ファミコン本体と接続し、その下に置いて利用したファミコン ディスクシステム

【画像】システムが斬新! ローディングに個性が出る、往年のゲーム機を見る(6枚)

ロードが気にならないゲームはいいゲーム…と言えるかも!?

 今日のコンソールゲームと切っても切り離せないもの…それはローディング。かつてのファミコン全盛期には無縁でしたが、ゲームが日進月歩を続けて1タイトルの容量が1GB、10GBという単位で語られるようになった今日では身近なものになっています。ゲームの発展とともに、ローディングはどのような道のりを歩んできたのか? 筆者がリアルタイムで触れてきたハードから振り返ってみます。

初めての「ロード」を味わったファミコンディスクシステム

 筆者が初めてローディングを意識したのは、小学校低学年の時に出会ったファミコンディスクシステムでした。ディスクシステムにおけるロードは「Bメンヲ セットシテクダサイ」というような簡素なテキストが真っ黒な画面に表示されるのみで、読み込みが終わるまで「ジー…カタッカタッ…」という音をひたすら聞いているしかありませんでした。

 ただ、ディスクシステムはディスクカードをセットせずに電源を入れると、マリオとルイージが「PLEASE SET DISK CARD」と表示された待機画面をどんな色にするかで揉めて追いかけっこを繰り広げる無音のデモが再生されるようになっており、筆者はゲームスタート後のロード時間も「またマリオとルイージが追いかけっこをしてるのかな」くらいに思っていました。

ROMカートリッジでロードを体感できちゃった!?

 スーパーファミコンはファミコンに引き続きROMカートリッジ(いわゆるカセット)が採用されており、再びロードと無縁になりました。しかし、RPGの『摩訶摩訶(まかまか)』は開発力が足りなかったのか、そんなロード時間を「体感できてしまう(体感できるほど長い)」驚異の仕様に……。一部の界隈で物議を醸しました。

 そしてSFCから数年のうちには、CD-ROMを採用したゲーム機が続々と登場してゲームソフトの媒体は少しずつCD-ROMが主流となっていきます。筆者はそんなCD-ROM採用ハードのひとつであるPCエンジンDuoを所有していましたが、アニメでおなじみの声優陣によるボイスや、CD-DA形式によるリッチなサウンドに魅了されっぱなしでした。

 しかし、プレイした全タイトルでロードが気にならなかったわけではなく、町とフィールドの出入りでロード、ステータス画面を開くたびにロード、ザコ敵とエンカウントするたびにロード……と、まさにロード地獄というほかなかったRPG『BURAI 上巻』はクリアするだけで燃え尽きてしまい、『下巻』は買わずじまいでした……。

 また、当時は友人にネオジオCDで遊ばせてもらったこともありますが、対戦格闘ゲームで使用キャラを決定すると試合が始まるまでに1分近くのロードが発生することもあるというなかなかの仕様で「これはキツい…」と思ってしまったものです。その友人には言えませんでしたが!



圧倒的な普及率でロードを身近なものにした初代PlayStation

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名作ラッシュでロードを覆い隠したPS~セガサターン

 初代PlayStationやセガサターンは前述のハードに比べるとロード時間も長くはなく、さらに良質なゲームが数多く輩出されたので、数多のゲームユーザーにとってロードを身近なものにさせたといえるでしょう。セガサターンでは「拡張RAMカートリッジ」が本体と別売りで登場し、併用すると対応ソフトのロード時間を短縮できました。

 一方、任天堂は「ロード時間はない方がいい」という理念の下でNINTENDO64でも引き続きROMカートリッジを採用しましたが、『スーパーマリオ64』、『ゼルダの伝説 時のオカリナ』、『大乱闘スマッシュブラザーズ』などの名作を世に出しつつも、PSの牙城を崩すにはいたりませんでした。このことも、ロード時間をより身近なものにさせた遠因のひとつかなと思います。

携帯ゲーム機にも訪れたローディング

 2004年にPlayStation Portableが発売されると、携帯ゲーム機にもロード時間がコンニチハ。PSPは記録媒体であるメモリースティックDuoにゲームの一部をインストールする「カスタムインストール」システムが搭載されており、ロード時間を短くする工夫が見られました。筆者はスペックアップされたバージョン違いの本体が出るたびについつい買い足してしまったので、PSPを3台所有しています。

 また、ニンテンドー3DSでは記録媒体にSDカードを使用できるようになり、「Class10規格のカードを使えば、ロード時間が少し短くなる」というような知識がネット上でよく見られるようになりました。

今日にも見られるロード時間を飽きさせない工夫

 駆け足で見てきましたが、筆者はロード時間が「ゲームにあって当たり前のもの(あってもしょうがないもの)」とさせたのは、初代PSの功績であると感じています。とはいえ、その時間が短いに越したことはないので、メーカーはいくつもの工夫を凝らしています。

 具体的には「ロード画面にTipsを表示して読みながら待ってもらう」、「ゲームを止めずにリアルタイムで少しずつ読み込む」、「演出で体感させづらくする」などが挙げられます。リアルタイムで読み込む手法はいわゆるオープンワールドタイプのRPGで認識しやすく、広大な世界を一方向に進み続けると、遠方の地形が少しずつ描写されていく様を確認できることがあります。

 演出で体感させづらくする一例は『ファイナルファンタジー』シリーズです。初代PSで発売された『FFVII』、『FFVIII』、『FFIX』は戦闘が始まるとBGMが即座に切り替わるものの、凝ったカメラワークによる演出が入ってすぐに戦闘が始まるわけではありません。このカメラワークはロードを感じさせづらくする工夫だと思われます。

ロード時間はスペックが高ければ短縮できる!

 ロード時間を短くするスペックアップや工夫は、もちろん今も続いています。昔から言えることですが、ロード時間を少しでも短くする一番手っ取り早い方法は「ゲーム機のスペックを高くすること」でしょう。本体内臓のHDDをSSDに換装したPlayStation 5や、それ以上の性能を誇るゲーミングPCはそのスペックでロード時間を短くでき、ゲームをより快適にプレイできます。

「ゲーム機は最低限のスペックがあればいい」と言われることもある今日ですが、筆者は「ゲーム機はスペックも重視されるべき」だと思っています。スペックを抑えれば価格も安くなるというメリットがありますが、スペックに優れるハードにはそれに応じた強みがあることも忘れないようにしたいですね。