太平洋戦争時にアメリカ大統領にすら恐れられた最強の男・江田島平八が塾長を務め、暴力や障害沙汰で高校を退学した者たち、およそ300名が集まった学校です。男塾で学ぶ内容は、通常の学校とは大きく異なります。例えば、棒を倒してその方向にどんな障害物が合っても直進を続ける「直進行軍」など、無茶なものばかりでした。

 そしてコミックス4巻からは、主人公で男塾一号生筆頭の剣桃太郎たちと、かつての塾生で問題を起こして退学となった伊達臣人率いる関東豪学連との戦いが描かれます。男塾と関東豪学連との戦いは「驚邏大四凶殺(きょうらだいよんきょうさつ)」という名称で、それぞれが4人の代表者を選出し、霊峰富士大観が原を舞台に行われました。

 1対1で行われたバトルは、そこから落ちると串刺しになってしまう盆状の氷の上で行われ、学生同士の戦いとは思えない命懸けのものばかりです。ほかにも、ウサギが落ちると一瞬で骨になるような硫黄泉を舞台にするなど、舞台からして現実では考えられないバトルに興奮したファンも多いことでしょう。

 またバトルを通じて友情が芽生え、かつての敵が次の戦いで味方になるという展開も『男塾』名物でした。驚邏大四凶殺で桃太郎たちと戦った伊達たち4人は、コミックス7巻から始まる男塾三号生との戦いである「大威震(※)八連制覇(だいいしんぱーれんせいは)」(※震は手偏に震)で、桃太郎たちの仲間としてバトルに加わります。大威震八連制覇は2対2の形式でバトルが行われ、驚邏大四凶殺の時にはかつて敵だったJと、雷電がタッグを組み三号生達と戦う熱い場面も見られました。

 かつての敵が味方になって、荒唐無稽なバトルを繰り広げるストーリーはその後も続きます。コミックス11巻からは、戦争中に江田島塾長たちを裏切った敵である藤堂兵衛が主催する「天挑五輪大武會(てんちょうごりんだいぶかい)」が行われ、大豪院邪鬼ら三号生が桃太郎たちの仲間に加わりました。

 さらにコミックス28巻からは、天挑五輪大武會で戦ったライバルたちを男塾の仲間に加え、誘拐された江田島塾長を救出するために「七牙冥界闘(バトルオブセブンタスクス)」に挑む塾生たちの戦いが描かれます。



元一号生筆頭の伊達臣人を主人公に据えた『男塾外伝 伊達臣人』第1巻(日本文芸社)

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バトルのたびに仲間が増える展開の先に待っていたのは

 そんな『魁!!男塾』も、コミックス34巻で最終回の布石になるエピソードが描かれました。このエピソードでは、戦時中海軍の少将であった江田島塾長と、その時の陸軍少将であった熊田金造が終戦を迎えた日本で交わした約束が起点となっています。当時彼らは、それぞれが教育者となり、日本を支える若者をそれぞれの方法で育成して、三十年後に会って将来の日本を支える人材を見せ合おうと約束し、東と西に旅立って行ったのです。

 三十年が経過して再会を果たしたふたりによって、男塾と熊田が塾長を務める風雲羅漢塾とで、どちらが優れた教育者であるかを証明する戦いが行われます。2校間による戦いは、塾生同士によって胆力・智力・体力・貫目・団結心の五つの力を争う「五魂遷」という方式で行われるのですが、その内容が相撲やマラソンとなっており、天挑五輪大武會や七牙冥界闘いった命懸けの戦いと比べると、比較的大人しい印象抱いた人も多いかもしれません。

 そして最終回では、風雲羅漢塾の総代・伊集院京介が、ヤクザの集英組の代紋を奪ってくるという競技内容に挑戦し、殺されそうになっていたところを桃太郎と仲間たちが救いました。江田島と熊田はそれを見て「奴等の可能性は無限だ!!」と確信して飲みに行き、男塾と風雲羅漢塾との戦いは終わります。

 さらに月日が流れ、「卒業式」がやってきました。普通の学校と同様に、三号生となって卒業式に臨んだ桃太郎たちが塾での生活を思い出し涙を流しているなか、江田島塾長から最後の言葉が告げられます。最後なので何か特別な言葉が出てくるかと思いきや、江田島塾長の口から出たのは「わしが男塾塾長江田島平八である!!」といういつもの決まり文句でした。

 最後であるにもかかわらず、いつもと変わらぬ姿勢をつらぬく江田島塾長が印象的な最終回に対して、ネット上では今でも「卒業式はまるで自分のことのように感動した」「ゆっくり読み返してたけど最後の卒業式でウルウルきてしまった」「最後ヤクザが相手でちょっと物足りなかったけど、卒業式は泣いた」などの声があがっていました。

 バトルマンガとしてのイメージが強い『魁!!男塾』ですが、「学園もの」と思って読み返して見ると違った感動が味わえるかもしれません。