『劇場版 ドラゴンボール超 スーパーヒーロー』ビジュアル (C)バード・スタジオ/集英社 (C)「2022ドラゴンボール超」製作委員会

【画像】神々しい…オンラインゲームに現れた「神龍」の姿

物語が変わる願いはありそう

 全世界で2億6000万部も発行され、世界的に愛される『ドラゴンボール』。主人公・孫悟空の明るく前向きで破天荒なキャラクター性や、続々と現れる強敵とのバトルなど、見ごたえ豊富な作品です。最新アニメ映画『ドラゴンボール超 スーパーヒーロー』は全世界でも週末興行収入ランキングで1位を獲得するなど、大ヒット作となっています。

 作品のタイトルとなっている「ドラゴンボール」とは「7つ集めると神龍が出現して、どんな願いでもひとつだけ叶えてくれる」というものです。実際には「神様より強い存在を殺すこと、体を変化させることはできない(「人造人間を元の人間に戻す」などは無理)」「同じ願いは叶えられない」「大規模な天変地異は止められない」「自然死した人を蘇らせることはできない」など、願いには制約があります。

 それでも劇中でブルマが「3年後に人造人間が現れる」と知ったときに、「ドラゴンボールで開発者のドクター・ゲロを倒してしまえば、事件が起こらない」と提案し、悟空が「まだ悪いことをしていない奴を倒すのはちょっと……」と、拒否しているなど、物語を変化させかねない願いごとはあるように感じます。考えてみましょう。

 最初のピラフ大王が願った「世界の王にしてくれ」は、ウーロンの邪魔で実現しませんでした。ただ、ブルマや悟空はその後の「レッドリボン軍編」も含めて「悪人が欲望を実現するためにボールを狙っている」ことを実感したはずです。

 それを防ぐために、もう一度ドラゴンボールを集め「ウパの父を生き返らせる」を後にして「悪人の願いは叶えない(「悪人は生き返らせない」という願いを叶えられるので、神龍は悪人を見分けられます)」とか「悪人はドラゴンボールの存在を認識できない」という願いごとをしたら、ピラフやレッドリボン軍が願いを叶えることを妨害でき、ピッコロ大魔王も復活しなかったかもしれません。

 次に「サイヤ人編」。「1年後にサイヤ人がやってくる」と知り、地球側は迎撃体勢を整えます。この時に「地球を狙うサイヤ人の宇宙船が、宇宙を飛んでいる時に爆破してくれ」という願いごとをしたら、どうなるでしょうか。

「サイヤ人編」では、ベジータやナッパは神様よりも強いので「殺してくれ」というような願いは叶えられませんが、モノである宇宙船を破壊する願いごとは、力の差と関係なく、叶うと思います。「フリーザ編」で「サイヤ人は宇宙では生存できない」とフリーザが発言していますから、ベジータたちは窒息死し、それで危機は去ったのではないでしょうか。

 もしくは「サイヤ人を倒せる正しい心を持った戦士を呼ぶ」という願いも考えられます。ネイルを呼べればベジータでも倒せたかもしれません(拒否されることも考えられますが)。

「フリーザ編」では地球の神龍に「フリーザ一味に殺された人たちを生き返らせる」という願いをしましたが、ベジータに殺された村人は復活しませんでした。「ブルマがこの星に降りたってから、悪人を除いて殺された人を生き返らせる」なら、蘇ったと思われます。

「人造人間編」では、3年前に「ドクター・ゲロがこれから行う全ての研究を失敗させて」という願いが考えられます。ゲロの話が出た時点では、ゲロは一般人なので力の差はなく、願いは叶うでしょう(ゲロの知力がピッコロより高い場合は「力の差がある」と見なされて、願いがかなわないかもしれませんが)。ゲロを殺さずに、人造人間やセルの出現を防げるかもしれません。

 いかがでしょうか。『ドラゴンボール』はゲームで多数のイフストーリーが作られているように「こうした場合はどうなったのか」を考えられる、完成度が高い世界観だと思います。