松山ケンイチが半裸姿で熱演した『珍遊記』

 予想外のヒットもあれば、ダダ滑りする可能性も大いにあるのが「まさかの実写化」作品です。興行的に残念な結果に終わった作品に、独特な画風で知られる漫☆画太郎氏が「週刊少年ジャンプ」に1990年~92年に連載した『珍遊記 -太郎とゆかいな仲間たち-』があります。松山ケンイチさん、倉科カナさん、笹野高史さんらを配役し、実写映画『珍遊記』(2016年)として東映系で配給されています。

 松山ケンイチさんは実写映画『デスノート』(2006年)や『デトロイト・メタル・シティ』(2008年)で大いに注目を集めましたが、全裸に近い姿で主人公・山田太郎を熱演した『珍遊記』は、ほとんど話題になることなく、静かに上映を終えています。

 興収的には奮わなかった『珍遊記』ですが、小学生レベルのギャグが終始飛び交う内容は清々しさすら感じさせます。NHK大河ドラマ『平清盛』などシリアスな役が多かった松山ケンイチさんも、真逆な役を演じることを大いに楽しんだようです。

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昭和愛にあふれたミュージカル版『愛と誠』

 妻夫木聡さん、武井咲さんらが共演した実写映画『愛と誠』(2012年)も、公開時には話題になりましたが、ヒットには至りませんでした。1973年~76年に「週刊少年マガジン」に連載された梶原一騎氏の原作マンガを、三池崇史監督がなんとミュージカルコメディ化した作品です。

 太賀誠役の妻夫木さんが「激しい愛」を、早乙女愛役の武井さんが「あの素晴らしい愛をもう一度」を歌い踊り、さらには岩清水役の斎藤工さんは名セリフ「君のためなら死ねる」を決めてみせます。ガム子役の安藤サクラさん、番長・座王権太役の伊原剛志さんもいい味を出しています。

「日本一多忙な監督」と呼ばれる三池監督ですが、梶原一騎氏の実弟・真樹日佐夫氏の空手道場に通っていたことでも知られています。梶原氏は1987年に、真樹氏は映画の完成を控えていた2012年1月に亡くなっています。昭和という熱い時代を生きた梶原一騎&真樹日佐夫兄弟へのリスペクトが、三池版『愛と誠』からは感じることができます。