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本屋大賞1位の殺人ミステリーを映画化!『ザリガニの鳴くところ』“湿地帯の音楽”って? 劇伴作曲家に独占インタビュー

BANGER!!!

注目ミステリー映画の音楽を深掘り

アメリカ・ジョージア州出身の動物学者/作家、ディーリア・オーエンズのベストセラー小説の映画化作品『ザリガニの鳴くところ』が、2022年11月18日から日本で劇場公開される。

幼い頃に両親から見捨てられ、学校にも通わず、ノースカロライナ州の湿地帯で自然に囲まれてひとりで過ごしてきた少女カイア(デイジー・エドガー=ジョーンズ)。逆境のうちに育つも、くじけずに生きていこうとする健気な姿。甘く切ない初恋。開花する芸術の才能。そしてある青年の殺人容疑をかけられる衝撃的な展開――。これらのドラマが交錯しながら、物語は息を呑む結末へと導かれていく。

本作に独特な雰囲気をもたらしているのが、“ザリガニが鳴く”といわれる湿地帯の美しくもミステリアスな映像と、その情景を見事に捉えた音楽である。

スコア(劇伴)を作曲したのは、『ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日』(2012年)でアカデミー作曲賞を受賞したマイケル・ダナ。彼と長年の交流がある筆者は、『Merry Christmas! ~ロンドンに奇跡を起こした男~』(2017年)と『マネーボール』(2011年)に続いて、今回もBANGER!!!のコラムのためにダナにインタビューすることが出来た。『ザリガニの鳴くところ』の印象的な音楽が出来上がるまでの過程を、彼のコメントをもとに詳しくご紹介したいと思う。

「湿地帯の音楽には、心に響く“貝の音”を使ったんだ」

―『ザリガニの鳴くところ』はリース・ウィザースプーンの製作会社<ハロー・サンシャイン>の作品です。あなたは『悪女』(2004年)と『デビルズ・ノット』(2013年)で彼女の出演作の音楽を担当しましたが、それが本作への参加のきっかけとなったのでしょうか?

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確かにリースとは何度か仕事をしたけど、きっかけという意味では、以前『ライフ・オブ・パイ』で一緒に仕事をしたエリザベス・ゲイブラー(※)との縁ということになるかな。彼女が僕のことを監督のオリヴィア・ニューマンに紹介してくれたと思うからね。この物語が自然界に深く根ざしたものであることから、オリヴィアも僕なら音楽的にふさわしいアプローチをするだろうと考えてくれたんだ。

※元フォックス2000ピクチャーズ社長で、現在はソニー・ピクチャーズ エンタテインメント傘下の3000ピクチャーズ社長。

―本作はノースカロライナ州の湿地帯が舞台ということで、あなたの音楽にもアメリカ南東部のトラディショナル・ミュージックの要素がありますが、スコアのコンセプトを教えてもらえますか?

ノースカロライナの湿地帯は、この物語の主要なキャラクターのひとつと言ってもいいと思う。そこにはカイアの人生がある。湿地帯での生活は、彼女にとって毎日が研究であり、やがてそれは天職にもなる。だから、何よりもまず自然界を中心とした音楽にしたいと考えた。湿地帯の音楽には、貝やホラ貝を吹いた音など、心に響く音を使ったんだ。

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