支援用の戦闘ポッドに過ぎないボールで、高機動試作型ザクを翻弄したシロー・アマダ。画像は『機動戦士ガンダム 第08MS小隊』Vol.01 DVD (バンダイビジュアル)

【画像】量産メカを侮るべからず!「ガンダム主人公」が操縦した機体(5枚)

ガンダム以外のMSでも戦果を挙げる主人公たち

「ガンダムシリーズ」の主人公といえば、ガンダムに乗って何機もの敵MS(モビルスーツ)を次々と撃破するシーンが思い浮かびます。その活躍も高性能なガンダムに乗っているから当たり前だと思う人もいるでしょう。しかし、ガンダムが強いのは何もMSとしての性能が高いだけではありません。操縦するパイロットの技量もまた超一流だからこそなのです。

 そこで、まずは「ガンダム」シリーズ最初の主人公であるアムロ・レイ(『機動戦士ガンダム』)の戦いを思い出してみましょう。実はアムロはガンダムだけでなく他のMSでも戦果を挙げています。たとえばセイラ・マスの独断でガンダムに乗れなかった時、アムロはガンキャノンでランバ・ラル隊と戦いました。この戦いでアムロはアコースのザクIIを撃破、コズン・グラハムのザクIIを鹵獲(ろかく)するという獅子奮迅の活躍を見せます。

 さらに次の戦いでは命令無視ではありましたが、ガンタンクで拠点制圧任務をこなしました。ただ、この時は作戦全体を見通せなかったことで、駆けつけたランバ・ラル隊の前に一時後退しています。

 このようにガンダムでなくても一定の戦果を挙げるアムロは、どんなMSでも乗りこなせるエースパイロットだと言えるでしょう。つまり単純にガンダムが強いだけでなく、ガンダムにアムロが乗るから強いことを証明しているわけです。

 こういったように「ガンダム」シリーズの主人公たちは、時に主役機であるガンダム以外のMSに乗ることでパイロットとしての腕前を見せていました。

 そのなかでもシロー・アマダ(『機動戦士ガンダム 第08MS小隊』)の活躍は、ファンを驚がくさせました。なぜならシローは、作中でもっとも頼りないと考えられていた先行量産型ボールでアイナ・サハリンの高機動試作型ザクを翻ろう、ワイヤーを駆使した捨て身の戦法で相打ちに持ち込んでいます。支援用の戦闘ポッドに過ぎないボールで接近戦をこなしたシローは間違いなくエース級の腕前の持ち主でしょう。

 この他にも異色の対決といえば、ジュドー・アーシタ(『機動戦士ガンダムZZ』)がズゴックに乗って、ハマーン・カーンの乗るアッガイと戦ったことがありました。共にエースパイロットであったことから、普通の水陸両用MSとは思えない機敏な動きで戦っています。

 このように宇宙世紀の「ガンダム」シリーズで主人公だったパイロットのほとんどが、ガンダム以外のMSに乗ったことがあり、その機体でも好成績を残していました。



汎用量産型MSのリーオーで、張五飛のアルトロンガンダムを相手に善戦したヒイロ・ユイ。画像は「ガンダム30thアニバーサリーコレクション 新機動戦記ガンダムW Endless Waltz 特別篇」DVD(バンダイビジュアル)

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並みの量産型MSでも破格な性能に引き上げる主人公たち

 もちろん宇宙世紀以外のアナザー世界でも、主役機であるガンダム以外で活躍したことのある主人公パイロットは大勢います。

 そのなかでもMSの性能が絶対的な戦力差ではないことを証明したのがアフターコロニー(A.C.)の世界かもしれません。この世界では主人公ヒイロ・ユイ(『新機動戦記ガンダムW』)以外にも、一般用のMSに乗ることでパイロットの技量を見せたキャラが何人かいました。それを立証したのが汎用量産型MSのリーオーです。

 このリーオーは劇中の主要キャラのほとんどが乗ったことでも有名で、第1話では主役機のウイングガンダムを拘束したまま海に沈めるという荒業を披露していました。この時のリーオーのパイロットはライバルキャラのゼクス・マーキスで、ウイングガンダムのパイロットはヒイロです。

 それではヒイロの能力が劣っているのかというとそうではありません。後にOVAでリーオーに乗ったヒイロは、張五飛のアルトロンガンダムを相手に善戦しています。作品的にガンダムの圧倒的な性能が描かれるため戦闘が大味に思えますが、他の機体に乗った時のガンダムパイロットの活躍がもっともよく描かれている作品でした。

 アナザー世界の主人公の中にはガンダムにしか搭乗しなかったパイロットも何人かいます。しかし、意外にもガンダムにしか乗ったことがないように思えて、ガンダム以外のMSに乗ったことがあるのが刹那・F・セイエイ(『機動戦士ガンダム00』)でした。

 刹那が乗ったMSはソレスタルビーイング仕様のユニオンフラッグで、太陽炉が搭載されていない旧式機。このフラッグで刹那は、コロニー公社過激派のGN-X III 3機を単独で撃破するという圧倒的な実力差を見せつけています。作中で見せたガンダムへのこだわりを考えると、ガンダム以外のMSに乗るのは意外ですが、それでも活躍できるというのが主人公の本領ということでしょうか。

 作品1話から見せたベルリ・ゼナム(『ガンダム Gのレコンギスタ』)の活躍も、主人公らしいものがありました。ベルリが乗っていたレクテンは戦闘にも使えますが、メインは作業用の機体。このレクテンでベルリは、アイーダ・スルガンの乗った主人公機であるG-セルフを鹵獲するというはなれわざを見せました。紆余曲折ありますが、このことがきっかけでベルリはG-セルフのパイロットとして、物語を進める主人公として、さらなる活躍をしていきます。

 こうして振り返って見ていくとわかりますが、主人公もガンダム以外のMSに乗ることはもちろん、時には本来のパイロット以上の活躍を見せることもありました。もちろん、ここで紹介できなかった主人公たちも意外な活躍をしていることがありますので、注意して作品を見てみるといいかもしれません。