混乱のもとその1、ウルトラマンレオ(左)&アストラの扱い。兄弟入りしたがスルーされがち。画像は「S.H.Figuarts アストラ」(BANDAI SPIRITS) (C)円谷プロ

【画像】「えっ…顔ぶれ違わない?」 こちらが昭和&平成「超ウルトラ8兄弟」です

「ウルトラ兄弟」という呼称(設定)は雑誌発…?

 昭和のウルトラシリーズで、よく耳にした「ウルトラ兄弟」というフレーズがあります。近年では、「ニュージェネレーション」と呼ばれるウルトラ戦士たちもいます。それではウルトラ兄弟というカテゴリーは、その後、どうなったのでしょうか。

「ウルトラ兄弟」という言葉が作品中に初めて出たのは、1971年から放送された第2期「ウルトラ」シリーズの1作目『帰ってきたウルトラマン』第51話「ウルトラ5つの誓い」です。この時は「ゾフィー」「ウルトラマン」「ウルトラセブン」「帰ってきたウルトラマン」の4兄弟でした。

 実はこのウルトラ兄弟という言葉は、製作側のアイディアではありません。当時、小学館の学年誌で誌面に掲載されたことがきっかけです。これは雑誌側の一方的な解釈で、上記の4人を「実の兄弟」としました。その背景には「親子や兄弟といったものは子供の受けがいい」という判断だったそうです。

 しかし、この一方的な雑誌側の設定に対して、円谷プロは抗議をしました。それはすでに存在している「ウルトラの国にはシルバー族とレッド族という異なる種族がいる」という設定と齟齬があるからです。

 そこで雑誌側は軌道修正して、「4人は実の兄弟ではないが、仲が良いので兄弟と呼ばれている」としました。このようなやり取りの後、ウルトラ兄弟の設定は映像作品にも取り入れられることとなり、次回作『ウルトラマンA』で本格的に使われるようになります。それは続けて『ウルトラマンタロウ』でもフィーチャーされ、第2期「ウルトラ」シリーズの要ともいえる設定となりました。

 こうして続編が作られるたび、ウルトラ兄弟が増えることになったわけです。もっとも、このウルトラ兄弟の数は、人によって異なる数字を思い浮かべるかもしれません。それは「ウルトラ」シリーズを観ていた時代によって増減することがあるからです。

 おそらく「ウルトラ6兄弟」という人数で覚えている人が一番多いことでしょう。その理由は上述した4兄弟に加えて、「ウルトラマンA」と「ウルトラマンタロウ」を加えた6兄弟がもっともクローズアップされたからだと考えられます。

 本来ならウルトラ兄弟の7番目である「ウルトラマンレオ」およびその実の弟で8番目の兄弟「アストラ」の「8兄弟」となるところでしょう。実際『レオ』第39話で、ウルトラマンキングがふたりの兄弟入りを告げています。しかしこのふたりは「ウルトラ8兄弟」としての共闘がなく、これが「6兄弟」とクローズアップされ印象づけられた大きな理由かもしれません。やはり映像的に在るか無いかでは、印象はだいぶ変わります。

 この点に影響されるのが、1984年公開の劇場用映画『ウルトラマン物語』での扱いでした。この作品ではタロウをクローズアップすることで、ウルトラ兄弟は6人までであり、レオとアストラはウルトラ兄弟以外のウルトラ戦士という扱いになっています。

 逆にウルトラ6兄弟は『タロウ』での共演や共闘シーンが複数回あり、挿入歌「ウルトラ六兄弟」の影響も大きかったと考えられます。そういった理由から「ウルトラ兄弟は6人」という印象を持った人は少なくないはずです。もちろんウルトラシリーズに少しでも詳しい人は、そんな認識にはならないでしょう。

 ちなみにここまでの話は、昭和までの「ウルトラ」シリーズの話です。実は後の作品で、ウルトラ兄弟が増えたことは意外と知られていないかもしれません。



混乱のもとその2、80の扱い。兄弟入りしたのか否か、本編では不明のままだった。画像は「ウルトラ特撮 PERFECT MOOK vol.21 ウルトラマン80」(講談社)

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実は21世紀になってから明かされた兄弟の「新事実」

 第2期終了から5年後の1979年に、第3期「ウルトラ」シリーズが始まりました。その1作目となったのが『ザ☆ウルトラマン』です。ウルトラシリーズ初のアニメ作品であり、それまでのシリーズとは世界観がつながらない作品でした。そのためウルトラ兄弟とも関係はありません。

 その翌年に作られた『ウルトラマン80(エイティ)』は、作中でのウルトラ兄弟との共演はなかったものの、設定では「人間との触れ合いを経てウルトラ兄弟の仲間入りをする」とされていました。しかし、この設定が最後まで生かされることはなく、最終的にウルトラ兄弟の仲間入りをしたのか、当時は不明のまま最終回を迎えています。

 この後、「ウルトラ」シリーズはまたしても休息の時を迎えました。しかし、やがて再放送などでブームになると、前述の『ウルトラマン物語』といった劇場用作品が制作されます。こうしたブームの波がたびたび続きますが、「ウルトラ」シリーズのTV用作品は1996年の『ウルトラマンティガ』まで待つことになりました。

『ティガ』は過去の「ウルトラ」シリーズとは別世界の作品ということで、ウルトラ兄弟とは無縁のウルトラ戦士となります。そして、『ティガ』の次回作『ウルトラマンダイナ』以外の新作は、基本的に世界観をリセットして作られるのが定番となりました。

 この流れから外れたのが、「ウルトラ」シリーズ誕生40周年記念作品となった2006年制作の『ウルトラマンメビウス』です。『メビウス』では記念作品ということもあり、積極的に昭和の「ウルトラ」シリーズとの関連性を強調しました。つまり『80』までの昭和のウルトラ作品とつながる作品となったのです。

 そして、この『メビウス』で意外な事実が明かされました。DVDの解説冊子で「ウルトラマン80」が9番目のウルトラ兄弟となったことがわかったのです。約四半世紀ぶりに明かされた新事実でした。

 さらに最終回で「ウルトラマンメビウス」もウルトラ兄弟の仲間入りをし、オリジナルビデオ『ウルトラマンメビウス外伝 ゴーストリバース』では、『メビウス』に登場した「ウルトラマンヒカリ」も兄弟の一員となります。すなわち2024年現在のウルトラ兄弟の人数は11人となっているのです。

 もっとも現在では、前述の「ニュージェネレーション」もあって、ウルトラ戦士の栄光をたたえるカテゴリーはひとつとは限りません。それでもウルトラ兄弟という呼称およびカテゴライズには特別感があり、たびたび引用されることも多いものとなっています。

 特に近年では、ゾフィーからタロウの6兄弟は、彼らのみウルトラの父から授けられたブラザーズマントを着用する姿で登場するという、スペシャルな立場を強調する演出が成されていました。これは一説には、海外での版権問題を解消するための苦肉の策と考察する人もいます。

 ともかく現在は「ウルトラ11兄弟」となるわけですが、今後も名前を連ねるウルトラマンが現れるのでしょうか。雑誌の記事展開では、セブンの息子である「ウルトラマンゼロ」の兄弟入りが検討されているという記述がありました。もしもそうなればセブンとゼロ、実の親子でありながら兄弟という、ダブルスタンダードになりますね。