悟空たちの師として数々の名言を残した亀仙人が表紙の『ドラゴンボール』28巻(集英社)

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サラリと言うから、「最強ジジイ」の言葉は刺さる!

歳を重ねているからこそ強くカッコいいマンガの「最強ジジイ」キャラクターたち。確かな経験値に裏打ちされた彼らの一言は、強く、重く、深く、心に響く「最強の名言」ばかりです!今回は、そんな胸に突き刺さる「最強ジジイ」たちの名言をご紹介します。

『ドラゴンボール』亀仙人「武道は勝つためにはげむのではない」

『ドラゴンボール』の亀仙人は、武天老師と称される武道の達人で、主人公・孫悟空たちの師匠です。地球人でありながら年齢は300歳超えという驚異の生命力を誇り、アロハシャツにサングラスといういでたちで、「ぱふぱふ」好きなスケベという「仙人」らしからぬファンキーなところが魅力でもあります。

 そんな亀仙人には、師としての金言がいくつもあります。「よく 動き よく 学び よく 遊び よく 食べて よく 休む これが 亀仙流の修行じゃ」と、厳しい修行中であっても、休養やリフレッシュの大切さを説き、「武道は勝つためにはげむのではない おのれに負けぬためじゃ」という言葉をかけました。その後、どんな困難にぶつかっても最後までけっしてあきらめない悟空の精神の礎を作ったと言えるでしょう。

『ONE PIECE』シルバーズ・レイリー「これから始まるのだよ!! 彼らの時代は……!!!」

 初登場時、76歳だった『ONE PIECE』のレイリーですが、188cmの長身に白髪の長い髪の毛、ひげをたくわえた迫力のある老人でした。海賊王ゴール・D・ロジャーの右腕として「冥王」と呼ばれたレイリーは、ひとつなぎの大秘宝(ワンピース)の在処を知る人物でもあるのです。

 そんな彼は、主人公のモンキー・D・ルフィがつらい時期に目標を与え、修行をつけた師匠でもあります。シャボンディ諸島で大将黄猿との闘いの際、麦わらの一味の助っ人として登場した時のセリフ、「若い芽を摘むんじゃない… これから始まるのだよ!! 彼らの時代は……!!!」や再集結し、出発する麦わらの一味にかけた「頂点まで行ってこい!!!」という言葉。いずれも、自分も一度は頂点までかけのぼり、仲間を失った悲しみや苦しみを知って年齢を重ねたレイリーだからこその言葉です。



新選組では「鬼の副長」と恐れられた土方歳三が表紙に描かれた『ゴールデンカムイ』第14巻(集英社)

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『最強ジジイ』は目力も威圧感もはんぱない

『ゴールデンカムイ』土方歳三「この時代に老いぼれを見たら『生き残り』と思え」

 実際の土方歳三は享年34歳ですが、『ゴールデンカムイ』では、五稜郭の戦いの後、網走監獄に投獄されて秘密裏に囚人生活を送っていたという設定です。長い白髪に、鋭い眼差し、高齢とは思えぬ高い身体能力を発揮し、むしろ年齢を重ねて目力も威圧感もマシマシです。そんな彼もまた日本のため、かつて目指した蝦夷共和国のために、アイヌの金塊を探しています。

 そんな激動の時代を生き抜いてきた土方は、茨戸でなめ腐った態度の日泥一家のチンピラどもを切り捨て、「いいか 小僧ども この時代に老いぼれを見たら『生き残り』と思え」と名言を残しました。激動の幕末を生き抜いた新選組「鬼の副長」土方歳三のプライドと、まだまだ戦いに身を置く覚悟が凝縮されたセリフです。

『ワンパンマン』シルバーファング「適当でええんじゃ 適当で 土壇場こそ」

『ワンパンマン』のシルバーファングは、80歳を超えてなお「流水岩砕拳」を武器に戦う武術家のS級ヒーローです。細見で腰や膝は曲がっており、年相応の老化はありますが、逆立った髪の毛や太い眉、鋭い目つきなど、普通の老人ではないことはひと目でわかります。また、その肉体は筋肉バキバキのムキムキに鍛え抜かれており、身のこなしや傷跡は長年の研鑽を物語るものです。

 そんなシルバーファングがZ市への隕石直撃という危機を回避できず、絶望的になっているサイボーグヒーローのジェノスにかけた言葉がこちら。

「おぬしは失敗を考えるには まだ若すぎるのう 適当でええんじゃ 適当で 土壇場こそ な 結果は変わらん それがベストなんじゃ」

「適当」という言葉は悪い意味で使うと「いいかげん」ということですが、本来は「ほどよい」という意味です。力が入りすぎる若者に、最強ジジイであるシルバーファングからの「力を抜け」「リラックスしろ」「見極めろ」という深い言葉に思えます。これは初期のファングの名言ですが、のちにかつて荒くれだった彼の過去や、弟子のガロウとの関係などが明らかになってくると、より深みを感じます。

『いぬやしき』犬屋敷壱郎「死ぬからこそ…大切で愛おしいんだよ」

『いぬやしき』の主人公・犬屋敷壱郎は58歳ですが、シワは多く薄毛の白髪で、見た目はかなり老けています。これまでにご紹介したキャラたちが歴戦の猛者なのに対して、ごく普通か、それ以下の貧相な体格と平凡な経歴の持ち主です。

 家族からも疎まれていて孤独な彼は、さらに健康診断で胃がんが発覚し、絶望していました。そんなある日、愛犬との散歩中に宇宙人の事故に巻き込まれて機械の身体となり、最強ジジイとして人助けをすることに自分の存在意義を見出すのです。

 機械になったことも人助けのことも、秘密にしていた犬屋敷ですが、ある日、ついに家族に知られ、それがきっかけとなって家族の絆が再構築されます。そして、そんな父に、自分も死なない機械の身体になって、人を助けて褒められたいと言う息子に犬屋敷がこう答えるのでした。

「死ぬからこそ……大切で愛おしいんだよ……」

 がんで死を目前にし、そして実際に死を体験し、さらに死なない身体になった犬屋敷だからこその優しさと強さのあふれる言葉にグッときます。シワだらけの顔もたるんだ肌も薄毛も、物語が進むにつれ、次第にかっこよく見えてくるでしょう。

 あなたの心に刺さったマンガの「最強ジジイ」の名言は何ですか?