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傑作『アイ・アム・サム』“本当の”見どころは? NHK BS本日放送! 父娘役にショーン・ペン×ダコタ・ファニング

BANGER!!!

親子のあり方を考えさせる映画

親子の繋がりは人間関係の基本で、映画にも傑作が多い。ジェシー・ネルソン監督の『I am Sam アイ・アム・サム』(2001年)もそんな1本だ。

私は愛と感動と涙を売りものにした映画が苦手で、この作品も最初は敬遠していたのだが(ショーン・ペンの熱演という噂もマイナスに働いた)、実際に見て、食わず嫌いを大いに反省した。家族と過ごすことの多いシーズンに見るのに最適な、真の感動作である。

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障がい者の父×エリート弁護士:善悪対立ではない見事な構成

サム(ショーン・ペン)は知的障がい者で、スターバックスでフロア係として働きながら、幼い娘ルーシー(ダコタ・ファニング)を育てている。子育ては大変だが、親切な元ピアニストの女性(ダイアン・ウィースト)や障がい者の仲間たちに囲まれて、幸せに暮らしてきた。が、ルーシーが成長し、サムの知能を追い越そうとする頃、ある偶然からソーシャルワーカーに目をつけられ、養育能力がないと判断されてルーシーを取り上げられてしまう。

サムは電話帳の広告で“絶対に負けない”という辣腕弁護士リタ(ミシェル・ファイファー)を見つけ、裁判の弁護を依頼する。初めは取り合わなかったリタだが、同僚の前で見栄を張り、“無料で引き受ける”と言ってしまう。こうして愛娘を取り戻すためのサムの闘いが始まるのだが……。

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ハリウッド映画の多くは善悪の対立でストーリーが展開する(そして常に善が勝利を収めて終わる)。が、この映画は違う。一見、サム(善)と検事&ソーシャルワーカー(悪)の対立が軸になっているように見えるが、実はそうではない。知的障がい者だが娘に対する愛情は誰にも負けないサムの対極にいるのは、エリート弁護士のリタである。

リタは豪華なオフィスを持ち、美術館のような家に住んでいるが、夫とは不仲で、息子はいつも独りぼっちだ。この二人が組んで裁判を闘うことになるのが映画の主眼で、裁判で勝つことではないのだ。実際、裁判の相手ターナー検事(見事に抑制された演技のリチャード・シフ)はサムの敵ではなく、ルーシーの将来を案じているだけであり、ルーシーの養母となるランディ(ローラ・ダーン)もルーシーに限りない愛情を注ぐ理想の母親である。

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