映画版『クレヨンしんちゃん』にも数々のトラウマシーンが存在することで有名ですが、TVアニメ版でも度々“ホラー回”が放送されていたのです。お茶の間に恐怖を与えた回とは?

毎年劇場版も公開され、20年以上にわたって国民的ギャグアニメの一角として人気を誇っている『クレヨンしんちゃん』。ただ、作風はずっと攻めの姿勢を貫いており、下ネタやパロディが凄いのはもちろん、「恐怖」描写にも定評があります。

劇場版に『ヘンダーランドの大冒険』や『伝説を呼ぶ 踊れ!アミーゴ』など大人でも怖くなってしまうような強烈な作品があるのも有名ですが、通常のテレビ放送でも、夏場などにとんでもなく怖い回がオンエアされたこともありました。



『クレヨンしんちゃん』(テレビ朝日公式サイトより)
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「恐怖の幼稚園だゾ」(1997年8月8日放送)

『クレしん』のホラー回として一番有名かもしれないのが、徹頭徹尾怖い「恐怖の幼稚園だゾ」の回(1997年8月8日)でしょう。こちらの回は「カスカベ防衛隊」のなかで常識人寄りの風間くんが主人公でした。

ある朝、風間くんがいつものように幼稚園の送迎バスに乗ろうとした時のこと。いつもはよしなが先生が送迎バスに乗っているはずが、その日はまつざか先生が迎えてくれました。いつもと違う違和感は、幼稚園に着いてからも続きます。



DVD『クレヨンしんちゃん TV版傑作選 第3期シリーズ 22』
via DVD『クレヨンしんちゃん TV版傑作選 第3期シリーズ 22』
なぜか教室が増えていたり、目を離したすきに他の園児たちが「石」になっていたり…あまりの怪奇現象におびえる風間くんは、しんのすけたちまでいなくなった結果、まつざか先生と二人きりになります。すると、まつざか先生は恐ろしい形相と化して襲い掛かってきて…。
石化して天井からぶら下がる子供たち、ぐちゃぐちゃになった線の作画で襲い掛かってくるオバケまつざか先生、そしてまさかの「ループ」で終わるラストなど、子供の時に見て震えが止まらなかったトラウマ回です。

本当に「恐怖」を純粋にぶつけてくる伝説のエピソードでした。

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「知らない誰かがいるゾ」(2000年8月4日放送)

こちらも夏のホラー回、2000年8月4日に放送されたエピソードです。

いつも仲のいい「カスカベ防衛隊」の「5人」ですが、その日は何か異変が続いていました。メンバーのなかで、マサオくんだけがかくれんぼをしている最中に「なんだか『6人』いる気がする」のです。その後、おままごとをしていてもやはり6人目の存在を感じるマサオ君。しかし、彼以外誰も気づきません。

その後、園長先生のところへ行き、みんなはかき氷を振舞ってもらうのですが、そこでとうとう「5人分のかき氷が出されたのにマサオくんだけが食べられない」という事態が発生します。

しかし、マサオくん以外は特に違和感を抱かず、園長先生も「座敷わらしかもしれませんね」と言い、みんなは帰ることにします。それを見送る園長先生の目には、確かに6人の子供たちの姿が見えていました。



DVD『クレヨンしんちゃん TV版傑作選 第5期シリーズ 10』
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園長先生の言う通り「座敷わらし」だとすれば、6人目の子供は有害な存在ではありませんが、アニメを見る限りかなり不気味に描かれており、目的もそこにいた理由も不明なまま終わるので、何とも言えない後味となりました。あのかわいらしい絵柄だからこそ違和感が倍増するトラウマ回です。