タイトルで見ないのは損! 実は泣ける感動アニメも

 見たいアニメを探しているとき、その判断基準のひとつになるのが「タイトル」。思わず目を引くタイトルや、作品の内容を想像しやすいタイトルだと、つい気になってしまうことってありますよね。その分、「タイトルで敬遠してしまう」「見たら予想を裏切られた」という、タイトルがもったいないアニメもあります。

【画像】「OP詐欺」がヒドいアニメ(6枚)

 この記事では、タイトルで誤解されている、若干もったいないアニメを3作品ご紹介します。SNSでも「エロいキモオタアニメじゃなかった」「結果バッチリなタイトルだけど、内容を誤解されてる気もする」と評判です。

『青春ブタ野郎はバニーガール先輩の夢を見ない』(2018年10月~放送)



『青春ブタ野郎はバニーガール先輩の夢を見ない』 (C)2018 鴨志田 一/KADOKAWA アスキー・メディアワークス/青ブタ Project

 5月6日。図書館で本を開いていた高校2年生・梓川咲太(あずさがわ・さくた/CV:石川界人)は、異様な人物が通り過ぎたことに気が付きます。彼女は、なぜかバニーガールの姿をしていた、高校3年生の桜島麻衣(さくらじま・まい/CV:瀬戸麻沙美)。麻衣は咲太の高校の先輩で、活動休止中の人気女優です。

 しかし、彼女の姿が見えているのは咲太だけ。「驚いた。君にはまだ私が見えてるんだ」と、それに気づいた麻衣は咲太に話しかけます。そして、「金輪際、私に関わらないように」と言い残し、去ってしまう麻衣。彼女のことが気になる咲太は、次の日駅のホームで麻衣を見つけて――?

『青春ブタ野郎はバニーガール先輩の夢を見ない』(略称:青ブタ)は、同名小説(著:鴨志田一、イラスト:溝口ケージ/KADOKAWA)を原作としたアニメです。タイトルだけ読むと「萌え系・エロ系のアニメかな?」と誤解しがちですが、実は不思議な症状が起こる「思春期症候群」に焦点を当てた、優しくも切ない作品です。

 作中の「思春期症候群」とは、人の不安定な精神状態が引き起こす、不思議な現象を指しています。咲太だけが図書館で「野生のバニーガール」と出会ったのも、実は思春期症候群に関係があるのです。そして咲太自身も、思春期症候群に悩まされ、学校であらぬウワサを広められているのでした。

 原作者の鴨志田さん・溝口さんペアは、『さくら荘のペットな彼女』の原作者でもあります。麻衣以外にも後輩の古賀朋絵(こが・ともえ/CV:東山奈央)、同級生の双葉理央(ふたば・りお/CV:種崎敦美)などのヒロインが何人も出てきますが、ハーレムものとは少し違います。彼女たちの隠された悩みが、思春期症候群を通して少しずつ描かれるのです。

 ファンタジーとSFの間のようなストーリーが、量子力学を例に語られる本作。自分の姿が他人から見えなくなったり、とある1日だけをループしたりと、不思議な現象もリアリティある説明で描かれます。そして思春期症候群に立ち向かう咲太やヒロインたちの真剣さや、思春期特有の悩みやつらさに、思わず涙してしまう作品です。

 なお、本作は神奈川県の藤沢や鎌倉を舞台にしており、江ノ島電鉄の電車や駅なども本物さながらに描かれています。毎回変わるエンディングテーマも、七里ヶ浜の海とおぼしき場所を映しているので、注意して見てみるのも面白いかもしれません。この作品は、「dアニメストア」「U-NEXT」「Amazonプライム・ビデオ」などで見ることができます。

『旗揚!けものみち』(2019年10月~放送)



『旗揚!けものみち』 (C)2019 暁なつめ/まったくモー助/夢唄/KADOKAWA/けものみち製作委員会

 最強の覆面レスラーといわれる「ケモナーマスク」こと、柴田源蔵(しばた・げんぞう/CV:小西克幸)。いよいよ、宿敵「MAO」ことマカデミアンオーガ(CV:稲田徹)との、世界タイトルマッチの決勝戦の日となり、源蔵は気合を入れていました。

 そしてリングへと上がり、決勝戦が開始。熱い戦いを繰り広げ、コーナーポストにのぼった源蔵は、MAOに向かって思い切りジャンプ。そのまま体当たりするかと思いきや、源蔵は飼い犬のひろゆき(CV:末柄里恵)と一緒に、空中で消えてしまったのです。源蔵とひろゆきが現れた先は、なんと異世界の城のなかで――?

