オキアミ登場以前の伊豆などでは
イワシのミンチをコマセに

関東ではグレを標準和名のメジナと呼ぶが、同じオキアミ登場以前でも伊豆半島など東海地方の磯(三浦半島や房総半島方面も?)ではイワシのミンチをコマセ(マキエ)にイワシの短冊をハリに刺してねらっていたらしい。いまでは「グレに?」という感じのエサだが、三重県尾鷲市の九鬼地区の磯では、ここだけはなぜか関西からの釣り人も多かったはずなのにイワシエサでのグレ釣りが昭和50年代まで続いていたように思う。

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ハバノリにアオサにフナムシ
季節ごとの特効エサ

その昔、グレ釣りのエサは季節によりさまざまなものがあった。たとえば冬場から春先はハバノリ、アオサなど海藻で釣ることも珍しくなかったし、熱い夏場の高水温時はエサ取りに強いフナムシをマキエにもサシエにも使用することがよくあった。あまりのエサ取りの猛攻に手を焼き、磯を這っていたフナムシを捕まえてハリに刺した途端に良型のグレが釣れて、その威力に驚いたものだ。


季節によってはアオサやフナムシもグレ釣りの特効エサだが近年は使う人が少ないかも……

ハバノリやアオサというエサは、本来は海藻食であるグレの食性にマッチするという点で理にかなっているし、エサ取りの他魚があまり食い付かないということでも心強いエサだった。

ところでアメリカ大陸の西海岸、バハカリフォルニアあたりに日本のグレと同じメジナ科で「オパールアイ」という魚がいるのだが、このオパールアイをねらうエサが何と「グリーンピース」だと聞いたことがあった。


日本のグレもグリーンピースで釣れる!?

実は兵庫県神戸市の垂水一文字(現在は渡船禁止)にはグリーンピースのエサでフカセ釣りをする人がいて、高水温時にグレはともかくチヌやマダイを釣り上げていた。海藻を好むグレが同じ植物性のエサで釣れても不思議ではないのかもしれない。