実写版では山田裕貴が演じたゾルフ・J・キンブリーが表紙の『鋼の錬金術師』11巻(スクウェア・エニックス)

【画像】出番が減った実写化キャラの再現ビジュアル 雰囲気ぴったりだったのに…(9枚)

清水尋也の「半間」は絶賛されているけど…

 長期連載の人気マンガが実写映画化されると、2時間程度の上映時間に収めるためにキャラが削られたり、出番が大幅に減ったりすることがしばしばあります。そのなかには俳優の演技力やビジュアルの再現度で「はまり役だったのに」「もっと見たかった」と言われる一方、出番自体は少なかったキャラもいました。

『鋼の錬金術師』ゾルフ・J・キンブリー(演:山田裕貴)

 2022年に実写版3作目が完結を迎えた『鋼の錬金術師』は、悪役側にも魅力的なキャラが多数います。そのなかでも、国家錬金術師ながらホムンクルス側で暗躍する「紅蓮の錬金術師」ことゾルフ・J・キンブリーは、基本的に敬語の紳士然とした態度ながら、狂気を漂わせて物語をかき回す、魅力的な悪役でした。

 実写版では2作目『復讐者スカー』で、山田裕貴さん演じるキンブリーが登場しています。「傷の男(スカー)」の回想でスカーの家族を狂気の笑みで殺害する場面だけでしたが、「やはり狂気の漂う役は山田裕貴ぴったり」「再現度高い」「いい笑顔」と、絶賛の声が集まっていました。そして、3作目『最後の錬成』でいよいよ、キンブリーが本格的に本筋に絡んでくるものと思いきや……。

 完結までを映画の上映時間にまとめるための都合か、キンブリーは姿どころか名前も出てこず、ホムンクルス勢はキンブリー抜きでエドたちと戦い、プライドとの最後の対決など数々の名場面もカットとなりました。SNSでは「白スーツの山田キンブリーが見たかった」「2だけだとスカーの家族殺しただけのサイコになってしまう」「キンブリーはいろいろと複雑なキャラだし、映画の尺じゃ扱いきれないのか」「原作もう一度読みながら、脳内でキンブリー山田の補修しとこう」といった声が続出しています。

「カイジ」シリーズの兵藤和尊会長(演:佐藤慶)

 ギャンブルマンガの金字塔「カイジ」シリーズの絶対悪、帝愛グループの会長・兵藤和尊は、その極悪さと切れ者ぶりでインパクト絶大なキャラです。実写版の1作目『カイジ 人生逆転ゲーム』では、『太閤記』の明智光秀役など数々の名悪役で知られるベテラン俳優・佐藤慶さんが貫禄たっぷりで兵藤会長を演じました。

 香川照之さん演じる利根川をしのぐ巨悪としての存在感は抜群だったのですが、上映時間の都合やレイティングの問題ゆえか、原作の名場面「焼き土下座」や「ティッシュ箱くじ引き」からの指切断のシーンはカットとなり、必然的に兵藤会長の出番は減ってしまいました。

 そして、佐藤さんは映画公開翌年の2010年に逝去しています。2作目の『カイジ2 人生奪回ゲーム』では、兵藤会長は声とシルエットだけの出演となり、「沼」で負けた一条に地下行きを告げる場面もなくなりました。それでも『カイジ』の兵藤役は佐藤さんの遺作にして、代表作として広く認知されています。

『東京リベンジャーズ』の半間修二(演:清水尋也)

 2021年の実写化作品No.1のヒットを飛ばし、土曜プレミアムでの放映後の反響も大きかった『東京リベンジャーズ』は、原作キャラの再現度で高い評価を受けています。ただ、やはり原作の「愛美愛主(メビウス)」との抗争までを上映時間内にまとめるために、いくつかのキャラや描写が削られました。

 重要な悪役キャラで、「東京卍會」を犯罪組織に変貌させる黒幕・稀咲鉄太(演:間宮祥太朗)も、要所で存在感を見せるものの出番は少なくなっています。そして、それ以上に稀咲の腹心である半間修二の出番は激減。マイキー(演:吉沢亮)とのタイマン場面もなくなり、現在のスーツ姿の半グレとしても、過去のモヒカン不良としてもチラッと出てくるだけでした。

 しかし、半間を演じる若手実力派・清水尋也さんの再現度は大きな話題となり、映画公開時もTV放送後もSNSで「スーツでもモヒカンでも、冷酷なイケメン感がまんま半間」「『だりぃ』の言い方完璧」「実写版半間修二くん半間過ぎでは???」「こんなにも半間なのに出番少なすぎると思う」と反響を呼んでいます。2023年公開で続編の製作が決まったため、清水さん演じる半間の活躍にも期待値が高まっているようです。