『旗揚!けものみち』は、マンガ『けものみち』(原作:暁なつめ、作画:まったくモー助・夢唄/KADOKAWA)を原作としたアニメです。タイトルだけではあまり内容の想像がつかない本作ですが、実は原作者は『この素晴らしい世界に祝福を!』の暁なつめさん。動物大好きプロレスラーが異世界転生してしまい、ペットショップの設立を目指す、コメディアニメです。

 プロレスラーが主人公という設定がまず珍しい本作ですが、さらに特徴的なのは「ケモノ(動物)が大好き」ということです。ムキムキマッチョの大男である源蔵が、ケモノを見るとすぐに連れて帰りたがり、一瞬で手なずけてしまうさまは、なんともシュール。たとえそれがサラマンダーであっても、「よしこ」と名付けてかわいがります。

 そしてその愛ゆえに、「邪悪な魔獣たちを倒してほしい」と頼んできた異世界の姫・アルテナ(CV:末柄里恵)に、「この俺にケモノを退治してくれと、そういうことか?」と激怒。あろうことか第1話から、源蔵はアルテナ姫にジャーマンスープレックスをかまします。

 やたら熱いオープニングテーマに、やたらとリアルなプロレス実況、「このなかで一番強えやつ、出てこいや!」というマイクパフォーマンス。プロレスファンならずとも分かるプロレスネタに、思わずクスリとさせられます。そして、ペットショップの設立を目指す割に、なぜか話は、異世界でプロレスを行う方向へ。

 源蔵は果たしてペットショップを開けるのか、そしてそもそも無事元の世界へ戻れるのか――? いろいろな意味で、見どころの多い作品です。この作品は、「dアニメストア」「U-NEXT」「Amazonプライム・ビデオ」などで見ることができます。

『冴えない彼女の育てかた』(2015年1月~放送)



『冴えない彼女の育てかた』 (C)2015 丸戸史明・深崎暮人・KADOKAWA 富士見書房/冴えない製作委員会

 豊が埼学園の2年生・安芸倫也(あき・ともや/CV:松岡禎丞)は、筋金入りのオタクです。文化祭では教頭と交渉してアニメ上映会を実現し、アニメやゲームにつぎ込むお金は、新聞配達で稼いでいます。自室はポスターやフィギュアで埋め尽くされたオタク部屋で、アニメの総評やラノベのレビューをブログで発信しています。

 ある朝、倫也が新聞配達をしていると、坂の上から白い帽子が落ちてきました。帽子を拾って渡そうとすると、坂の上には白いワンピースの美少女が。その「運命」にひらめきを感じた倫也は、その少女をヒロインにした「最強のギャルゲーを作ろう」と、仲間を集め始めて――?

『冴えない彼女の育てかた』(略称:冴えカノ)は、同名ライトノベル(著:丸戸史明、イラスト:深崎暮人/KADOKAWA)を原作としたアニメです。タイトルだけ読むと「あか抜けない彼女を変身させる話」のようにも思えますが、この「彼女」の読み方は実は、「ヒロイン」です。ギャルゲーのヒロインのモデル・加藤恵(かとう・めぐみ/CV:安野希世乃)を含め、仲間を巻き込んでギャルゲーを作るという物語です。

 倫也が運命を感じた美少女は、実は「冴えない」クラスメイト・恵だった、と気付くことから始まる本作。しかし恵はもちろん、幼なじみの澤村・スペンサー・英梨々(さわむら・すぺんさー・えりり/CV:大西沙織)や、成績学年トップの美少女・霞ヶ丘詩羽(かすみがおか・うたは/CV:茅野愛衣)など、かわいいヒロインが続々登場します。

 そしてどちらかというと、「冴えない」のは倫也のほうかもしれません。早口かつオタクっぽさのにじみ出ている倫也ですが、なぜかヒロインたちからはこぞって好意を寄せられます。恋愛ものであること自体は、タイトル通りと言えるでしょう。

 本作の本筋であるゲーム作りは本格的で、企画作りをするところから始まります。そして、天才イラストレーターの英梨々や、人気ラノベ作家の詩羽を巻き込み、企画会議をしたり、さらなる仲間を探したり……。ギャルゲーが少しずつ作られていく過程を見ることができるため、ヒロインたちの恋愛模様と一緒に、その行く末を見守りたくなる作品です。

 なお、倫也のオタク部屋には、『ソードアート・オンライン』や『俺の妹がこんなに可愛いわけがない』など、本作を手がけたアニメ制作会社「A-1 Pictures」のアニメ関連グッズがずらり。倫也の部屋が映るたびに、他作品のグッズを探してみるのも楽しそうです。この作品は、「dアニメストア」「U-NEXT」「FOD」などで見ることができます。

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 タイトルで、なんとなく見るのをやめていたアニメはありましたか? 内容の良さに反して、あまり話題になっていないアニメもちらほら……。タイトルが原因で名作を見逃してしまうのはもったいないので、ぜひこの機会に視聴してみて下さいね。

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